その土地にその顔



地方に足を伸ばすと都会ではなかなか見ることのできない顔に出会う。
それはどこの国でも同じ、北海道の十勝地方で酪農を営むお父さんとタスマニアの真ん中あたりで羊を追いかけるお父さんの顔にはある種共通のその地方や産業を語るシワが顔にしっかりと刻まれている。
若者もしかりだ。
職業や様々な責任が人格を形成する前の顔、その地方が持っている独特の感覚、経済状況、親をはじめとした周囲の大人たちを見て学んだ人間のあり方や関わり方が若者たちの顔に如実に現れる。


大きな鉱山の事故の為、オーストラリア中の注目を浴びていた小さな町へロイター通信から派遣された。
初めて訪れた町だ。
一人の死亡がすでに確認され、地下深くに残された二人の生存者の救出を誰もが願っていた。
普段はまったく人が訪れないような、小さなこの町の人口よりも多いのではないかと思うほど、メディア関係者で町は溢れかえり、心配する多くの住民たちがひっきりなしにテレビや新聞各局のインタビューを受けていた。
救出劇がはじまる前の町の様子を少しでも多く撮り、通信社へ送らなければならない。
他者のフォトグラファーが行かないような場所をあえて歩きまわると、若者たちの集団が陽気に騒いでいた。
手元や足元にはビールの缶やビンが散らばっている。
東洋人と接する機会などほとんどないであろう彼らは、僕の姿を見つけるなり、ものすごい目付きで睨みつけてくる。


「ヘイ ガイズ、調子はどう?僕はここ2、3日まともに寝てなくてさ、君たちのようにビールをくらって、ガハハと笑って、それからイビキをかいて眠ってしまいたい気分なんだよ」と話しかけると、すかさずビール瓶を差し出され「だったら飲めよ、俺達がおごるぜ!」と一人が言い、強面の顔から笑顔が現れると彼らの表情も一気に緩んだ。
「おめえ、チャイニーズだろ?」と一人が叫ぶと、もう一人が「バカ言うんじゃねぇ、どう見たってアフリカンだろ」と言って全員が笑う。
「なんだよ、でっかいカメラぶら下げて。マーキュリーか、それともイグザミナーか?」(タスマニアの新聞)
「ロイターだよ、今日はね」と僕。
「何じゃそりゃ、そんなの聞いたことねーぞ、ローリー(キャンディ)の間違いじゃねーのか!」という男のろれつは回ってない。
「君たちの写真を撮りにわざわざ遠くから来たっていうのに、そんなに酔っ払ってちゃ、男前が台無しだろ。また出なおしてくることにするよ」と言ってカメラをかかげる。
「なんだよ、お前、ちゃんと俺たちを撮れよ!酔っ払ってなんかいねえぜ。でもよ、タスマニアの新聞には載せてもらえねーのかよ」
「何いってんだよ、ロイターは世界だよ。アメリカやイギリスのセクシーなお姉ちゃんたちが君たちの姿を見るんだよ」と僕は言って彼から距離を取り、カメラを構える「さあ、いい顔してくれ、こっち、こっち、こっちを見るんだよ!」


もちろん、これらの写真が今回のニュースで使えないのはわかっている。
メディアはいつも伝えたいイメージだけを切り取り、あたかも全体がそういう状況だとでもいうように表現する。
僕たちが目にする画像やインタヴューはすべて作り手が選び、繋ぎ合わせたものだということを前提に見るべきた。


ローカル色いっぱいの彼らからビールを飲まされる前に、次の獲物を求めてその場を離れた。










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by somashiona | 2012-01-16 08:02 | 仕事

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