兄妹ブロガーになってしまった!




僕には5歳年下の妹がいる。
よくある話だが、妹や弟は兄や姉の影響を強く受けて成長する。
僕の聴く音楽を聴き、僕の読む本を読み、僕が少林寺拳法を習えば彼女はサンドバッグとなり、テニスにハマれば脱水症状になるまで練習を付き合わされ、僕がバイクで日本一周を達成した数年後には彼女も中型バイクの免許を取り東北を一人バイクで旅した。
母親は僕が妹を育てたようなものだといい、妹が道を外れそうになると僕が責任を持って彼女を正しい道に導いた。(疑問あり?)
僕が突然サラリーマンを辞め、フォトグラファーになると宣言し、アメリカに一人旅立った後はさすがに妹も兄の後ろ姿を追うことはやめ、堅気になった。


彼女は学校を卒業してから17年間同じ会社で黙々と経理の仕事をした。
学校時代から札幌以外の場所で暮らしたことがない。
一軒家に一人で暮らし、巨大画面サラウンドシステムのテレビ、イタリア製のソファ、こだわりの料理器具を揃え、何不自由のない安定した暮らしを送っていた。
僕たちの父親が亡くなり気落ちした母のことも、徒歩5分の距離に住む妹がちょくちょく様子を知らせてくれるおかげで海外に住む僕も気を揉まずにいることができた。
海外に住んでいるせいで家族の一員としての責任を果たせないどころか、何かあってもすぐに対応することが出来ない精神的な負い目は口では説明しにくい。
たぶん海外に住んでいる人は皆同じ思いを常に心に抱いているだろう。
そんな時でも兄妹が親のそばにいるというのは、ある意味責任転嫁であるが、とても心強いものだ。
身内に不幸があったとき、僕たちがしてあげられる唯一最大のことは、そばにいてあげることだ。
父が亡くなった後、妹はその役目を僕の分まで十分に果たしてくれたし、ひょっとすると結婚もせず、ずっとその役目を果たし続けるかのようにも見えた。


世界を歩いて旅する歩き人フミさんが札幌に立ち寄ったとき、彼女の運命は変わった。
一人の時間、一人の空間を何よりも愛する彼女が、一人出なくても自分でいられる男性に巡り会ってしまったのだ。
話せば話すほど彼に惹かれ、時間を共に過ごせば過ごすほど今まで考えても見なかった価値観を見せつけられる。
しかし、彼は旅人だ。
好きになっても彼はどこかへ行ってしまう、、、。
♫娘さんよく聞けよ、山男にゃ惚れるなよぉ〜♫まさにあの歌の世界だ。


人は冒険に憧れるが自分ではあまり冒険をしない。
社会人になる前にバックパッカーとして世界を回ったり、カヤックやカヌーでホワイトウォーターを下ったり、真っ暗闇の洞窟を歩き回ったり、色々な冒険を経験した人はたくさんいるだろう。
でも、僕が思うに、本当の冒険は毎日やって来る自分の人生をどう生きるかということだ。
自分の経済力で生きていくということは、まさに冒険だ。
何か特別なことを得ようと思えば、リスクを冒さないといけない。
自分の判断を信じ、人にどう言われようが自分の価値観に従って生きる勇気を持たなければいけない。
僕はサラリーマンをやめ、この道に入ったことを一度たりとも後悔したことがない。
あのままサラリーマンとして日本の会社で働き続けていたら、アメリカで、東京で、オーストラリアでのこれまでの体験が全てなかったのだ。
正しい決断をしたと思っている。

妹が会社を辞め、彼と歩く旅に出たいと言った時、僕は大賛成だった。
自分の足で歩き、日本を知り、人を知り、自然を知り、世界を知る、そういう行為に年齢も何もない。
やりたい時に、やれる時にやればいい。
そして、やめたくなったら、また違う人生を考えればいい。
正しい人間であり、やるべきことをやるべきときに一所懸命にでき、世の中の常識をわきまえ、人ときちんと関わることが出来れば、いつだって、どこでだって最低限食べていくことはできる。


