オーストラリアらしいウェディング セレモニー編




6月という言葉の響きに僕は弱い。
45歳なのに胸がきゅんとする。(自分で言って赤面します)
僕に生まれて初めてラブレターをくれた(小4)カワイコちゃんは6月3日生まれ。
僕が初めて本気で恋をし、付き合った女の子は6月4日生まれ。
それ以来、6月は僕にとって恋の月であり、女子に誕生日を聞いて、6月だという答えが返ってくると、意味もなく「いけるかもしれない」思ってしまうくらい思い込みだけで生きていける月なのだ。

そんな話はさておき、6月といえば花嫁(少し強引か?)。
最近バタバタとしていて、テキストをしっかりと書くブログをアップできそうもないので、写真中心でウェディングフォトを紹介したい。

ウェディングの写真は撮っていてこっちまで幸せになる。
今まで何度か雑誌や新聞の仕事で他人の葬式の写真を撮ったことがある。
そんな場にカメラを持ち込み、悲しむ人たちに向けてレンズを向けなくてはいけない時の気持ちは、それがたとえ仕事で、それを撮ることに意義があるのだと分かっていても気が重い。
一度は親族の人に「お前それでも血の通った人間か!」と罵声を浴びたこともある。
そういう時の胸に突き刺さる何かは、1、2週間で消え去るものではない。
フォトグラファーとして駆け出しの頃、日本で3、4回ウェディングの仕事をしたことがある。
当時、ウェディングの仕事は嫌いだった。
頭の中は世界で有名なフォトグラファーとして有名雑誌で活躍する自分の姿を描いているのに、現実は写真的に決まるシーンの少ないうえに制約が多く、しかも技術的に高いものを要求される(真面目に撮れば)ウェディングの仕事は苦痛以外の何ものでもなかった。
その後、雑誌や新聞などメディアの仕事を経験して、ひさしぶりにウェディングの仕事に向き合ったとき、以前とはかなり違った印象をもった。
それはオーストラリア式ウェディングだからということも大きいと思う。
オーストラリアのウェディングは結婚する人たちの手作りな雰囲気がとてもいい。
ウェディングに関わる人たち全てが受け身の姿勢でなく、幸せになる二人のために自分の時間や手や知恵を使ってこのイベントに関わるのだ。
なので写真を撮っている僕にも一人一人の思いが伝わってくる。
もう一つオーストラリアのウェディングのいいところは時間に余裕があることだろう。
基本的なウェディングのパターンは
セレモニー(式)→ フォトセッション(写真撮影会)→ レセプション(披露宴/パーティ)といった感じだろうか。
僕は通常、新婦がヘアメイクする時間からレセプションの後半まで撮影する。
ほとんど丸一日だ。
拘束時間が長いと必然的に撮る枚数も多くなる。
ウェディングは通常RAWファイルで2000枚前後撮る。

1、セレモニー(式)
これは教会で牧師さんのもとで挙げるものと、セレブラントと呼ばれる結婚式や葬式などを法律にもとづいて公式に執行できる資格を持った人の前で行うものがある。
いわゆる日本で言うところの婚姻届みたいなものを新郎と新婦、そして新郎のウィットネス(証人)一人、新婦のウィットネスが一人がセレブラントのもとで正式にサインする儀式だ。
この儀式に家族や友人などが集まり、二人が正式に夫婦になる瞬間を見守ることになる。
結婚する二人にとってこのセレモニーがもっとも緊張する時間だ。
誓いの言葉を言い、指輪をかわし、キスをする。
そして証明書にサインをするのだ。
そのあと集まってくれた人に祝福を受けながら、二人はその場を去っていく。

