ナイティ



オーストラリアではネグリジェのことをナイティ(nightie)と呼ぶ。
日本人の僕にとってネグリジェというのは27歳から40歳くらいの妖艶なブロンドの女性が着るあの肌が透けて見えるようなシルクの生地にバラの刺繍が入っている類(たぐい)の寝間着というイメージだったのだが、オーストラリアに来てその幻想は崩れた。


僕の知る限り、その年令の女性はネグリジェなどほとんど着ない。
(僕の知る限りって、あなたはいったいどれくらいたくさん知ってるの?という突っ込みは無しでお願いします)
ナイティを着てベッドに潜り込むのはお年を召した女性たちだ。
早朝、家の敷地内に投げ込まれた朝刊を頭にネットを被せたままで(髪の毛が崩れないように?)取りに出てくるお年を召した女性たちはだいたいナイティを着ている。
老人ホームで生活する女性の寝間着の90%は間違いなくナイティだ。
高齢の女性が着るナイティは独特の臭がする。
決して嫌な匂いではない。
なにか懐かしさを感じさせる匂いで、優しい気持ちにさせられると言っても言い過ぎじゃないと思う。
一瞬、自分が昔帰属していたところ、たくさん吸った覚えのある空気、を頭じゃなく、身体が思い出す感じがする。
さすがにナイティを着て寝る高齢の男性はまだ見たことがないが、イギリスなんかで書かれた古い小説を読むと登場人物が「わしはどうもあのパジャマなるものを履いて寝ることに馴染むことができんのじゃ」というのを時々目にするので、たぶん彼らもナイティだったのだろう。


「おやすみ」を言うため、すでにベッドに入っている高齢の女性の部屋のドアを開けると、あのナイティの匂いが漂う。
読書灯にかすかに照らされた皺だらけの顔に微笑が広がり「ナイナイ」と言って手を振る。
高齢の女性の多くが「おやすみ」と言う時に口にするこの「ナイナイ」は時に「ナイトナイト」(night night)に聞こえたり、「ナイティナイン」(99)に聞こえたりする。
でも、実は「ナイティ ナイト」(nightie night)と言っているようだ。
やはり寝るときはナイティなのだ。

誰かの庭のヒルズホイストにナイティがぶら下がっていると、見てもいないのに高齢の女性がそれを着てベッドで目をつぶる絵が思い浮かぶし、あの独特の匂いさえ嗅ぐことが出来る。
写真のナイティは高齢の女性が着る典型的なタイプだ。
80歳の3姉妹がこれを着てソファに座り、夜の天気予報を見ている絵を想像して、思わず笑ってしまった。











f0137354_1045286.jpg





















にほんブログ村写真ブログに参戦中。
わたしはやはりセクシー女性が着る透け透けのネグリジェがいい、と思った人もポチッとよろしく!

にほんブログ村 写真ブログへ
にほんブログ村









このブログへのご意見、ご感想がありましたらEメールにてtastas65*yahoo.co.jp
(*マークを@に変えてください)のアドレスにぜひお寄せください。
また、お仕事のご相談、依頼も大歓迎です!










by somashiona | 2011-12-15 10:50 | デジタル

<< previous page << オーストラリアで朝食を | 今年心に残った写真 >> next page >>