虎の穴アドベンチャー2011(仮案)





今日は写真マニア向きの話題。

自分の写真のレベルを上げるには、ひたすら撮って、ひたすら反省し、より多くの人に見せ、より多くの良い写真を見るしかないだろう。
だが他のフォトグラファーと撮影を共にすることによって、もしくはフィールドの違うフォトグラファーたちと情報を交換することによって自分の技量を上げられることもある。
その素晴らしい具体例が2008年に僕が取材で体験したアドビ・ライトルーム・アドベンチャー・タスマニアだったと思う。
世界中から分野の違うフォトグラファーが集まり、毎日数枚の自信作を吐き出し、それらの作品をオークションというかたちをとって一般の人にプリントで写真を買ってもらう。
こういうことを日本で出来ないだろうか?
自分たちの手で実現させられないだろうか?
僕がもしこういう企画を練るのなら、、、

まずはこのイベントのタイトル。
「フォトブロガー、虎の穴アドベンチャー2011」こんな感じ。

参加者をフォトブロガーたちに呼びかける。
定員は10~20名。
例えば、エキサイトブログ、人気ブログランキング、日本ブログ村といった場所でこのイベント用のサイトを作る。
参加したい人は自信作20点をこのイベントのサイトに出展する。
この作品を見た人たちがぜひこのイベントに参加してほしいフォトグラファーに投票する。
フォトグラファーはプロ、アマ、ベテラン、初心者を問わない。
しかし、イベントでの撮影はデジタルカメラに限る。

このイベントのために世界から各分野の著名なフォトグラファーをスペシャルゲストとして招待する。
例えば、風景写真の相原さん、モノクロ写真のマイケル・ケンナ氏、エディトリアル部門からはナショナルジオグラフィックのスティーブ・マッカリー氏、ファッションフォトからマリオ・ソレンティー氏、アートフォトの杉本博司氏などなど。

こんなメンバーが例えば沖縄の小さな村のホテルに集合する。
この村で写真を撮る、それだけが共通のテーマでもいいのだが、このイベントは虎の穴、一筋縄ではいかない。
無理難題を参加者に押し付ける。
有名無名に関わらず。
6日間のこのイベントのスケジュールは以下のおとりだ。


月曜:風景写真
火曜:人物写真
水曜:スティルライフ(静物写真)
木曜:モノクロ写真
金曜:フォトショップ & 筆記試験
土曜:オークション


フォトグラファーはそれぞれ自分の得意分野の被写体やフィールドがある。
スタジオフォトグラファーにスポーツをとりなさいと言っても無理があるし、スポーツフォトグラファーにライトを駆使して静物写真を撮りなさいと言っても無理があるのだが、このイベントは何ていっても虎の穴、不得意分野にも積極的に挑戦することによって目から鱗が落ちるような発見をしてもらい、それを自分の分野にフィードバックさせるのだ。

そういう意味では月曜の風景写真でほくそ笑んでいた相原さんが金曜のフォトショップで泣きべそをかくのもフェアというものだ。

月曜から木曜までの撮影は想像がつくだろう。
では、金曜のフォトショップは何をやるのか?
今の世の中、画像処理の知識はそれを自分の写真で使うにしても使わないにしても欠かせない。
参加者全員に同じ3つのRAWファイルが手渡される。
ノーマルの画像があれば露出の厳しい画像もあるし、色かぶりのひどい画像もある。
とにかく、それらの画像をよく吟味し、最善だと思える調子に整え、最終的にJPEGにしてからA3+のペーパーにプリントする。
同じRAWファイルから十人十色のプリントが作り出されるだろう。
RAWファイルをぱっと見て、どんな手を打つべきか考えるそのプロセスというものは、ほとんどの人が自分なりのパターンを持っているはず。
それだけに、他人の思考プロセスを知ることは、時に大いに参考になる。

筆記試験は実用的な知識をおさらいするためのもの。
自分の分野の撮影では常識なことも他の分野のプロは意外と知らないもの。
そういうそれぞれの分野ならではの「なるほどね~」的部分が出題される。



