マイブーム




最近、僕がハマっているのはオーディオ・ブックを聞くことだ。
ずいぶん前に読んだスティーブン・キングの本(確か「スティーブン・キングの小説作法」とかなんとか、そんなタイトルだったと思う)の中で彼がオーディオ・ブックを奨めているくだりで、小説家のくせして音で本を読むのを奨めるなんてけしからん奴だ、と思った記憶があるが、今は彼の意見に賛成だ。

僕は彼の本が好きだ。
僕が今まで英語で読んだ一番の長編作が「グリーン・マイル」だったりするのは少し恥ずかしいが、実際彼の本を読んでいると英語で読んでいることを忘れる。
わからない単語が出てきているはずなのに、それに気づかず読み進めてしまう。
わからない言葉の意味は前後の文章が最低限の言葉で十分補っているのだろう。
殺したり、殺されたり、死者が蘇ったり、復讐したり、そんな彼の本が好きだと文学通の友人たちに言うと、彼らは少し失望したように眉をひそめるが、スティーブン・キングの本に出てくる登場人物たちの会話は本当に素晴らしいのだ。
芥川賞作品の登場人物の会話と決して引けをとらない。
いい本は出てくる人物たちの会話は、いつだって本物で、活き活きとしている。
なまじっか重たいメッセージを押し付けてくる本よりもよっぽど心に響く。
写真もそんな写真が撮れたらどんなにいいだろう、と思う。
さり気なく、真っ直ぐで、しかも確実にハートに届くやつを。
思考が見えすぎる構図やフォトショップのテクニックは差し詰めガッカリさせられる小説の中で何度も登場する形容詞や副詞のようなものだろう。

オーディオ・ブックを聞きはじめたきっかけは、思想家・小林秀雄の講演をまとめたDVDディスクだった。
友人が貸してくれたもので、こういうディスクが売られているのかどうかはわからない。
小林秀雄の本は今までになんども多くの人から勧められていたが、数ページ読んだだけで「このオッちゃん、いったい何を言ってんだ、、、」とすぐに投げ出すタイプの本だった。少なくとも僕にとっては。
僕はいつの間にか彼の名前にアレルギー反応さえ起こすようにさえなっていた。
画像処理作業のBGMとして、と軽い気持ちで聞きはじめたのだが、30分後にはパソコンの前で正座して彼の話に聞き入っていた。
その話は半端じゃなく面白かった。
同じ思想家でも吉本隆明の講演とはずいぶん違う。(彼の講演テープを聞き続けるのは忍耐が必要だ)

それ以来、僕はオーディオ・ブックを集めるようになる。
著作権切れの古い文学作品がやはり手に入りやすい。
iTunesを使えばPodcastなどで簡単に手に入る。
若かりし頃、一度は読んだはずの文学作品、夏目漱石、芥川龍之介、川端康成、太宰治など、今の年齢になってあらためて聞いてみると、「ああ、なるほど、そういうことだったのか!」と以前とは全く違ったふうに作品を捉えることに新鮮な驚きを感じる。
そして、何よりも驚かされるのは、いい作品は音にして聞いていてもとても気持よく頭の中に入ってくるということだ。
日本語がスムースに流れるのだ。
「声に出して読みたい日本語」みたいなものが以前流行ったと思うが、確かにいい作品は音にすると脳や心に反響する。
英語を日本語訳したような文章しか書けない僕としては、学ぶべきところが多い。
小学校の国語の先生をしていた友人が音読の大切さを僕に聞かせてくれた。
たぶん、英語で読む本も音読したほうが後々いい効果が現われるのかもしれない。

オーディオ・ブックも恩恵は他にもある。
自分では絶対に買わないような本(もちろん単なる食わず嫌い)にめぐり合い、感動を与えてもらうことだ。
例えば「放浪記」で有名な林芙美子の作品たち、樋口一葉の「たけくらべ」、高村光太郎、三好達治、金子光晴などの詩集は昔からハヤカワミステリ文庫などの海外文学に漬かってきた僕にとって絶対に手を出す分野の本じゃない。
しかし、これらの古典に触れると、ああ、日本人っていうのは美しいなぁ、などとしみじみ思ってしまう。
海外に住んでいるから、なおさらそう思うのだろうか?

忙しい皆さん、読書量を確保するのは難しいでしょう。
今はグーグルなどで知りたい情報の断片をすぐに手に入れることができるけれど、やはり本が与えてくれる上質の情報は僕たちを豊かにしてくれると思う。
オーディオ・ブックを聞きながら一日一時間歩くと、脳と体の両方が満たされます。
自分のための一時間を一日一回確保しましょう。











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by somashiona | 2010-08-24 08:40 | デジタル

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