オーストラリアン・ラブラドゥードル「ワラタ通信」最終回




ワラタ通信最終回です。
ワラタがTLBC(タスマニアン・ラブラドゥードルズ・ブリーディング・センター)を去る前日の8月30日、この日のワラタは誕生81日目、体重5.2kg、体長は尻尾を入れず約45cm、高さは約42cmでした。
これと同じことが僕の身に起これば激太り、彼の身なら順調な成長ぶり、ということになるのです。
この日の主役はテザートレーニング中の子犬たち7匹、すべて翌日に日本、オランダ、シンガポールへと旅立つ子犬たちです。








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オーストラリア国内で飼われる子犬たちと違って、海外に旅立つ子犬たちはTLBCを離れてから飼い主のもとに届くまでの移動時間、突然多くの人、車、雑音、匂いなどにまみれ、クレートの中で長い時間を過ごすことになります。
なので、そういった環境の変化に子犬たちがストレスなく対応できるようクレート・トレーニング、テザー・トレーニング、リード・トレーニング、シティウォーク・トレーニング、パピー・ウィスパーリングを十分に行うのです。
これらのトレーニングはTLBCにとってかなり大きな負担となるのですが、これをしっかり行っているからこそ、海外からの子犬たちのオーダーが年々ものすごい勢いで増えているのだとポールは考えているようです。
今日はこの子たちが少しでも早く社会に順応するためのトレーニングであるシティウォーク・トレーニングを行う日。

ポールとリズの娘リサがワラタを優しく抱きかかえ、どこかに向かって歩き出します。








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ワラタは夢心地でニンマリ。
しかし、ワラタの幸せは長くは続きませんでした。
雨でもないのに大量のぬるま湯で体中びしょ濡れ、次の瞬間泡泡攻め、ショックを隠しきれないワラタ。








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バスタオルで体を拭かれている時もなにか納得できない表情。








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ちなみに僕の子供たちの愛犬アプリコットが我が家へやってきたとき、体を洗う時はいつも戦争でした。
なんとか逃げようともがくアプリコットを押さえつけながらのシャンプー合戦。
アプリコットと同じくらい子供たちも毎回びしょ濡れです。
なので大人しくシャンプーされているワラタをみて、僕は驚きました。
外に出ると、ポールが長いホースの付いた機械を持ってきます。
ワラタ、いや~な予感。








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ドライヤーの音に少し怯えるワラタ。
新しい首輪を付けてもらいました。
いい子にしていたことをポールやリサから褒められ、ワラタいい気分。
毛もフサフサになってぬいぐるみ状態。








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タスマニアは人口約48万人。
州都のホバートに約19万8千人、そして北の都ロンセストンは約9万人の人口です。
TLBCはロンセストンに近く、車を制限速度110km/hで走らせるて約30分の距離です。
ポールと僕は明日旅立つ7匹をワゴン車に乗せ、ロンセストンへ向かいました。
7匹の子犬たち、車から降り、慣れないリードを付けられ何だか落ち着かない様子。








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エレベータに乗るときは全員「嫌だ嫌だ!怖いよ怖いよ!」状態。








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にもかかわらず、繁華街に出た途端、「あれ、あれ、あれは何?これは何?うわっ、知らない人がたくさん、あら、いい匂い、あっちも、こっちも、、、」全員好奇心むき出し、体中からアンテナが飛び出ているようです。








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とにかく、どこを歩いても注目の的。
少し歩くたびに人が寄ってくる、寄ってくる、話しかけてくる、触ってくる。
子犬たちを連れて通りを歩くとセクシーウーマンとの出会いのチャンスがこんなにもあるのか!と白昼夢と闘いつつ、地面すれすれにカメラを這わせ、撮影しました。








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ワラタ、この日一日で何人ぐらいの人たちから頭を撫ぜられたことでしょう。
僕たちのアプリコットにはこういう経験がなかっただけに、ワラタのこういった時間をとても羨ましく思いました。
社会に順応するための最も大切な時期「クリティカルピリオド」にこういう経験をすることの大切さはこの日の撮影で十分に理解できました。
人も犬も多くの人から褒められ、触れられ、愛されれば愛されるほど豊かな心が育まれるのでしょう。
クリティカルピリオドをとっくの間に過ぎてしまった僕も、街に繰り出す頻度をもう少し増やそうかと思いました。


ポールと僕はロンセストンで犬たちの餌を買い、動物病院へ寄り、夕食をとってからTLBCに戻りました。
ポールと打ち合わせをして、予約していた宿にチェックインしたのは夜の9時半でしたが、ポールにはその後も6匹の子犬のシャンプー、クレートの掃除、生まれたばかりの子犬たちのチェック等、やることがまだまだ山積み。
ブリーダーの仕事、くどいようですが本当に大変です。
でも、ポールと夕食を取っているとき、「仕事以外で何をしている時が一番幸せなの?」と尋ねると、「やっぱり、結局、、、犬たちと過ごしている時間が一番幸せなんだよ」としみじみ言っていました。
犬も人間も、生き物の世話をするということは、結局おしっこ、うんち、食事、おしっこ、うんち、食事の繰り返しだと思うのです。
一日も欠かすことの出来ないそれらの作業をとことんやってもそれが好きと言える人は本物だと思います。
ポールは本物の愛犬家です。








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翌朝僕は5時に起床し、ホテルの部屋でタップリ朝食を食べてからTLBCへ向かいました。
運転席から右側へ目をやると、うっすらと雪を被ったベンローモンド山から朝日が輝き始めています。








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雨を含んだグレーの雲が広がっていますが、雨はまだ雲からこぼれ落ちていません。








約束通り、午前7時10分前にTLBCに到着するとリズはワラタともう一匹の子犬、今日オランダへ向かうラブラと遊んでいました。








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すでにこの日の朝5時に3匹の子犬たちをリズは空港へ送り届けていたのです。
この3匹はシンガポールへ旅立ちました。
ラブラとワラタを車に乗せる時間です。








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クレートに入る瞬間、ワラタが見たこのTLBCの風景、たぶんもう二度と見ることはないのでしょう。しっかりと彼の記憶に刻み込まれたでしょうか?