問い12、スピードライトの問題。
室内のソファに黒いブラウスを着た色白の女性が座っています。
ソファの後ろには大きな窓がありそこから美しい湖が見えます。
旅行雑誌の記事のためにあなたはここで絵になる一枚を撮らなければなりません。
壁は白ですが天井はかなり高く、焦げ茶色の木の板です。
カメラのISOを200にしたとき彼女はf4.0 1/30秒が適正露出であり、窓の外はf4.0 1/3200秒が適正露出のようです。さて、あなたはスピードライトをどのように設定し、どこに光を向けて写すでしょうか?



問い23、色温度の問題。
家具のカタログのためにNYの近代的マンションの室内を撮るよう指示されました。
1週間のアメリカ東海岸滞在中多くの場所を撮影するためストロボはモノブロック2灯しか持っていません。
これはタングステンのモデルライトが使えます。
さて、案内された室内は大きな窓があり自然光がたっぷりと差し込みます。
しかし、室内の主要な照明はタングステンです。
この部屋の窓の反対側には大きな裸婦の油絵が飾ってあり、これがこの部屋の印象を引き立てますがこの絵は蛍光灯によって照らし出されています。
この部屋をナチュラルな状態で写すために、あなたはどのように色温度を整えればいいでしょう。
ちなみにあなたのカメラバックにはシアン、マゼンタ、グリーンのライト用のフィルターが入っています。
後でフォトショップでレタッチするという答えはなしです。




このような問題が約50問、答え合わせのときは皆、目から鱗の連続だ。
こういう問題は答えが一つじゃないところが面白い。
君はそういうが、僕ならこうやるよ、というような様々なアプローチが議論されるだろう。
また、こういう集まりでは自然体でいれる人ほど得るところが多い。
キャリアがあるから何でも知ってる、というような態度は鼻につき、参加者たちから多くの情報を得るチャンスを失うことになる。



参加したフォトグラファーたちは毎日夜の9時までにその日に撮った写真の中からベストなものを3枚選び、A3+のペーパーにプリントし、主催者に提出しなければならない。
エプソン、キャノンなどのプリンターの設計者たちが会場に置かれたたくさんのプリンターにつき、最善のプリントを作るためのアドバイスを与えてくれる。
参加者たちは他のフォトグラファーたちのプリントを自由に見てもいいし、質問をしてもかまわない。
技術的なことに関する質問をされた場合でも参加者は必ず素直にすべてを話さなければいけないというルールがこの合宿にはある。
撮影のアプローチ(使った機材、被写体を選んだ理由、光の読み方などなど)から画像処理(どんなRAW現像をしたか、シャープネスやノイズ処理のかけ具合、トーンカーブの調整、白飛びの処理、レイヤー、マスクの効果的な使い方など)、プリントにいたるまで、そりゃーもう、誰にでも、何でも聞いていいのだ。





参加者Aさん「相原さん、三脚にはクイックシューを付けてませんが不便じゃないですか?」

相原さん「き、君ねぇ、そんなこと僕には当たり前なの、そんなことでめんどくさがっていてはプロにはなれないの」

主催者「ピ、ピ、ピィ~」(笛の音)「参加者は質問に正しくお答えするよう、よろしくお願いしま~す」

相原さん「ちぇっ、、、」 


(フィクションです。実際の相原さんのキャラクターとはまったく無関係です。)




参加者Bさん「エクスキューズミ~、マリオさん、地元のご老人さんたちを撮っているとき叫びまくってましたが、あれは何か戦略なのでしょうか?」

マリオ氏「ヘイ ユ~ 写真はノリなの、リズムなの、だからミーは沖縄に来る前に何度もipodでハイサイおじさんを聞いたの どぅ~ゆ~あんだ~すたんど!それを歌いながら撮るのが沖縄でポートレイトを撮るライトウェイ(正しいやり方)なの ゆ~がれっと?」

