ヨハン、相原さんに会いに行く旅




いよいよヨハンの相原さんに会いに行く旅がはじまった。
旅と言っても日帰りのドライブなのだが、ヨハンにとってはちょっとした旅だ。








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今回はヨハン、デジカメ一台、レンズ2本、フィルムのカメラ一台、ビデオカメラ1台、三脚一本と総力戦の装備だった。
歩くヨドバシカメラと呼ばれる(僕が勝手に呼んでいる)相原さんのフル装備を一度見てしまうと大概のことには驚かないが、なんせご高齢で、ポキっと折れてしまいそうなほど細身のヨハンがこれらの機材を持つ姿を見ると、そんなにたくさん持っていくのヤメようよ、、、という言葉が喉元まで出かかる。








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彼を見ていてつくづく思ったが、写真を撮る人間というのは撮影になるとなぜ豹変するのだろうか?








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いつも笑顔のヨハンだが、一度機材を手にするともうハンターだ。








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たくさんの病気を抱えているはずなのに、足取りが軽い。


蝶のように舞い、蜂のように刺している。


もともとシリアスな登山家だっただけあって、クレイドルマウンテンでは少し危険に思える沢の中も機材を背負ってぐんぐん進む。
僕が追いつけなくなるほどだ。


もちろん、撮影中は完全に自分の世界に入っているので、終始無言。








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話しかけると怖い顔で睨まれる。









金剛力士様の経験がなかったら、怖じ気づいて一人で下山していたところだ。
かといって放っておくと、彼の姿をすぐに見失う。
岩や影と同化してしまうのだ。








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カメレオン的な素質もある。








僕は僕で自分の写真を撮りたかったのだがどうしても集中できなかった。








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カラーでとってもダメ、モノクロにしても何かノラない、しまいには手持ち無沙汰さに自分の影を撮る始末だ。

そう、世界遺産の自然の中で僕が撮りたかったのは、やはりヨハンなのだ。









今回の旅で僕は2度、間違いなくヨハンを怒らせてしまった。
朝、ヨハンの家を出る時、彼はオレンジ色の大きな水筒にお湯を注いでいた。
「それ、どうするの?」と聞くと「マナブはコーヒーが好きだから、山の中で飲みたいだろう」と彼は答えた。
ただでさえもカメラ機材をたくさん用意しているヨハンにこれ以上重たい荷物を持たせたくないし、僕も撮影のときはできるだけ身軽でいたい。
そして何よりも数日間おいしいコーヒーを飲んでいなかった僕の頭の中は、カプチーノ、カプチーノという単語がこだまし続けている。
インスタントコーヒーではなく、クレイドルマウンテン・ロッジでとびきり美味しいカプチーノにありつきたかった。

「せっかくの美しい大自然の中で、わざわざレストランの中に入り、金を払ってコーヒーを飲むだなんて、わしにはとても理解できん!」とヨハンは語気を強めた。
僕はちょっと驚いてしまい、とりあえず「そうだねヨハン、その通りだ」と言ってはみたものの、心の中のカプチーノ、カプチーノの声は消えない。
でも、せっかくのドライブでヨハンをガッカリさせたくなかった。

2度目は朝クレイドルに到着した時、昼ご飯の話しになった。
僕は相原さんとヨハンの3人で食事をしながら話したかったし、3日間お世話になったお礼としてヨハンに美味しいものを御馳走したかったのだ。
「レストランがあるから大丈夫だよ」と彼に言うと、また怖い顔になってしまった。
「わしに任せるつもりはないか?」とヨハンが言うので、「はい、わかりました。全てお任せします」と僕は答えた。









山の中をしばし歩き、休憩することにした。
ヨハンのリュックサックからは色々なものが登場し、彼が全てを用意してくれた。








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彼が言っていたことは本当だった。
美しい自然の中で腰を下ろし、鳥や虫や川のせせらぎを聞きながら飲むインスタントコーヒーの味は高価なイタリア製のエスプレッソマシーンで入れたカプチーノの味を遥かに越えていた。
昼食も然りだ。
ヨハンのリュックサックから大きなジャムの空き瓶に入った煮込んだリンゴにゴハンが混ざった冷たい食べ物が出てきた。
ヨハンは朝早く起きてこれを準備していたのだ。
味は言葉では形容しがたいものだったが、味のことなどどうでもいい栄養がたっぷり詰まっていた。








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そして何よりも、満足そうにコーヒーを飲むヨハンを見ていると、彼の言う通りにして良かったと思えた。
ヨハン、家の中にいるときと顔が全然違う。
この人は暗い家の中じゃなくて、こういう場所にいるべき人なのだと思った。








僕もいずれヨハンの年齢になる。
今のように好きな場所に、好きな時に行けなくなるだろう。
そのとき、僕は今のように一人なのだろうか?
自分がありたい状況に身を置いているのだろうか?
どんな状況でも幸せを感じることができるよう、今から自分を磨かなくてはならない。








昔、大人の人たちは「年寄りの言うことは聞くもんだ」という台詞をよく言った。
いま、年寄りの言うことに耳を傾ける人が僕を含めてどれだけいるだろうか?


でも、今回ヨハンを見ていて僕は思った。

「年寄りの言うことは聞くものだ」と。








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by somashiona | 2008-02-05 19:52 | 人・ストーリー

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