リッチモンドで墓地観光
ホバートから車で約30分ほど走ったところにあるリッチモンドという小さな街にはオーストラリアに現存する最古の刑務所、橋、そしてカソリック教会がある。
ここを観光で訪れるオーストラリア人の気分は日本人の僕たちが京都や奈良を訪れるときの感覚に似ているのかもしれない。
とにかく、オーストラリア人の郷愁を誘うリッチモンドという場所は、タスマニア観光する際には外せない街だ。
しかし、ここを訪れると僕は、見るべき観光スポットをよそに、オーストラリアに現存する最古のカソリック教会であるセント・ジョーンズの墓地で毎度のことながらほとんどの時間を過ごしてしまう。
この日、墓地の中に入ると新しく土が盛られたお墓が目に飛び込んだ。
まだ墓石もたてられていない。
たぶん、数日前までは生きていた人が今この瞬間、自分の足元で眠っているのだ。
不思議じゃないか。
墓地を訪れると、必ず墓石に彫られている文字を追いかける。
ああ、この人は僕と同じ年に生まれた人じゃないか。
この兄弟は二人同時に亡くなったんだ。何があったんだろう。事故だろうか。
「私たちの大好きなママ、いつまでも愛している」
ボロボロになったぬいぐるみが置かれている墓石に刻まれた子は4歳の時に亡くなったんだ。両親はさぞかし辛かっただろう。
この墓石はとても古いものなのにどうしてこんなに手入れが行き届いているのだろう。ああ、なるほど1800年代にタスマニアの開拓に貢献した人なんだ。
墓地をめぐるのが好きだというと、気持ち悪いとか、暗いと言われることがあるが、死について考える時ほど生を強く感じる瞬間はない。
生きていることを実感できるのは、とてもポジティブな態度だと思う。
普段は息をしていることを忘れているように、生きていることをあたり前のことと思っているから。
死を意識すると、生きていることがありがたく、そしてそれにはなにか大切な意味があるような気持ちになる。
いずれ、僕の葬式に友人や子供たちが参列する時がかならず来るのだ。
しっかりと生きなくてはならない。
墓地の写真をモノクロで表現するのは安直かもしれないけど、やはり気持ちはどっぷりとモノクロだった。
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by somashiona | 2013-06-01 09:09 | デジタル