完璧なる雲を求めて#1ーーー画家、フィリップ・ウルフハーゲン








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「完璧な雲を求めて僕は一夏を過ごしたんだ」とフィリップ・ウルフハーゲンは言った。
まるで洞穴のような彼のスタジオ。
そこは作品制作に使われるアマニ(亜麻仁)と蜜ろうの嗅覚を刺激する匂い、そして創造する人間が放つエネルギーで満たされていた。
彼が語るとき、彼の目は窓の外の景色を漂い、さらにその視線は秋の深い青空に浮かぶ綿菓子のような雲を無意識に捕らえる。






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「僕はね、すぐそこまで近づいているのが分かるんだ。完璧な雲にね。でもまだ何かが違う。だから今も、完璧な雲を追い求めているんだよ」






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この日、窓の外には大小様々な雲がぽかりと浮かんでいたが、スタジオの中にもそれとほとんど同じ数の雲たちがキャンバスの中にしっかりとつなぎ止められていた。それらは全て次の個展の為に準備中の彼の新作ばかりだ。
「これは春に捕らえた雲」ウルフハーゲンはイーゼルに乗せられた作品のひとつを指差しそう言った。






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「でもね、まだ理想の雲とは言いがたい。すべては、学校帰りのスクールバスから降りる娘を待っていた時にはじまったのさ」と彼は呟くように言った。
「積乱雲の上に水平に広がった鉄床雲はあてもなく僕の前を彷徨っていたんだ。訳が分からずグズクズと文句を言う娘を引き連れて、僕たちのその雲を追いかけたんだよ」
ひと月後、彼のスタジオには雲のかたまりの写真が散乱し、明るく、蒸気のように立ちこめた雲と不吉な灰色の雲の束が、彼のキャンバスにたなびいていた。






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不思議な夢物語のような話をする彼、けっしてただの空想にふけるアーティストではない。おそらくオーストラリアにおいて最も名の知られたアーティストの一人であり、特に風景画においては最先端をいく作家として多くの人から支持されている男だ。全ての作家にとって夢のような今の状況を彼は大いに楽しんでいる。
通常、彼の作品はギャラリーのドアが開く前にはもう売れてしまっている。彼の作品購入を待つ顧客リストには100人以上の名が連ねられているのだ。






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そして、それら全ての作品は意外にも、オーストラリアの果ての島、タスマニアの、さらにはその島においてでさえ僻地といえる町から生み出されている。だがその地こそ、彼のインスピレーションが沸き上がる地であり、ここ以上に美しい雲を見れる場所は他にはないのだ。






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つづく









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先週はブログの更新がなかなかできませんでした。
それでも僕のプログを覗いてくれた方、おまけにポチッとまでしてくれた方、ありがとうございました。
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やっぱりコメントのないブログはクリープを入れないコーヒーみたいなもんで(って古いCMの台詞だ!)味気なく感じます。
コメントの返事が遅くなる可能性大ですが、よかったらまた気軽にコメントしてください。
んじゃね。

今日は青空快晴、ぽかぽか陽気のタスマニアより。







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by somashiona | 2007-11-11 13:37

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