テレビ番組をめぐる戦い




思春期の頃、僕を最もイライラさせたのはテレビ番組をめぐる父との(一方的な)戦いだった。
仕事を終え、家に帰ると風呂に入り、それから晩ご飯を食べ、ビールを飲む。
その後、父は白いランニングシャツとステテコ姿ででソファーを陣取り、テレビのリモコンを握りしめ、うとうとするまでテレビにかじりついていた。
プロ野球中継、火曜サスペンス劇場、NHK7時のニュース、9時のニュース、クローズアップ現代、NHK大河ドラマ、、、今のように各部屋にテレビがある時代ではない。
テレビは一家に一台、僕にだって楽しみにしている番組はたくさんあった。
それを観なければ翌日、学校で話題についていけない、子供のコミュニケーションの要となるような重要な番組があったにもかかわらず、父がソファーに寝転がり、どこかにチャンネルを決めると、僕たち家族は文句の一つも言えず(いや、文句は星の数ほど言った)不機嫌にテレビ画面を見つめるしかなかったのだ。
僕は木曜スペシャルの矢追純一UFO番組を何週間も前から楽しみにしていたのに、水野晴郎が水曜ロードショーで「いやぁ、映画って本当にいいもんですね」というのを聞きたいがために、夜勉強をするふりをするなど数かずの努力をしたにもかかわらず、番組を父から奪取することは不可能だった。

僕は子供の頃からプロ野球というのが死ぬほど嫌いだった。
集まればすぐに野球の話をする奴らはたぶん他に話すことが何も無いのだろうと思っていた。
ましてや勝った、負けたで怒ってみたり、髪を刈ったり、川に飛び込む連中などは、矢追純一が追いかけている宇宙人に違いないと思っていた。

火曜サスペンス劇場に代表される一連のドラマが死ぬほど嫌いだった。
映画というものがあるじゃないか、ねえ、みんな、ドラマなんかどうでもいいから、映画を見ようよ!それがその頃の僕のキモチ。
小学校4年生くらいの頃から映画に夢中だった僕にとって、水曜ロードショーよりなんとか殺人事件簿を選ぶ父がどうしても理解できなかった。
「ねえ、父さん、だってさ、予算のかけ方が違うんだよ、アメリカ人だけじゃなくて世界をマーケットにして作ってるんだよ、この映画に影響されてこんなふうに社会が変わったんだよ、、、」いかなる主張も片平なぎさや坂口良子の魅力の前に意味をなさなかった。

「ねえ、父さん、そのニュースはさ、さっき7時のニュースでやっていたのとおんなじでしょ。一度見たんだからさ、何度も見なくていいじゃない!」
ニュース番組は各局、一日一本だけ、そういう法律が出来る日を夢見ていた。

NHK大河ドラマ、去年のものと、今年のものの区別が僕にはできなかった。
いつ見ても僕には徳川家康か織田信長で、赤穂浪士と新選組の区別もつかない。
一週間の締めくくりがこんなちょんまげ番組で終わるなんて暗すぎる、と絶望的な気持ちでテレビ画面を眺めていた。

日本に帰国すると、ひと通りテレビ番組を見てみる。
はっきり言って、どれもこれも強烈につまらなく感じる。
うるさいし、こっちは呆れているのにテレビの中の人たちはいつも品なく笑っているし、テレビの中に文字が多いし、照明は明るすぎるし、映画も吹き替えだし、内容もかなりカットされているし。
気がつけば、日本でテレビを観ていて面白いと思うのは、プロ野球中継以外、あの頃父が観ていたチョイスと同じ。
今はサスペンス劇場といわないかもしれないが、その手のこてこてのドラマなど予算をたっぷりかけ車が爆発したり、ビルが崩壊するアメリカ映画よりよっぽど面白い。
これはいったい、どういうことなのだろうか?
人は年を重ねると、誰でもそういうふうになるのだろうか?
あれほど好きだった映画を観るのが、最近本当に苦痛になってきた。
僕は年をとってしまったのか?
「ふふふ、今ごろわかったか」と父は空の上で思っているだろう。

今、僕は子供たちとテレビ番組をめぐる戦いをしたことなど一度もない。
(僕の家にはテレビがなく、どうしても観たいときはパソコンで見る)
僕が感動のドキュメンタリーを観て涙を流しているその横で、子供たちはMacBook Airを開いてYouTubeを観ている。











本日の一枚










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ある晴天の日、白い壁に木の影が見事に映っていた、が、これだけでは物足りない。
スナップショットの写し方の一つに先に構図を決め、そこにkeyとなる被写体が入ってくるのを待つやりかたがある。
才能のある写真家は何故か素晴らしい被写体をその構図の中に呼び寄せることが出来る。
ブレッソンをはじめ、僕が憧れるナショジオのデイビッド・アラン・ハーベイやサム・エイベルもこの方法を多用する。
写真を撮るということは、選ぶことでもある。
他の人が見れば同じようなカットだったとしても、撮った者だけがそこから選ぶ一枚を知っている。
僕は4枚の中からこの一枚を選んだ。
撮るべき被写体を見つけたら、出来るだけシャッターを切るべきだと思う。
しかし、なぜかいつも最初の一枚目がいい。
















選ばなかった写真たちはこの下








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by somashiona | 2012-02-01 16:34 | デジタル

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