ライトルーム アドベンチャー 2008 イン タスマニア Vol.1





愛する写真について一方的な持論を展開することのある僕のブログだが、最近写真の話が少ない、とのメールがいくつか届きはじめている。
妹のブログを応援してくれた皆さんへの感謝の気持ちを込めて、今日から数回にわたり「とっておきの話」をしたい。
くどいようだが、これは僕にとって「とっておきの話」だ。
今まで何度も出そうか、出すまいか迷ったあげく、結局引き出しの中に引っ込めたままの話。
相原さんのブログで記憶にある方も多いと思うが2008年にタスマニアで行なわれたアドビのソフトウェア「Lightroom 2」に関するイベントだ。
雑誌等への記事にすべく取材したが、結局形にならずに終わった。
(眠っているこういうネタがたくさんある)
仕事には繋がらなかったが、僕はフォトグラファーとして実に多くのことを学んだ。
何を学んだか?
それを今日から数回にわたってブログで紹介したい。
テキストは雑誌編集者などに送る大雑把なストーリーとして当時大急ぎで書いたもの。いつものブログの文体と違い違和感を感じるかもしれないが、その時の僕の感情を大切にし(今から書き直すのは大変なので)そのままブログで使わせてもらう。

いつも長い文章で嫌われる僕のブログだが、今回は極めつけに長いかもしれない。
でも、写真を愛するあなたたち「濃い人」には、たまらない内容の筈だ。

では、はじまり、はじまり。

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アドビ ライトルーム アドベンチャー 2008 イン タスマニア


2008年4月2日から13日にかけて北アメリカ、ドイツ、イギリス、日本、そしてオーストラリアから17人のトップフォトグラファーたちが南半球の果ての島、タスマニアに集結した。
その目的はアドビシステムが開発中のLightroom 2.0 β版のフィールドテストだ。
このプロジェクトのディレクターであるミケル・アーランド氏は2006年、O’REILLY出版社から『PHOTOSHOP LIGHTROOM ADVENTURE』を出版している。今回のイベントはシリーズ第2弾の準備でもある。
彼はこう語る。
「それぞれのフォトグラファーがこの世界で最も神秘的、かつ最高にフォトジェニックなこの島で捉えたイメージをLightroom 2.0 β版にインポートし、画像の選択、現像したあと、毎日夜の11時半までに最低5点の作品を私に提出して貰うことになっています。フォトグラファーたちは全ての作業を宿泊施設に開設されたワークルームで行ないます。それぞれのフォトグラファーのワークフローやツールの使い方などを私や今回参加したアドビシステムのエンジニアたちが詳細に観察し、なおかつこのβ版 Lightroom 2.0の改善すべき余地のある点を彼らから聞き取るというわけです。ランドスケープが専門のフォトグラファー、スポーツ、ジャーナリズム、ファッション、ファインアート、それぞれ違った分野のフォトグラファーたちがこのタスマニアというフィールドでどういう作品を見せてくれるのか大いに楽しみです。」

今回参加したフォトグラファーの渡航費、食費、宿泊代などは全てこのイベントが負担するが彼らが提供する作品へのギャラは支払われない。
それでもなお豪華な顔ぶれがここに揃ったのは、今回のイベントが彼らの作品を世界のマーケットに向けて発信できるチャンスだからだ。
彼らが参加したもうひとつ大きな理由はフォトグラファーとしての貴重な経験だろう。
分野の違うトップフォトグラファーがこれほど一同に集まり、しのぎを削る機会などそうそうない。さらに上を目指す彼らにとってこれは貴重なチャンスなのだ。


嬉しいことに日本からは相原正明氏が選ばれた。
オーストラリア、特にタスマニア写真のエキスパートである彼は今回のイベントでは最もアドバンテージのある人物だろう。
イベント開始前に相原氏のコメントを聞いた。
「今回参加するフォトグラファーたちは皆デジタルフォトグラフィーの達人たち、フォトショップのエキスパートだと聞いています。僕は作品撮りではまだ圧倒的にフィルムを使っていますし、デジタルで撮った作品もいっさい加工はしません。今回は日本人の得意技であるナチュラル、シンプル、まるでお寿司のような写真で他のフォトグラファーたちに挑もうと思っています」

