完璧なる雲を求めて#2 ーーー 画家、フィリップ・ウルフハーゲン









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「雲は国を越えた視覚的言語だ。誰しも雲と関わっている。雲は自然の一部だからね。たとえそれが大都会のビルの谷間から見えるものであったとしても」






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ウルフハーゲンの雲はまた、「儚さ」をも表現している。

「雲の素晴らしい点はね」と彼「引き寄せ、ひとつになり続けようとする絶え間ない変化についての言葉であり、雲を表現するということ、それはすなわち一瞬というものを捕らえる行為なんだよ」






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彼の言葉は僕にとって、写真表現とは何かというテーマと重なるところが多かった。
「儚さ」これは僕が写真に求めるそのものだ。






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彼の絵は完全なるものの儚さについて、過ぎ去ってしまう時について、そして全てが死にゆく運命にあるというほろ苦い真実を語っている。

「雲はどこか不吉さというものを匂わせる。それは自然環境についてのメッセージだと思うんだ」と彼はいう。






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それは悪化をたどる地球温暖化の嵐を予見する雲かもしれないし、均衡を崩した世界が起こす核爆発のキノコ雲であるかもしれない。
この作家は現在起こっている、そして未来に起こりうる環境災害に対する警告を発しているかのようだ。


「僕はね、今地球が何を懸念しているかを表現したいんだ」










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こういった創作に対するテーマがウルフハーゲンに沸き起こってくるのはごくごく自然な成り行きだ。
彼は幼少期をタスマニア中央部の人里離れた羊牧場で過ごした。
川でトラウト釣り、丘で羊を追いかけ、枯れた牧草が広がる台地をくまなく歩き回わったのだ。






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野外での撮影をするため僕たちは彼が所有する土地を歩いた。
インタヴュアーのギャビーは同行せず、僕は彼と二人きりで歩いた。
どんな写真を撮りたいのかハッキリとしたイメージがあったので撮影は楽だった。
思い通りの雲たちがまるで彼を追いかけるように、まるで彼を優しく包み込むかのように僕たちの頭上に広がっていた。






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「僕の作品はこの土地との繋がりであり、自然との関係だ。僕は決して革新派的画家ではないし、絵画の新たな分野を切り開こうとしているわけじゃない。絵画は僕の愛するこの土地を明瞭に表す方法であり、未来に対する懸念を示唆する方法であり、同時に世界中の誰もが抱く思いを伝える方法だ」

もの静かに語る彼だが、その主張はバターのように滑らかで、ナイフのようにシャープだ。

「自然というのはそういったことを伝える偉大な車両であり、自然の中で生きることはそのメッセージを感じ取る最もシンプルな方法なんだ」と彼は雲を見つめながら言った。







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つづく


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by somashiona | 2007-11-11 14:33 | 仕事

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