ウィークエンド・フォトグラファーな週末




子供たちとキャンプをした翌週末は自分だけの時間を持つことが出来た。
最近ハードな毎日なので、とにかくゆっくり休みたかった。
自分だけの時間をゆっくりと過ごそうとする時、最初に頭に浮かぶことは、本を読むことだ。
僕は決して本の虫ではないが、それでも本を読む時間が好きだ。

さて、問題はどこで本を読むかだ。
僕のフラットは暗い、汚い、危険、3K(古い表現)フラットなので、できればもっと気持ちのよい所へいきたい。
そうだ、テントの中でゴロゴロしながら本を読もう!
と言う訳で、ホバートから車で30分、さらにフェリーに乗って30分のブルーニーアイランドへ行くことに決めた。
僕のこの島が好きだ。
色々理由はあるのだが、なんといってもホバートから近いというのがいい。

土曜の朝、少し遅めに起きてエスプレッソをちびちび飲みながら、おもむろにキャンプの準備をしはじめる。
一人のキャンプとはいえ、食料を準備しているうちに荷物が増える。
人のあまりいない所にテントを張りたいので、ウェスターン・オーストラリアで相原さんに貰った20リッターのポリタンクに水を注ぐ。
水道設備のないキャンプ場は比較的人が少ないからだ。
水のない所でキャンプをすると、人が一日にどれほどの水を使うのかを知り、驚いてしまう。







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フェリーのデッキで遠くを見つめる熟年夫婦らしきカップルを見て、なぜだか少し切なくなった。






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このカップルのもっといい絵を撮ろうと忍び足で近寄ろうとしたそのとき、僕の携帯が鳴った。










「マナブ、今何やってる?」ピーターだ。
「今僕はフェリーのデッキにいるよ。今日はテントで寝るんだ」
「ひょっとして、ブルーニーかい?」
「うん、ひょっとするとブルーニーだよ」
「マナブの邪魔をする気はないんだけど、今僕はブルーニーのビーチで寝転がっているんだ。一緒にキャンプだね、今夜は」










ブルーニーアイランドに着いて、ピーターとガールフレンドのモーラッグ、そしてモーラッグのお姉さんと子供たちがテントを張っているキャンプ場に僕もテントを張り、そのあと、本とカメラを小脇に抱えビーチに出かけた。






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ほとんど人気のないビーチの草むらからアザラシのように寝転がっている二人を発見した。
完全に爆睡している。
やれやれと思いながら二人の横に僕も寝転がり、本を開いた3分後には、僕も深い眠りに落ちていた。










目が覚めると二人がニヤニヤ笑いながら僕の顔を覗き込んでいる。
「マナブ、頭をスッキリさせたいだろ?泳ぐよ!」ピーターはやる気満々だ。
「イヤだよ、ウェットスーツ持ってきていないし、風もあるから水に入ったら凍えちゃうよ」
まったく無駄な抵抗だった。
足を水につけただけで、脳天に冷たさが突き抜けるような感覚を覚える。
思い切って水の中に飛び込み、3分ほど必死に泳ぐ。
するとその後はたまらなく気持がよくなる。
結局、嫌がっていた僕が最後まで一人、波と遊んでいた。










この週末、基本的に写真はお休みしようと心に決めていた。
しかし、皆と一緒の楽しい夕食の最中、オレンジの綺麗な光りが差し込むのを見て「Excuse me」という言葉が口から出てしまった。
「ちょっと数枚撮りに行ってくる」と言って、僕は一人、カメラを持って出かけた。






これといったいいロケーションを探す間もなく、砂利道の道路脇に車を止めた。
オレンジからパープル、そして夜の色へと刻々と姿を変える自然の美しさに、相変わらず見とれつつ、僕は静かにシャッターを切り続けた。
いつもあれこれと悩み多き僕も、この時ばかりは目の前のドラマチックな風景に心も頭も真っ直ぐ向いている。
全ての物事に対してこんな姿勢で向き合えたらどんなにいいだろう。






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最近、風景写真を撮っている時の僕の態度が変わったような気がする。
撮った写真の善し悪しに関わらず、自然と向き合いながら、シャッター音を聞いているその状況そのものに、幸せを感じるようになってきた。
まるでソファーに横たわり、クラシック音楽でも聞いているような精神状態だ。
こんな話しをA原さんに聞かれたら怒られそうだが、幸せなときは幸せだとはっきり言うことにしている。
年に3回くらいだが、、、。
とはいっても、これが仕事の撮影だとすると話しはまったく違うし、仕事ではなくてもストリートのスナップや人物撮影だとすると、やはり戦闘モードになってしまう。
きっとまだ風景写真というものに対する姿勢が甘いのだろう。

撮った結果を楽しむのではなく、撮る過程を楽しむ。
完全にウィークエンド・フォトグラファーな週末だ。






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結局、本はあまり読めなかったが、昼寝はたっぷりと堪能した。






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(わかんないよなぁ、、、)








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by somashiona | 2007-12-19 18:45 | デジタル

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