「罪と罰」は子供が読むべき本か?





子供とお年寄りは、代わり映えない毎日の中からきらめくダイヤ、とは言わぬが、綺麗な石を見つける達人だ。
些細なことを見つけてはニコニコと笑い、その心が次の些細な幸せを見つける動力となる。
子供と老人のその能力は、ひょっとすると両者が命の重さを身を持って経験した存在だから持ち得るのかもしれない。
子供は生命の誕生を経験してからまだ日が浅いし、老人は生命の終りを肌で感じているから。
そんな彼らが読むべき本は上質な児童文学なのだろう。


ミモちゃんのママは文学を深く勉強している人なので、彼女のまわりは良い本で溢れている。
子供のあの感性に上質のストーリーが与える影響は多大だろう。
僕は子供の頃、児童文学なるものにまったく触れずに育った。
本好きの友人たちを眺めると、統計的に親が本好きであることが多い。
僕の場合は両親とも本を読まない人だった。
本を読まない少年の頃の僕にとって、図書室というのは、極めて異質な空間だった。
そして、そんな異質な空間に好んで足を運び、友達とドッチボールやプロレスごっこなどせず一人で本を読む生徒たちは、僕にはほとんど宇宙人的存在だ。
でも、今思えば、彼らの心の中の宇宙は、僕のものより遥かにだだっ広かったのだろう。
そんな僕だが心だけは異常に多感で、かなりおませだった。
子供ながらに、僕はいつもいろんなコトに悩み、とても苦しかった。


小学校の5、6年の頃、図書室で「罪と罰」を見つけた。
ドストエフスキーのことなどもちろん知らなかったが、多感な僕にそのタイトルが魅力的だったので手にとったのだろう。
「罪と罰」を家に持ち帰り、全て読んだ。
長い物語のはずだけど、僕の借りた「罪と罰」は一冊の、しかもそんなに分厚い本ではなかった。
たぶん子供用に編集されたバージョンだったのかもしれない。
長い間、「罪と罰」のストーリーをまったく思い出せないでいた。
僕の記憶に残ったのは、苦しみを抱え、熱に犯されながらただただロシアの地をさまよう主人公のラスコーリニコフが見たであろう自分の足元と、金貸しの老婆を殺す場面だけ。
大切な登場人物であるソーニャや主人公を追い詰めるポルフィーリイ、そして僕が最も気になった人物スヴィドリガイロフなどは驚いたことにまったく記憶にない。


昨年、ロシア文学のあの重たい気分に浸りたくて日本を訪れたときに「罪と罰」を買った。
上・下巻、改行箇所が少なく文字がぎっしり、しかも読みにくい文体でもともと本を読むのが遅い僕にはかなり堪える本だった。
この本の中で語られるすべての言葉に無駄がなく、すべての言葉が深い意味を持っていた。
登場人物一人ひとりが大切な役どころで、一人ひとりが人間の象徴だ。
読んでいる間も、読んだ後も、考えに考え、打ちひしがれ、ひれ伏した。
一人の人間がこんなに凄い物語を創りえることに感動した。
この本が長い間世界中の多くの人たちに読まれ続けている理由が納得出来る。
昨年読んだ本の中では間違いなくナンバーワンだ。
(ちなみにナンバー2はジョン・アーヴィングの「サイダーハウスルール」、昨年は彼の長編をたくさん読んだ)


しかし、「罪と罰」を読んだ後、しばらくたって僕は考えた。
この年齢になっても傷口に塩を塗り込めれるような感覚がするあの内容、多感な時期の僕にはかなりの衝撃だったに違いない。
ひょっとして、僕はある種のトラウマを持ってしまったのではないか?
少年の頃、あの本を読んで以来、ことあるごとに老婆が殺されるシーン、殺しに行くラスコーリニコフの足取りが、まるで自分が経験したことのように蘇り、心臓がドキドキする。
あたかも自分が老婆を殺してしまったかのように、、、。


そう考えると、あの本が小学校の図書館に置いてあることの意味を考えてしまう。
児童文学って、子供に生きることの素晴らしさ、夢、希望を持つことの尊さ、勇気を持って行動することの大切さを教えるものなのでは、、、。
いや、今でも主人公の精神状態まで感じられるほどの衝撃を残したのだから、それなりの意味があったのでは、、、。


「罪と罰」あと3、4回読んだらその意味がわかるかもしれないが、少なくともソーマにはまだオススメできないなぁ。
皆さんは、どう?










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by somashiona | 2011-03-10 08:34 | デジタル

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