2、フォトセッション(写真撮影会)
結婚する二人にとってのハイライトがセレモニーならば、ウェディングの写真を請け負うフォトグラファーが一番緊張するのがこのフォトセッションだろう。
通常セレモニーの後にレセプション(披露宴)がある。
セレモニーに参加した人たちはこのレセプション会場に向かうため移動ははじめる前に必ずやるべきことは集合写真を撮ることだ。
日本の結婚式の写真で集合写真といえば新郎新婦と親族だけがホテルのフォトスタジオに集まり、ひな壇に綺麗に整列し、大きなストロボでバシャと撮るだろう。
しかし、セレモニーの後の集合写真はそこに集まってくれた人たち全員参加型だ。
なんせ数が多い。
もちろん、出来るだけ事前にロケハンを済まし、どの場所がこの集合写真に一番適しているか考えるのだが、実際に撮る時の太陽の角度、天候などによって大きく状況が変わる。
太陽ギラギラピーカンのお昼時などはもう半べそだ。
顔の下に真っ黒にかかる黒い影、フラッシュを最大限に光らせても何の変化も起こらない。
逆光だと背景がぶっ飛びになり品のない写真になる。
この集合写真、いつも思うのだが大勢の人を集め、並ばせることは意外と難しい。
少ない人数のグループなら自分が動けばすむが、何十人にもなると皆さんに動いてもらうしかない。
「右側の皆さ〜ん、もっと左によって〜。後ろのみなさ〜ん、恥ずかしがらないでまえにつめて〜。あ、お父さん、顔が見えませんよ〜。おばあちゃん〜、新郎と新婦の間に立っちゃダメですって〜!」
僕はいつもここで声を枯らす。
そして最も難しいことは、目の前の人たちを一瞬で笑わせること。
これはもう、芸を磨くしかない。

集合写真の後、新郎新婦と親族でグループ写真を撮る。
その場で組み合わせを決めていたら一向に進まないので、あらかじめ何パターンかの組み合わせを考えてもらい、できればそのグループを誘導する人を用意してもらう。

親族のグループ写真が終わると、いよいよウェディングフォトのハイライトである新郎新婦、ベストマン(新郎の友人代表)、ブライズメイド(新婦の友人代表)とのフォトセッションだ。
オーストラリアでウェディングフォトを依頼する人たちは、これを撮ってもらうために腕のいいフォトグラファーを探すのだ。
この写真がフォトアルバムになり、ポストカードとして送られ、部屋の中でフォトフレームに収まり飾られることになる。
ほとんどのフォトグラファーもこれに一番力を入れ、セレモニーやレセプションは軽く流す傾向にあるらしい。
ファッション雑誌に出てくるような写真を作ろうと皆が躍起になる。
photoshopをがんがん使い、実物とは全然違う人のようなカッコいい写真を作る。
しかし、僕はその考えに大反対だ!
結婚して、子供が出来て、孫が出来て、そんなある時、ひさしぶりにアルバムを引っ張りだし、家族でウェディングフォトを見てみる。
そいう時に目にする写真は、限りなくナチュラルであるべきだと思う。
写真は髪をセットし、メイクをするところから時系列で並べられ、緊張、喜び、感動の涙などがきちんと捉えられ、どんな場所で、どれくらいの人たちが集まり、その時自分の父や母がどんな思いで自分を見つめていたのかがきちんと記録されているべきだと思う。
きちんとした記録を写真で残すことはファッション写真を撮るより難しいのだということをフォトグラファーは肝に銘じておく必要があるんじゃないだろうか。



セレモニーの前、ウェディングドレスを着た娘の姿を少し離れたところからお父さんが眩しそうに眺めていた。
そして一言「もったいないな」と呟いた。
娘はブーケで使う生花のことを言っているのだと思い、説明をしはじめるが父は「花のことなんかじゃない、お前のことだ」と小さな声で言う。
僕にとって結婚式の写真を撮るということは、そういう瞬間を撮るということだ。
そういう瞬間を掴めばつかむほど、僕はじわじわと感情移入をし、しまいには(毎度のことだが)写真を撮りながら涙してしまう。
式の最中も父に視線は娘から決して離れることはなかった。
一緒にお風呂に入った子供時代、あまり一緒に行動をしてくれなくなった思春期、成人式の着物姿、きっといろいろな思い出が頭の中に流れていただろう。
セレモニーが終わるとすぐに新郎は新婦の父のもとへ駆け寄り、その体を抱きしめた。
言葉も文化もまったく違う青い眼をした青年のこの行為に一瞬照れ笑いをしたが、あふれそうになる気持ちで震えるこの青年の気持ちはあっという間に父に伝わり、男同士の握手を交わす。
「おい、お前、娘を頼んだぞ」父の胸の中からそんな声が聞こえてきそうだ。
そして、そんな男二人の姿を眼を潤ませて見つめる新郎の母。
国が違っても子を持つ親の心は同じ、言葉を交わさなくても言葉以上の心のキャッチボールが緑の芝生の上に転がり回っていた。











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テキスト、短くいこーと思ったのにー(涙)











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by somashiona | 2010-06-25 01:16 | 仕事

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