スティルライフ



昔、札幌で活躍するベテランのスタジオフォトグラファーに写真上達の秘訣を聞くと「それは風景写真を撮ることだ」という答えが返ってきた。
当時、僕はロスアンゼルスで毎日写真漬け、しかも頭の中はポートレイトとドキュメンタリーしかなかったので、「はいはい、年配のフォトグラファーは何かと言うと風景なんだから」とあまり敬意を払ってそのアドバイスを聞かなかった。
ただ、彼の言った言葉は僕の頭から長い間離れずにいた。
「風景写真を撮るということは太陽の光を観察すること。硬い光、柔い光、角度、色温度、そういった秒単位で変化する様々な光を見極めること。写真は光と影。それを学ぶなら、風景写真を撮るのが一番だ」この言葉はいつまでも頭の中に残った。

今なら、彼の言葉に強く頷ける。
僕はいわゆる風景写真家ではないが、ポートレイトやドキュメンタリーじゃなけりゃ、という縛りから解放されたあと、自然の光から学ぶ機会が増えた。
カメラが進化したこともひとつの理由だが、最近はスピードライトやストロボなどの人工的な光を使わずにできるだけ場明かりを使って写真を撮るよう心がけている。

風景写真同様、スティルライフ(静物写真)を撮ることも写真上達の秘訣だろう。
いい写真を撮る人は、この分野でもやはり唸らせる写真を撮る人が多い。
時間のあるとき、キッチンにある果物や野菜、皿やフォークなどをかき集め、テーブルの上でああでもない、こうでもないと格闘してみることがある。












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これらの作品が僕の撮った写真ならどんなにいいだろうと思うが、3枚とも1900年代に活躍したアメリカの写真家、エドワード・ウェストンの写真だ。
僕にとってスティルライフといえばエドワード・ウェストン。
1930年代にアンセル・アダムスやイモージン・カニンガムらと「グループf64」という団体を結成した人物としても有名な写真家だ。
f64というのは大判カメラ最小の絞り値、最大の被写界深度で被写体を究極的にシャープに映し出し、その造形美を追求するという彼らの精神がストレートに伝わる。
ウェストンのオリジナルプリントをはじめてみた時、モノクロ写真がこれほどまで美しくなり得るのかと、心の底から驚き、感動した。
まるで被写体が印画紙の中から浮き上がり、手にとってその感触を味わっているかのようにプリントを鑑賞することができる。
彼らは暗室の中で焼きこみや覆い焼きのテクニックを使い、とことんプリントを詰めていく。
完璧なネガを作るアンセル・アダムスでさえ、その行為抜きでプリントを作ることはなかったらしい。
この作業、いま僕たちがパソコンの中でフォトショップなどのソフトを使って行うマニピュレーション(画像処理)と同じといえばたしかにそうなのだが、出てくるものの重さがこんなにも違うのはどうしてなのだろう?
被写体が例えピーマンであろうがキャベツであろうが洗面器であったとしても、今のフォトショップで出てくる写真と圧倒的に違うのは、やはり彼らの被写体を観察する眼なのではないかと思う。












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というわけで、僕もタスマニアのウェストンになりきり、バナナを心の目で見てみるが、出来上がったものは、、、。












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シオナの感覚とさほど変わらない自分の感性に悲しくなる一日であった。
























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by somashiona | 2012-07-11 15:16 | 写真家

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