あっ、マミーの絵だっ!




ある日の夜、ホバート、サラマンカ通りを子供たちと歩いていた。
彼らのお気に入りの店、シーフードレストラン・ミュアーズでフィッシュ アンド チップスを食べた帰りだ。
ここで彼らがいつも注文するキッズバスケットという(確かそんな名前)フライの盛り合わせと大盛りのチップスを見るたび、ガキンチョがこんなにたくさん食べられるはずないと思うのだが、彼らは毎回見事にそれをたいらげる。
そのあと、これもお決まりのパターンでダブルスクープのアイスクリームを食べる。
これもかなりの量だ。
とてつもない種類のアイスクリームの中から何を選ぶかで、彼らはしばし眉間に皺を寄せ、割と保守的なコンビネーションのアイスクリーム2段重ねをオーダーする。
僕は、これまた保守的だが、ラムレーズン以外ここで食べたことがない。
コンサバ・マナブと呼んで欲しい。




そんな訳で、夜のサラマンカを歩いていた僕たちは、満腹で、幸せ一杯だった。




突然ソーマが歩みの軌道をそれ、一軒のギャラリーのウィンドウへと吸い込まれるように近寄っていった。




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近寄るうちに、視力の悪い僕もその理由が分かった。




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「あっ、マミーの絵だっ!」とソーマが叫んだ。









子供たちの母親は画家だ。
彼らの住む家は常にたくさんの画材や完成した絵、描きかけの絵で溢れている。
彼らにとってそれらはあまりにも日常的な光景だ。
それらはきっとテレビ、冷蔵庫、電話、コーヒーカップなどと対して違いはないだろう。
面白いことに、彼らは決して母親の仕事道具に触れない。
決してだ。
同じ年頃の子を持つ母親が彼らの家にいくと、危なげに立てかけられている数々のキャンバスがどうして無事でいられるのか、驚く。
ちなみに、僕の写真機材にも彼らは絶対に手を触れない。
きっと手を触れたら火傷すると、彼らは知っているのだろう。








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ソーマが感慨深気にショウウィンドウに飾られた母の絵を見つめている。
感慨深気?
それは僕の勝手な思い込みかもしれない。
嬉し気、自慢気、誇らし気、どんな気持ちなのか知れないが、しばらくそこを動かない。
彼は一枚の絵を描き上げる為に母がどれほどの情熱を注いでいるのか、きっと他の誰よりも知っている。
僕と一緒に歩いていても、何か綺麗なものを見つけると、マミーの絵にいいと思うから一枚写真を撮ってほしい、と僕にお願いする。










えっ、シオナ?




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そんなこと、まったくお構いなし、、、。
ギャラリーの入り口に置いてあったアンティークの木馬に乗って、一人盛り上がる。
ガールはいつだってクールだ。








同じ兄妹でもずいぶん違うものだなぁ、と思いながらサンドストーンの壁に囲まれた石畳を僕たちは手をつないで再び歩いた。
街灯でオレンジ色に染まったソーマの横顔は、とても嬉しそうだった。




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by somashiona | 2007-11-16 10:58 | ソーマとシオナ

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