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ロンセストン空港に到着しました。








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航空便を扱う会社は空港のメインエントランスの裏にあります。
空港内のこういう場所に来るのは僕もはじめてで、普通は撮影禁止エリアです。
ワラタのタスマニア最後の姿を見届けるには僕もこの航空便を扱う会社の荷物受付口に入らないといけません。
正式な許可証を申請して断られてしまうとそれでおしまいなので、ワラタを受け渡す直前に係の人に口頭で僕のことを伝えようと前日、ポールとリズそして僕の3人で相談していました。
この日の朝5時にリズが係の人に僕の説明をしてもらい、プライベートな写真であるということ、滑走路、及び荷物が運びだされる場所にはレンズを向けないこと(セキュリティ上の問題)を約束して、中に入る許可証を即日もらいました。
もちろんポールやリズが係員と親しいため成立することであって、僕が直接許可証をもらおうとしたのなら時間がかかったでしょう。
中に入れなかった可能性も大です。
こういうところは、タスマニアならではの(田舎ならではの)「いい加減さ」なのです。
この「いい加減さ」イライラする時もあれば、今回のように大助かりの時もあります。
クレートを開けるとワラタは「う~ん、やっと開けてもらえた」と言わんばかりに伸びをしています。








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いやいや、ワラタ、君の長い旅はこれからなんだよ。
空港での書類関係の手続きはリズの仕事。
不備がないようにてきぱきと仕事をこなしていきます。








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こうしている間にも犬を持ち込む人、小包を持ち込む人など、人がどんどん増えていきます。
お別れの時が近づきます。
ポール、リズ、ワラタやラブラに最後の抱擁を。
おそらく、もう二度と会うことはないでしょう。








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ポールとリズの二人にとって、この瞬間は役目を果たしホッとする瞬間であり、寂しさを感じる瞬間でもあるでしょう。
ワラタと短い付き合いの僕でさえそう感じるのですから。
さあ、いよいよワラタをクレートに入れなければなりません。
ポールは一つ一つの手順を確認するように、ワラタをクレートに入れます。








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僕もクレートの横にカメラを置いて、ワラタにサヨナラを言わなければなりません。
「ワラタ、元気でな」と言ってクレートに指を差しこむと、ワラタは嬉しそうにペロペロと指先を舐め応えてくれます。
クレート越しにワラタを撮ります。
ここで、僕の今回の仕事は終了しました。








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ワラタを大切にしてあげてください。
彼はとってもいい子です。



今回の仕事、とても楽しませてもらいました。
よい機会をいただいて、本当に嬉しかったです。


日本でのワラタの様子、ぜひ写真に撮って送ってください。
ポールやリズも楽しみにしているはずです。
写真にワラタと一緒のお二人の姿を入れるのをお忘れなく!

これからは「ワラタ通信日本版」ですね。
楽しみにしていますよ。

今回は本当にありがとうございました。


マナブ



















今回の仕事、一匹のワンコを通して色々なものを見せてもらった。
「人の幸せってなんだろう?」ということは僕がいつも考えるメインテーマなのだけど、今回は「ペットとしての犬の幸せってなんだろう?」を何度も考えた。
小さな疑問が沸き起こるたびにラブラドゥードルのスペシャリスト、そしてご自身もラブラドゥードルのブリーダーである「オーストラリアン ラブラドゥードルのいる生活 Labradoodle Paradise」を運営している阪上恭子スタームさんに質問をぶつけた。
疑問が起こると前に進めない面倒な性格なのだ。
面識もない僕からのぶしつけな質問にも関わらず、恭子さんはとても丁寧かつ熱心に僕の疑問に答えてくれた。
彼女の答えの根底にあるのはいつだって「何がこの子たち(犬たち)にとって一番いいことなのか」ということで、面倒な問題もそこを踏み外さなければ正しい答えが見えるのだという考え方に(僕の勝手な解釈です)、僕はある種の感動をおぼえた。
そしてこのことはブリーダーのポールも、そしてワラタを迎え入れるM.Sさん、T.Iさんもまったく同じだった。
今回僕が学んだ公式はこうだ。



愛犬にとって何が一番幸せかを考える 
→ 食、環境、社会、飼い主の時間管理も考えるようになる 
→ 愛犬が活き活きと健康で幸せに過ごす 
→ うんち、しっこ、ごはんを通して自分を犠牲にすることもおぼえる
→ 言葉さえ通じない愛犬の幸せを感じられる幸せな人間になる
→ ああ、愛犬のいる生活ってなんていいのだろう、と思う。

え、全然公式になってない?
まとめにもなってない?
言わんとしていることはわかるよね?

3回にわたる「ワラタ通信」、お付き合いいただいてありがとう!
で、いつ「プロの写真は違うなぁ」な一枚を見せてくれるの?とか言わないようにお願いします。

あ、そうそう、今は日本にいるワラタ、順調に成長し、体重も13kgを超えたそうです。
















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by somashiona | 2010-11-02 19:37 | 仕事

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