アクンデックのファミリーポートレイト







現在、オーストラリアの人口は50%が新生児、そして残りの50%は他の国からやって来る移民でまかなわれている。
とくに戦争などで難民となった人たちをオーストラリアは積極的に受け入れている。
鳩山総理が外国人にも参政権を与えるべきだと言い日本では非難の嵐だったようだが、ここオーストラリアでは他の国から文化も習慣も違う人たちを受け入れ、職場や政治に参加することをほとんどの国民たちは賛成し、誇りに思っている。
オーストラリアに移民してくる人たち、特に戦乱の中から逃げてくる人たちはアルファベッドのABCすら知らない人たちが大勢いる。
彼らがアルファベッドを覚え、英語でコミュニケーションをとり、過去にイヤになるほど見たナイフや斧、そして機関銃の代わりに教育という最も強烈な武器を身につけ社会に出るまでの間、国民の税金で彼らは生きていく。
国民一人一人が彼らを養っているのだ。








アクンデックは19歳。
13歳の時にアフリカのスーダンからやって来た。

「スーダンの北、それとも南出身?」

「ごめんなさい、どこで生まれたのか知らないの、、、」

「どうしてオーストラリアに来ることになったの?」

「ごめんなさい、私何も知らないの、、、スーダンからエジプトに逃げて、、、でも、お父さん、お母さんたちはスーダンに残っている兄弟たちを迎えにまたスーダンに戻って、、、で、私や弟はエジプトでとてもハッピーだったのに飛行機に乗せられて言葉も気候もまったく違うタスマニアに来たの。いきさつとかは何も分からないの」

こういう人たちを前にすると、何を聞いていいのか分からなくなる。
その過去がどれほど暗闇なのか、どんな楽しいひとときがあったのか、愛する人たちの死をどれほど目の当たりにし、どれほど引き裂かれてきたのか。
父の死や、離婚や、子供たちと離ればなれで暮らすことにシクシクしている僕の想像を絶する経験を彼らはしているのだ。
僕の話すことなど彼らにとっては何不自由なく育ってきたお坊ちゃんの戯言だろう。

アクンデックには2歳になる男の子がいる。
旦那さんは27歳、タスマニアの電力会社で働くエンジニアだ。

「旦那さんの趣味は何?」

「お勉強なの」と言って彼女はクスッと笑う。

「彼ってつまんないの。映画にいこうって言っても、ダンスに誘っても、たぶん明日ね、って言うんだけど絶対行かないのよ。いつでも勉強、勉強。今もね、仕事が終わったら大学に行ってるの。もっともっと知識を身につけたいんだって」と話す彼女は誇らしげだ。

「彼はね、スーダンで全て見てしまったの。人がどんなにひどいことをするのか、食べ物がなくて飢え死にすることがどんなに悲しいか、四六時中怯えていることがどんなに辛いかを。だから今、一所懸命勉強するんだって。あんな生活に2度と戻りたくないんだって。最低の暮らしに戻るのが怖くて、怖くてしかたないんだって。そして、いつかスーダンに帰って自分が得た知識を使って人びとを助けたいんだって」と話す彼女、眼を輝かせている。

「じゃあ、彼と一緒なら安心だね」と僕。

「そうよ、彼は真面目だから安心なのよ。他の女性に見向きもしないわ」と言って笑い出す。

「でも、スーダンに帰ったら一夫多妻制だろ?何人まで奥さんを持てるの?」と僕は少し意地悪をする。

「10人でも、20人でも好きなだけ持てるけど、嫌よ私、そんなの絶対イヤ!私の肌は黒いけど、考え方はオージーガールよ!」と今度は真顔。

「じゃあ、君の夢は何?」

「まずはね、介護の資格を取って老人たちの世話をするの。それでお金を貯めて大学に行ってから看護婦の資格を取る。絶対に取るの。しばらくオーストラリアの病院で働いて、いつかスーダンに帰って病気で苦しむ人を助けるわ。それが私の夢よ」








アクンデックのカレッジ卒業パーティの日、僕の家でファミリーポートレイトを撮った。

フラッシュの光が瞬くたび、2歳の坊やは泣き叫び、大雨だったこの日、天井から雨漏りがはじまり、持ち時間のほとんどを坊やの機嫌を取ることと、バックドロップに落ちる雨漏りの対応に費やし、撮影の集中力を欠いたが、この一枚が彼らの輝く将来の想い出になるよう、最善を尽くした。

















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by somashiona | 2009-09-28 19:06 | 仕事

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