音楽は神聖な儀式



実はこの時の訪問で僕ははじめてヨハンにインタヴューをした。
ボイスレコーダーのスイッチをオンにし、彼が生きてきた軌跡を彼自身の言葉で語ってもらった。

興味深い話をたくさん聞かせてもらったが、面白かったのは彼が何よりも愛する音楽と女性について語ったときだった。

「付き合う女性がどんなに素敵であったとしてもわしが愛する音楽をワシと同様に愛する人でないと生活が成り立たんのじゃよ」






ヨハンの家に泊まると大音響の音楽で朝を迎える。
クラッシック音楽が中心だがアルプスの少女ハイジ系のスイスの民謡も多い。
これらの音楽がいつも身の回りに流れていないとヨハンは調子が悪い。
そして、これらの音楽をあまり好まない女性たちは家中に響き渡るこの音で徐々に神経を犯されていく。
ヨハンはいつも音楽をとるか愛をとるかの選択に迫られて来た。
そして今彼は音楽と共に生きている。






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ヨハンの朝、どんなに外に青空が広がっていてもカーテンは開けられない。






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リビングルームにどっしりと佇むステレオがご主人を待っている。






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今朝の気分にマッチする音楽をコレクションの中から時間をかけ慎重に選ぶヨハン。






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カーペットに膝をつき、アンプが暖まるのを待つ。






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選んだ音楽を聴く。
これが本当に朝の気分にふさわしいか、精神を統一し、注意深く音楽を吟味する。
注意深く、とても注意深く。






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気に入らなければ音楽を変える。






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気に入るまで何度も変える。






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そしてイコライザーのつまみを上げ下げし、最高のセッティングを見つける。
なかなか見つけられない時は怒りすらこみあがる。






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もし彼を知らない人がこの家に入り格闘する彼の後ろ姿を見ると






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少し心配するかもしれない。






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全てが整ったらいつもの椅子に座り、目をつぶる。






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ヨハンにとって至福のとき。
殺風景な一人暮らしのお年寄りの家がゴージャスなコンサートホールに変わる。












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音楽を聞くという行為はヨハンにとって趣味を越えた神聖な儀式だ。
ヨハンの至福のときをカメラに収めたかった。
クラッシックからスイスの音楽に変えるとき、椅子の位置を少しをずらし、彼にレンズを向けた。
彼は僕のレンズを見つめながら彼が生まれ育ったスイスの歌を口ずさみはじめる。
僕は無宗教だが音楽を聴くヨハンが神のように見える。
彼は僕を見つめているが、心は故郷の山々を舞っている。






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by somashiona | 2009-05-04 09:13 | 人・ストーリー

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