メルボルンでウェディング 前編




ウェディングの依頼を受けるとき、依頼者がどんなタイプの人たちなのか、やはり気になる。
長い時間をともに過ごし、自分たちをさらけ出してもらうのだから、馬が合うにこしたことはない。
「自分がこれから会う人たちは、それがどんな人であれ、僕が以前からたまらなく好きな人たちなのだ」と毎回自分に呪文をかける。
そういうふうに出会ったカップルたちとぎこちない時間を過ごさなければならなかったことは、幸いにしてまだない。
しかし、考えてみると僕に写真を依頼する人たちだって気持ちは同じだろう。
いや、自分たちの人生のハイライトを写真に残してもらいたいと思っているのだから、不安な気持ちは僕以上かもしれない。

このカップルのウェディングが想い出深いのは、式の前日に二人の家に泊まらせてもらったからだろう。
メルボルンからの依頼だった。
ホバートからメルボルンまでは飛行機で約1時間と15分くらい。
オーストラリアでは政治が首都のキャンベラ、経済はシドニー、そしてメルボルンは文化、芸術をになっている。(かなり大雑把な言い方だが)
ウェディングの仕事をする場合、タスマニアでなら式の前に数回カップルに会い、会場の下見や打ち合わせを一緒にする。
一度も面識のないカップルと式の当日にはじめて会うという状況は絶対に避けたい。
少なくても式の前日にはきちんと会ってコミュニケーションをとり、式の会場の下見も必ずやっておきたい。

メルボルンの空港に朝早く到着し、迎えにきてくれた日本人の花嫁さんの人懐っこい笑顔を見たとき、僕は安堵のため息をつき、空港の外に車をとめ、運転席で待ってくれていた筋肉ムキムキでサングラスにスキンヘッドのオージーの花婿さんを見たとき、僕はもう一度姿勢を正した。(笑)
この日は花嫁さんの家族も日本から到着する日だったので、メルボルンの観光もかねた家族写真をたっぷりと撮った。
式はビーチにあるレストランで行われる。
新郎新婦、ベストマン、ブライズメイド、そして花嫁さんの家族を交えてのリハーサルがあった。
この日は立っているだけでクラクラしそうになるくらい暑い日で、皆の顔には玉の汗が浮かんでいた。
会場の下見はとても重要だ。
そこで想定すべきことを全て想定し、発生するであろう問題に対処する策を練っておかなければならない。
式が行われる予定のレストランのデッキでは、被写体の背景になる海に反射する強い太陽の光、逆光、動かせないたくさんの大きなパラソルとその濃い影、、、。
そしてロマンチックな二人の世界を撮るフォトセッションの場所を探すのだが、どこもかしこも人、人、人、、、。
この近辺で唯一人が見えない場所はレストランの厨房を通って、物置の中に入り、そこの狭い階段を上がるとたどり着く、レストランの屋上だけだった。
やれ、やれ。








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会場の下見が終わると花婿さんのお母さんの家で花嫁さんの家族の歓迎会。
お互いの家族が顔を合わせるのは式前日のこの夜がはじめて。
国際結婚でこういうことはよくある話だ。
お互いの家族にとって、この瞬間は新しい家族が生まれる瞬間であり、国を越え、言葉を越え、お互いの家族が相手に対してベストを尽くそうとする気持ちがその場に溢れる。
花婿さんのおばあちゃんは確かギリシャ(イタリアだったっけ)からの移民でテーブルに並んだグリークサラダ、ブドウの葉でライスや肉を包むドルマデス、そして釣り好きのお母さんのパートナーが作ってくれた大きなタイのアルミホイル焼きは、それは、それは、もう最高の味だった。








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家族の歓迎会はかなり遅くまで盛り上がったが、式の当日は皆スッキリとした顔をしていた。
僕が今まで見てきた多くのウェディングでは、花嫁さんが式の準備の70~80%を遂行し、花婿さんは「それでいいよ」とか「じゃあ、君がそれをやっておいて」という役割が多かった気がするが、この時のメルボルンの花婿さんは実に多くの仕事を綿密に、こつこつとこなしていた。
式の当日もまるでウォール街のビジネスマンのような働きぶり。
僕はこういうふうに計画的に責任を持って事を進めるタイプの男が好きだ。
こういう人にはお互いに信頼しながら仕事を進められそうな安心感がある。








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そして花嫁さんといえば、、、








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完全にリラックス。








なかなかリラックスできないのは花嫁さんのお母さん。
他界したお父さんの代わりにやらなくてはいけないことがたくさんある。
寝転がっている娘を捕まえ、ヴァージンロード入場やベールを上げる練習に余念がない。
部屋の隅にある仏壇からはお線香の匂いがかすかに漂う。
お父さんも空の上から眼を細めてこの様子を眺めているだろう。








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花嫁さんのメークの時間はいつ見てもいい。
そして、娘が変化していく様子を眺める親の顔もまたいい。
ヘアメークの時間はかなり長いので、僕はその間に出来るだけ物撮りをするようにしている。
ウェディングの仕事では、マクロが使えるレンズは必需品だ。








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花嫁さんのヘアメークが完了したところで必ずポートレイトをおさえておく必要がある。
花嫁さんのすっかり変身した自分自身に対する高揚感は隠しきれない。
この瞬間の花嫁さんは本当に綺麗だ。
自宅にいい感じの壁があったので、少し暗かったが、柔らかな自然光を使って撮影した。








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窓の外では何やら騒がしい声が聞こえる。
花嫁さんを乗せ式場まで行く車には通常白いリボンをかける。
この車が綺麗じゃないことを発見した花婿さんが皆に洗車命令を下しので、そとは大忙しなのだ。
こういう手違いが後でいい想い出になる。








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花嫁さんもいよいよ家を出て式場に向かう。
イギリスから駆けつけた親友のブライズメイドは本当に気の付く女性で、プロ顔負けの付き人ぶりを発揮していた。
手作りのウェディングは人々の温かい気持ちに満ちている。








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後編に続く

















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by somashiona | 2010-07-07 15:58 | 仕事

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