カナとイアン、そしてサム




写真をやっていてラッキーなことは、誰かの人生の大切な時間を共有できることだ。
その人とのお付き合いが長く続き、ことあるごとに撮影を頼まれたなら、僕はその人の人生の生き証人ということになる。

運命の出会いがあって、
デートを重ね、
結婚する。
子供ができ、
犬を飼い、
憧れのマイホームを手に入れる。
やがて成長した子供たちが家を出て、
再び夫婦二人きりになり、
連合いのどちらかがいなくなる。
思い出の我が家を出て、
老人ホームに入り、
そして最後にはその人そのものがこの世から姿を消す。

もし僕が一人の人間の人生に、証拠写真付きでお付き合いできたらどんなに素敵だろうか。
でも、よく考えてみると家庭のアルバムにはそれがぎっしり詰まっているのだ。
家庭のアルバムほど素敵な写真集はないだろう。
写真は人生を写す。
その時、どんなに幸せでも、辛い状況でも、アルバムの中の50年前の姿はせつなく、素敵なものに違いない。
若さ、思い出、情熱、純粋さ、50年前の自分の姿に、その当時自分では気がつかなかったかけがえのないものをハッキリと確認できるだろう。
過ぎ去ってしまったものは全て美しいのだ。

誰かの写真を撮っている時、その人の人生にとってかけがえのない一枚に関わっているのだということを考えるようにしている。
50年後に見るかもしれないそういう一枚は作りすぎない素直な写真であって欲しい。


タスマニアではじめてウェディングの写真を撮ったのはこのカナとイアンのときだろう。
白いドレスを着たカナはとても綺麗だった。
結婚式当日に僕が結婚を申し込みたくなったほど。
撮影が終了した後、カナにお礼のチューをもらった。
結婚式の撮影で花嫁さんにチューされたのはこれがはじめて。
それを横で見ていたイアンが大笑いして、僕とカナのチュー写真を撮ってくれた。

十代の頃から日本に住んでいたイアンはかなりの日本通だ。
彼の流暢な日本語は少し東北弁のイントネーションがあり、それが彼を一層個性的な男にする。
彼は日本という国を日本人の目でも、オーストラリア人の目でも見ることが出来る。僕らはよくいろんな事について議論するのだが、頭のいい彼ならではの鋭い意見に僕は度々唸ってしまう。

美しいカナ、実はかなりのアドベンチャーガールだ。
あの細い身体でとてつもない重さのバックパックを背負い、自由気ままな旅をする。
インドやアフリカの奥地で危険な目にあったとしても、家に戻ると次の冒険を夢見てしまう、そんな粋な女性だ。
僕にいつも手作りの美味しい料理を御馳走してくれる。

僕のように永住権をもってこの地に住む者はお付き合いする日本人も永住権を持つ者が多くなる。一時的にこの地に住む者と永住権を持つ者は生きるための気構えのようなものがどこか少し違う気がする。永住権を持ちタスマニアに住む日本人は2007年度、182人らしい。
こんな地球の裏側の小さな島にどうしてこんなにたくさん日本人がいるのだろう?
皆、何をしにこんな世界の果てにきたのか?
永住権を持つ日本人はオーストラリア人男性と結婚した日本人女性が圧倒的に多いはずだ。
彼らが子供たちを産み、世界から人種の壁がだんだんとなくなっていく。
この子たちにとってオーストラリアでの出来事も、遠い日本での出来事も、まったく他人事ではないのだ。
僕の子供たちはテレビやラジオでジャパンという音を聞くとすぐに遊びの手を止めて反応する。
日本は彼らにとって憧れの国だ。


カナとイアンの結婚式から数年後、待望の子供が生まれた。
サムだ。
素敵な二人に育てられ、強く優く賢い男の子に成長するのは間違いないだろう。
彼らが作り上げていく家族の歴史に、僕も写真と共に、末永くお付き合いさせていただきたい。






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by somashiona | 2007-12-07 22:43 | 人・ストーリー

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