チームの姿







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今回、僕に羊の毛刈りを見せてくれたのはウール・クラッサー(Wool Classer)(刈った羊の毛のランクを選別する羊毛評価鑑定者)であるデイビッドの率いるチームだ。
身体を使って仕事をする集団のリーダーには常に独特の存在感のようなものがある。
ほとんどの場合、たぶんこの人がリーダー(ボス)だろうな、と外見やムードから目星をつけた人に間違いない。
リーダーからは厳しさと包容力が混じり合ったようなもの、お父さんやお母さんが子供たちに対して見せる温かさのようなものがある。
これがある人がリーダーになるのか、それともリーダーになったからこういう力がつくのか、たぶん前者の方だろう。
デイビッドは時々、冗談を言って周囲を和ませ、また自分の仕事に対する集中力と厳しさを示すことで、メンバーたちの各々の仕事に対するモティベーションを自然なかたちで高める。
あの大きな手で羊毛の何ミクロンかの差を感じ取るその作業は、超一流の寿司職人がシャリを握る姿のように素早く、無駄がなく、そして正確だ。
どんな分野でも職人の仕事を見るのは楽しい。












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ある集団を取材(撮影)するとき、キーマン(リーダー)を素早く探し出すのと同様、注意すべき人物をできるだけ速く見つけることも大切だ。
注意すべき人物、曲者、変わり者、そういう人の気分を害してしまうと、取材そのものが難しくなってしまいかねない。
集団の中には必ずこういうタイプの人が混じっている。

写真の彼、決して曲者でも変わり者でもなく、正真正銘の良い人物であり、ネガティブな意味ではなく「注意すべき人」であった。
このチームの中のムードメーカーであったことは間違いない。
僕が被写体に集中してファインダーを覗いているとき、レンズの前にわざとパラパラと羊の毛を落としてみたり、「ワッ!」と突然大声を出して脅かしてみたり、予告なしで脇腹を突っついたりと。
僕は何度も飛び上がり、カメラを落としそうになった。
それでもめげずに彼にレンズを向ける僕に対して、睨んでみたり、危なく指を一本あげそうになったり、、、。
「どうして俺たちを撮るんだ?撮った写真を何に使うんだ?えっ、日本の人たちに俺達の仕事を紹介するだと?って事はお前、スパイか?」僕に向かって一番話しかけてくるのも彼だった。
撮った写真を早く彼に見せてあげたい。












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取材する人たちと一気に距離を縮めるチャンスは休み時間にある。
羊の毛刈りをする農場には作業をするシェアリング・シェッド(羊の毛刈りをするための専用の小屋)の他にシェアラーズ・ハウスという毛刈りをする人たちが寝泊まりし、短期間の生活が出来るような小さな家を用意している。
今でこそ、シェアラーたちは車に乗って仕事場である依頼主の牧場や農場にやって来るが、昔は馬や馬車で時間をかけてやって来た。
一日の仕事が終わった後、いちいち自分の家に帰ることなど出来なかったので、毛刈りの期間中はシェアラーズ・ハウスに寝泊まりすることになる。
寝室、キッチン、トイレ、バスルームなど生活のために最低限必要なスペースを備えた家(小屋)だ。
伝統的に仕事を依頼した農場主が腕によりをかけて美味しい食べものをシェアラーたちにご馳走する。
シェアラーたちは依頼主からとてもリスペクトされ、大切にされている。
今回、依頼主はジュリアンとチャシーなので、シェアラーたちは、それはそれは美味しいご馳走を朝、昼、晩と堪能したはずだ。
僕が訪れた日のラザニアやアップルパイも最高に美味しかった。
鬼のような顔で汗を垂らしながら羊たちの毛を刈っていたシェアラーたちに笑顔が戻り、とても和気あいあいなお昼休みだった。
彼らには珍しい日本人の僕はたくさんの質問を浴び、僕には珍しいシェアラーたちにもこのチャンスを逃すまいとたくさんの質問を浴びせた。
こうして僕たちはお互いを少しだけ知り、昼食の後は午前中よりも格段一歩前に突っ込んだ写真が撮れた。












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学生時代、測量や土方仕事をたくさんやった。
こういう肉体労働は昼休みの後、必ずといっていいほど昼寝をする。
山の中で測量の仕事をした時など、アリやクモがうじゃうじゃいる地面や草むらの中で昼食を食べ終えた労働者たちがヘルメットを枕に一斉に昼寝をはじめるのだ。
都会育ちのお坊ちゃんな僕は(自分で言うな)無理、無理、こんな場所で寝れっこない、と思うのだが、ちょっと横になったとたん、天国の雲の上に浮かんでいるような深い眠りに落ちる。
ほんの30~40分の仮眠に過ぎないのだが、この昼寝、恐ろしく気持ちがよく、病みつきになる。
資材置き場の片隅でも、道路の路肩でも、目をつぶればホテルニューオータニのベッドの上だ。
この習慣、海外の肉体労働者にも当てはまるようだ。
休憩中、最初は話をしているが、そのうち床の上やそこらじゅうで寝てしまう。
どこで寝ようが、肉体労働の後の昼寝は天国だが、働き者の娘さんが選んだ寝場所は100%正しい。
山積みになった刈りたての羊の毛のベッドだ。
いい夢みれるに違いない。












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この娘さん、休むことなく、常にものすごく真剣に働いていた。
まだ若いのに感心するな、と思って僕は見ていた。
昼休みの時に僕たちは少しだけ話をした。
幼い時からシェアラーである父親の仕事について行ったらしい。
そのうちに、見よう見まねで仕事を手伝うようになり、今ではチームの一員として立派にお金を稼ぐ。
「将来は君も女シェアラーとして活躍するんだろうね」と僕が言うと「私がやりたいことは、他にあるの」と彼女はキッパリ応えた。
「私はね、この後、学校でツーリズム(旅行産業)を学び、将来はタスマニアの素晴らしさを一人でも多くの人に体験してもらえる仕事をするの」
たしか彼女は16歳か17歳だったと思う。
幼い頃から父と共に仕事場で汗を流し、自分の学費や食費がどこからどうやって出てきたものかよく知っている彼女なら、なにをやってもきっと一所懸命に取り組み、自分の夢を叶えていくことだろう。

尊敬する父と愛する娘、仕事を終えた後の二人の顔は、まるで別人のように清々しかった。












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つづく(To be continued)
















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by somashiona | 2012-06-11 18:45 | デジタル

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