今回、もう一人日本人フォトグラファーが参加していたが、アメリカ合衆国からのエントリーだ。
マキ カワキタ女史。彼女はニューヨークを拠点に世界各国で仕事をするファッションフォトグラファーだ。アドビシステムからの一押しで今回の参加となった。
タスマニアに到着した夜、彼女から話を聞いた。
「美しい大自然と私の写真、あまりにもギャップが大きいでしょ、だから参加するかどうか、最初はちょっと迷ったの。でも、新しい発見は大好きだし、常に自分の写真も変えていきたいのよ。今回はとてもいい機会になるっていう予感がしてるの」

このイベントに参加した人たちの間で『伝説のフォトグラファー』と呼ばれている人物がいる。
ブルース・デイル氏、世界のトップマガジン、ナショナルジオグラフィック・マガジンのスタッフフォトグラファーを30年以上勤めあげた男だ。
エディトリアル・フォトジャーナル的分野を目指すフォトグラファーにとってナショジオは夢の世界であり、彼は雲の上の人だ。

このイベントのオフィシャルなスタートは4月4日。
この時点で約90%のフォトグラファーがタスマニアの州都であるホバートに到着していた。参加者は多くの機材と長いフライトで疲労困憊のはずだが、ホテルにチェックインするとカメラを持って一目散にホバートの街へと散った。
Time is money、時間が許す限り撮り続けなければいい獲物が手に入らないことを彼らは充分知っているようだ。
しかし、珍しいことにこの日、相原氏はホテルの部屋に閉じこもり悶々としていた。相原氏はパソコンの画面に写し出されるLightroom 2.0 β版を睨みつけている。このソフトウェアの使用はイベントの必須条件だ。
使いこなせなければ毎日の仕事に多大な影響を及ぼす。現代を生きるフォトグラファーは好き嫌いに関わらずコンピュータとソフトウェアに精通していなければならない。ライトルームの使い方を習得するためホテルの部屋で缶詰状態になっていた相原氏は、時折、カメラを抱え、部屋の窓から恨めしそうに外の風景を撮っていた。








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イベント初日の夜、関係者によるオフィシャルオープニングパーティが催されたが、フォトグラファーたちはすぐに会場を引き上げ、ワークルームに戻り、その日撮影した画像の選択、現像処理の作業に精を出していた。
マキ女史の写欲もまだおさまっていないようだった。
夜のホバートの街に繰り出し、ストリートフォト撮る。
彼女が手にしているカメラはオリンパス。E3と410を使っている。
オリンパスUSAは彼女のスポンサーでもある。
外付けのフラッシュにディフューザーを付け、金曜の夜、陽気に騒ぐホバートの人たちと言葉を交わしては彼らに向かってフラッシュを焚く。
コンパクトデジタルカメラも頻繁に使っていた。








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宮崎駿『魔女の宅急便』のモデルになったと噂され、大人気になっているパン屋があるロスという小さな街はタスマニアのほぼ中央に位置し、世界でも最高級のウールを生産する街として有名だ。
砂岩作りの建物が佇むロスは写真を愛する者にとってはたまらない被写体が溢れている街でもある。
4月10日から11日にかけて相原氏とマキ女史は他のフォトグラファーたちとは別行動をとり、この街で撮影を行った。
風景写真家とファッションフォトグラファーの対決の日、の予定だったが気さくな性格の相原氏はマキ女史のアシスタントをせっせとこなしていた。
マキ女史は今回の撮影のテーマをしっかりと固めていた。
『マキラマ』コスプレした自分自身をタスマニアのアイコニックな風景の中で撮るのだ。
相原氏にとって彼女の撮影スタイルはとても新鮮だったようだ。
彼女の撮影機材を運び、レフ版を持ち、セッティング済みのカメラのシャッターすら時折押してあげていた。
「いやぁ〜、面白かったですよ。ファッションフォトグラファーの撮影の現場に立ち会うことなんて滅多にないでしょう、色々と勉強になりました。ライトのセッティングの早さ、構図を決める早さ、そしてなによりも驚いたのは彼女の写真はほとんどフォトショップで加工するスタイルだと思っていたのですが、実際はそうではなく、撮影の時点でイメージを作り込み、加工する余地などほとんどない、ということです。やはりフォトグラファーとしての基本がしっかりできているんですねぇ」
この日は 相原氏もコスプレに挑戦してみたようだ。








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マキ女史、撮影後はすぐにホテルの部屋にこもり画像の処理と選択を行う。もちろん Lightroom 2.0 β版だ。いつもニコニコと明るい彼女だが、一度仕事が始まると、やはりモーレツだ。








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つづく









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by somashiona | 2009-07-30 17:03 | 仕事

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