僕がサラリーマンを辞め、写真の世界に進んだ時のように、彼女が会社を辞め、旅に出る時も多くの人に反対され、説得され、呆れられ、バカにされたようだ。
その状況は僕も経験者だからよく知っている。
僕が妹のことを友人たちに話したとき、日本人の友人たちは全員否定的な意見を言い、オージーの友人たちは全員妹の行動に大賛成だった。


人がどう言おうが構わないが、母親がこれに関してどう言うかは妹にも、僕にも大問題だった。
母親は妹の決断に大ショックを受け、寝込んでしまうほど落ち込んだ。
一人になってしまう寂しさもあっただろうが、それよりもこんな苦しい世の中で経済的基盤を失い、職なし、宿なし、お金なしの生活を送ろうとする娘が心配で、その愚かな判断が悲しくてしかたなかったからだ。
僕たちの父をはじめ、親族は公務員が多い。
公務員の家庭生活を送ってきた母にとって経済的リスクは最も冒してはいけないものであって、旅をしたり、フォトグラファーになったりするだけでなく、堅気の自分のビジネスをはじめるにしてもリスクがあるのなら絶対やるべきでないと考える傾向がある。
世の中、リスクがあるから見返りもあり、リスクがあるから知恵を絞り、リスクがあるから必死になり、リスクがあるから人脈を強くし、実はそういう過程がもっともエキサイティングで、安定や下手な遊びよりもよっぽど楽しいということを分かってもらえないのだ。
そういうことを僕は母の耳にタコができるくらい説明したが、一人きりになる母親の寂しさについては何を持って埋め合わせをすればいいのか全くわからなかった。
年老いて、夫に先立たれ、子供たちも遠くへ行ってしまうのだから心細く、寂しくない訳がない。
この問題についてどんな信念を持ち、前に進むべきなのか、なかなか答えは出ない。
ただ、僕は自分が年老いたとき、ソーマやシオナが僕のために自分の夢やチャレンジを諦めるようなことがあって欲しくないと心から思う。
彼らには彼らの人生を精一杯生きて欲しいと思う。
自分もそうしてきたように。
そして、これが母親に対する正直な自分の答えだと思っている。
これを冷たい態度、薄情な考えと感じるかもしれないが、僕は最終的には人は一人だと思う。
もちろん、出来るかぎりのことはする。
連絡を頻繁に取り、会える時には会いに行き、話しておくべきことははっきり、しっかり話す。
愛するということは尊重することであり、そのとき、そのときに出来るかぎりのことを最大限やることだと思う。


旅に出た妹はブログをはじめた。
これは妹が旅に出る前に僕と約束したことだ。
彼女がどこで何をやり、どんな人に出会い、どんな体験をしたのか母が常に分かるようにする。
これは彼女が自分の自由を謳歌する中で最大限母にしてあげられることであり、決して100%賛成して送り出した訳でない母が娘の人生を客観的に見つめることができる最高のツールだと思う。
たぶん妹のブログを見ていくうちに、母も少なからず考えが変わるだろう。


ブログをはじめるにあたって妹はキャノンのEos Kissを買った。
レンズは僕のおすすめシグマの17-70mmを付けている。
僕もそうだが、妹も機械的なことにはめっぽう弱い。
絞りやシャッタースピードの関係について、それが男と女の関係と同じくらい密接なことだということがどうしても理解できず、しばらくもがいていた時期があったようだ(今ももがいている)。
彼女は悩んだ、いったいどうしたら写真が上手くなるのか、、、。
そして、ふと閃いた、あっ、そういえば、兄はプロのフォトグラファーだったんだ!
少しは写真のことを知っているかもしれない!

ばかやろ、少しは知ってるぞ、何でも聞きなさい!


ということで、是非彼女のブログを覗いて欲しい。
「ただ歩いてゆく旅」


彼女のパートナーであるフミさんのブログ「歩き人ふみの徒歩世界旅行 日本・台湾編」もよろしく!





注)僕と面識のある方へ:僕たち兄妹にとって「似ている」「そっくり」という言葉はタブーとなっていますので、そこのところ、よろしくお願いします。












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by somashiona | 2009-07-27 23:46 | 人・ストーリー

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