雲のポートレイト




取材旅行も終盤にさしかかったある日、タスマニア北部からホバートに向かう国道一号線をジャーナリストのNさんが車を運転してくれた。
2週間の取材旅行期間中、右手の人差し指が筋肉痛になるくらいシャッターを押していたが、特に前の日の夜は今回の取材の中でも核となる大切な撮影で、だだっ広い畑の中を必死に走り回っていたせいか心身ともにくたくただった。

理想的なフォームで泳げるようになりたいなら長距離をノンストップでひたすら泳ぎ続けなさい、とアドバイスを受けたことがある。
腕も肩も太腿にもまったく力を入れられないくらいくたくたになるまで泳いだとき、はじめて自然なフォームが身に付くのだという。
オートバイも同じで街の中を毎日ちょこちょこ走るより、テントや寝袋を積んで1ヶ月くらい様々な土地を走り続けると驚くほどライディングが上手くなる。
写真も少し似ていると思う。
毎日、毎日限られた機材を酷使して、まさに機材と寝起きを共にし、あらゆる被写体をあらゆる環境で撮っているうちに水泳やライディングのように力まず自然に写真が撮れるようになる。
誤解しないで欲しい、「1週間の海外旅行中私も毎日写真を撮っていたけどそんな感覚は掴めなかった」などと言われても困る。
機材を酷使して寝起きを共にする状況というのは「いい写真が撮れないかなぁ」という気持ちで楽しく撮るのではなく、「要求される写真を確実にものにしないと大変なことになってしまう、、、」というプレッシャーの中で朝から晩まで体中をパラボラアンテナにし、仕込み、可能性を探り、説得し、待ち、すばらしい偶然を神に乞うことだ。
写真が上手いアマチュアの人は大勢いるが、アサイメントを抱え、そういう状況に追い込まれて撮る仕事の撮影は写真が上手いだけではダメだ。
こればかりは経験した人でなければその違いが分からない世界かもしれない。
そういう状況に追い込まれた時、カメラは身体の一部となる。
プロ機材とはそういう状況で余計な心配やストレスをフォトグラファーにかけない機材だ。


一度身体をパラボラアンテナ・モードにして撮影をすると、仕事を終えた後でも無意識に眼や頭は被写体を探す。
国道一号線を走る僕たちのフロントガラスの中にぽっかりとセクシーな雲が現れた。
以前「流れる雲を追いかけて」でも話したが僕は雲フェチだ。(下着フェチではない)
スタイルのいい雲を見ると欲情する。(写欲がわくという意味だ)
人でも風景でも一度スイッチが入ると同じものをあらゆる角度から何枚も何枚も僕は撮るタイプだ。
運転するNさんそっちのけで僕は助手席からセクシーな雲を追いかけ続けた。
真っ正面からはじまり、その雲の真横へまわるまでかなりの時間を要したと思う。
セクシーな雲のポートレイトを長い時間をかけて撮ることが出来た僕は大いに満足だった。









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by somashiona | 2009-02-11 20:58 | デジタル

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