主催者「、、、」





このイベントには沖縄の観光局、主要な航空会社、カメラメーカー、ソフトメーカー、カメラ雑誌、その他写真に関わる会社がスポンサーになっている。
毎日の模様は逐一ウェブで紹介され、この模様を追いかけている読者たちはイベント期間中写真の生きた知識を膨大に得るだろう。
それぞれのフォトグラファーがその日プリントした作品はウェブサイトにもアップされ、人々はそれらの作品に星を最高で5つまで付けることが出来る。
イベントの最終日には誰の作品が一番人気があったのかを僕たちは知る。
写真を見るのは写真マニアだけではない。
写真にまったく関心のない人たちの心をどんな写真がとらえるのかを知ることは、フォトグラファーたちだけでなく、写真を使いお金を生もうとする人みなに必要だ。
専門知識は時として大切なものの邪魔をする。


もちろん、販売もするので気に入った作品があれば、日本中から、世界中からオーダーすることが出来る。
そのプリントが出来上がるまでの詳細な情報も入手可能なので、お気に入りのフォトグラファーと同じ機材、同じソフト、そして同じプロセスで読者も作品作りが出来るようになる。
そういうことに安心と喜びを感じる人はたくさんいるし、そういう人がいるからこそこういうイベントにスポンサーがつくというものだ。

参加者が20人だとして毎日60点の素晴らしいプリントが出来上がることになる。
4日間の撮影で240点の素晴らしい作品たちが生み出されるのだ。
最終日、土曜日の午前中、参加者全員がホテルの大きな会場に集まり、4日間で撮った自分の作品や経験について発表する。
そこでの質疑応答の内容は日本の写真史に長く残る貴重な言葉となる。
それぞれの作品を会場内に展示する。
そして、夕方には作品のオークションがはじまる。
作品を購入するため、そして憧れのフォトグラファーと話をするためにこの小さな村に全国から写真ファンが大勢押し寄せる。
カメラメーカーやソフトメーカーからの品々がプリント購入者に手渡されるサプライズもある。





お客Cさん「うはぁ~、ナチュレアさんの作品買ったらさ、もちろん立派な樹の写真だけどね、アドビがPHOTOSHOP CS4をつけてくれた~。もう一粒で2度おいし~、ナチュレアさん、アドビさん、もうサイコ〜」


お客Dさん「そんなの甘いよ~、俺なんてさ、マナブッチ~のしょぼい作品をお情けで買ったらさ、キャノンがEos 7Dを付けてくれたよ~。やっぱり人助けはするもんだよねぇ~。でもさ、そのあとにマナブッチ〜のやつ、自分で自分の作品買うから7Dを付けてくれってキャノンに泣きついてやんの。かっこ悪いったらありゃしないよ。まだ30D使ってるしさ」





オークションの売り上げは無償で宿泊や食事を提供してくれ、嫌な顔一つせず親切に村中の案内をしてくれた村の人々に還元される。

観光局、スポンサーとなった会社はプリントされたすべての作品のコピーライトを作者と共用する権利がある。
広告、雑誌、様々なメディアで自由にこれらの作品を使ってもいい。
このイベントのギャラは参加者に支払われないが、参加者はどこから来ようとも交通費、食事代、宿代などいっさい負担する必要がない。
ウェブから写真を購入した際、その代金は作者に直接支払われる。

このイベントの効果でこの村はその後写真の聖地として有名になる。
フォトグラファーを目指す人はこの村の神社でお守りを買い安心するが、この村の土をカメラバックに持ち帰った外国人フォトグラファーが空港での検疫に引っかかってしまうという事件も後を絶たない。





あっ、だめだ、こんなこと書いているときりがない。
こういう話はもう、終わりなく広がっていく。

でも、皆さん、面白そうだと思わない?









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写真はタスマニアの小さな町、リッチモンドで出会ったローカルの少年たち。

















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by somashiona | 2010-02-11 18:21 | デジタル

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