僕はヴィム・ヴェンダースが好きなんです




「何もない所を旅したい」などと言いながら、実際何もない所を走り続けると突然現れる民家や小さな町に妙にホッとしてしまう。
考えてみれば生まれてからずっと、人間の手が加わった物の中で生きているのだから、人の気配が感じない場所では知らず知らずのうちに気持ちが危険に備えるモードになっているのかもしれない。



前々回のブログでロードムービーの話しをしたが、僕のお気に入りの写真集の一つに写真がロードムービーになっている物がある。
写真集のタイトルは『WRITTEN IN THE WEST』、この写真を撮ったのはヴィム・ヴェンダース、ロードムービーの話しをした時にとりあげた映画『パリ・テキサス』の監督だ。
ドイツ人の彼がこの映画を作るために1983年アメリカ西部をロケハンした際の写真だ。
彼はきっとこの映画のスケッチとしてこれらの写真を撮ったのだろうが、マキナ・プラウベル6x7で彼が切り取ったイメージは今まで僕が見たことがなかった類いのアメリカ西部がきっちりと写し込まれていた。
僕はこの写真集にとても影響を受け、しばらくの間、同じようなイメージを追いかけていた時期があった。
彼の写真には写真の持つ記録性というドライな現実と記録というものが持つ哀愁にも似た儚さが混ざりあっている気がする。
ドライな現実の中に流れる儚い夢物語を僕は旅で探し求めている気がする。



デジタルカメラという物がこの世に登場した当初、多くのフォトグラファーたちはこんな代物使える訳がない、冗談じゃないね、と笑っていた。
しかし、ヴィム・ヴェンダースはそんな時代から積極的にデジタルイメージの可能性を模索していた人だ。
彼はこの頃から将来彼の作品で使われるであろう多くのドキュメントを写りの悪いデジタルビデオやカメラで撮りためていたらしい。
彼は記録収集家なのだ。
随分昔の話しだが、僕の友人ピーターがオーストラリアのダーウィンで3日間に及ぶアボリジナル・ロックの取材をしていた時、メディアの一員として熱心にこのフェスティバルをビデオカメラに収めていた男がいた。最終日にピーターはこの男がヴィム・ヴェンダースと気づき、彼の映画の大ファンであることを告げたらしい。
ヴィム・ヴェンダースはとても紳士的な人だというのがピーター印象だが、ヴィム・ヴェンダースの大ファンの一人としてピーターの意見に手放しで賛成する。


ヴィム・ヴェンダースと言えば『ベルリン・天使の詩』が有名だが、僕が初めて観た彼の映画は『アメリカの友人』だ。
僕の好きなデニス・ホッパーが出ているという理由で観たこの映画、強烈な印象が今でも残っている。
この映画がヴィム・ヴェンダースの物だと知ったのはかなり後になってからのことだが、これは彼の傑作の一つだと僕は思っている。
彼が作った映画はどれも好きなのだが、ドキュメンタリータッチの『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』もたまらなくいい。
記録収集家の彼の持ち味が遺憾なく発揮されている。
この映画の中心人物となるスライドギターの第一人者であるライ・クーダーを僕は『パリ・テキサス』で知った。
『パリ・テキサス』の音楽はライ・クーダーが全て担当しているが、このサントラほど旅にお似合いの音楽はない。
旅に出る時には必ずこの『パリ・テキサス』のサントラを僕は持っていく。
今までの僕の旅でこのサントラが一番ハマったのは間違いなくロスアンゼルスからアリゾナ、テキサスを中心に車でまわった旅だ。
もう一つは相原さんの仕事のお手伝いでウェスターン・オーストラリアのアウトバックを旅した時に聞いたこのサントラも実に周りの風景とマッチしていた。
ちなみにこの時の相原さんとの旅で聞いた井上陽水ベストアルバムもなぜかアウトバックになじんだ。
井上陽水の音楽はグローバルなのだ。



こんな調子で話を進めていると止まらなくなってしまいそうなので、今日はもうこの辺でヤメにしよう。
僕のテキストがいつも長いのは、パソコンのキーボードを叩きはじめるまで何を書くのか決めていないからだ。
人々が文字離れしているこのご時世に、こんなテキストを最後まで読んでくれている人が何人いるのだろうか?
僕の母親はセカンドパラグラフのヴィム・ヴェンダースの話しで間違いなくギブアップしているだろう。
当たってるでしょ、母さん?








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by somashiona | 2008-01-20 19:03 | デジタル

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