イースターホリデーはブッシュウォーキングさ! その2




実はこのメンバーでブッシュウォーキングをするのは4、5年ぶりだ。
前回もやはりこのマウントフィールド・ナショナルパークを登った。
その時は東のコースを選択し、往復7時間のブッシュウォーキングだった。
出発の時から降っていた雨が途中吹雪に変わり、『遭難』という言葉が頭によぎった。僕は折り返し地点を過ぎてからひどい足のつりに悩まされ、数歩歩いては寝転がり、うめき声をあげながら足をマッサージする始末だった。
それでも、やり遂げた時の満足感はひとしおだ。
こんな素晴らしい体験を気軽にできるのなら、お互いタスマニアに住んでいるのだし、月に一度はブッシュウォーキングをしよう!と盛り上がったきり、4、5年が過ぎてしまった。

今回のブッシュウォーキング、とても楽しみであった一方、たまらなく不安でもあった。
前回のひどい足のつりが心配だったのだ。
痛いだけなら我慢できるが、誰かの足手まといになるのは我慢ならない。
もちろん彼らはそんなことを気にしてはいないが、僕は気にしてしまう。
僕は異常なほど身体が弱く、体力がない。
なので楽しいプランがあるといつも心の片隅で身体の心配をしてしまう。
バックパックの中にありとあらゆる薬を用意しないと安心できない。
健康な人にはこの重圧感は分からないだろう、きっと。


植物にまったく無知な僕だが、ブッシュウォーキングの間中、自分を取り巻く風景に魅了されっぱなしだった。
特に感動したのが足下に広がる、高山植物のパッチワークの海だ。
年に1ミリ程度しか成長しないといわれているクッションプラントを踏みつけないよう注意して歩くのだが、足下は何かしらの植物で覆われているので、これらを踏みつけずには前に進めない。クッションプラントは一度踏みつけると再生するのに何十年もかかるという話を聞いたことがあるので、心が痛む。
まるで違う惑星を歩いているようだ。
丘マニア、丘フェチを自任する僕だが、そのツボを直撃・刺激する風景の雨霰に、自分の体力のカラータイマーのことなどすっかり忘れ、ストリートスナップを撮るようにシャッターを切った。
歩みの遅い僕が追いつくのを友人たちは15分おきくらいに待っている。
立ち止まった彼らは、足の大の字に開き、腰に手を当て、世界一美味しい空気を肺の隅々まで満たすように呼吸をしている。
彼ら、たまらなく幸せそうな顔をして遠くの景色を見ている。
温厚な彼らは普段でも柔和な顔をしているが、こんなに幸福があふれる顔はさすがに滅多に見られない。
「いやぁ〜、本当に綺麗だなぁ〜」という台詞を一日のうちに何度も彼らは口にする。
ただそこにいるだけで心や身体の中にたまったストレスが蒸気のように消え、例えようのない幸福感に包まれる。
美しい自然が持つその力にはまったく恐れ入ってしまう。
何の言葉や文字も使わず、人をそんな気持ちにさせるだなんて、自然はあまりにも偉大だ。
そんな写真が撮れたら、どんなにいいだろう。
そんな人になれたら、どんなにいいだろう。

今回のコース、ユーカリの森、パンダニの森、見渡す限りの岩場、高山植物のパッチワーク、白骨化したデッドツリーの墓場、神秘の湖などなど、視覚的にバラエティーさに富んでいたためまったく飽きることがなかった。
友人たちと一緒だったのであまり写真は撮らなかったが(僕的には)、もし一人で行っていたのなら、間違いなく写真、写真で前に進めなかっただろう。
この日のうちにちゃんと家に帰れるか?これが最大の心配だったが、たぶん何度も立ち止まったおかげで、最後まで歩くことが出来たのかもしれない。

僕たちとほぼ同時に出発した女性たちのグループを僕たちは『ママさんフィットネスチーム』と勝手に命名していた。(凄く体力がありそうな女性たちだったので)
彼女たちはメインコースを外れ回り道しながら歩いているにも関わらず、何度も僕たちを抜かしていった。
だてに毎日フィットネスで身体を鍛えていない。(毎日フィットネスで身体を鍛えているというのはあくまでも僕たちの想像だが)
それにしても、オージーの女性はどうしてこんなに強いのか、、、。


歩き始めたのが午前10時半、そして歩き終えたのが午後6時半だった。
後半の3時間はさすがに辛かった。
ほとんど瞑想状態で歩いていた。
足のつりはほんの少しですんだが、心拍数が上がると頭痛に襲われる僕は頭痛薬を飲みながら前に進んだ。
水1リットルも、用意した軽食も足りなかった。
次回はこれに気を付けよう。
地面が突然陥没して、片足が膝まで地面の中の水につかり、びしょ濡れになった他は何もアクデントはなかった。

車をとめた場所にたどり着いた僕たちは、お互いの健闘を称え合い、またブッシュウォーキングをしようと固い約束をした。(前の約束も固かったが、、、)

僕の足はマニュアル車である愛車ゴルフ君を運転できる状態ではなく、帰りは友人に運転してもらった。
車はいつだって助手席がいい。
帰りの車の中もぺちゃくちゃと日本語のおしゃべりで盛り上がったが、何の話をしたか今は覚えていない。
何を話したかが問題ではなく、日本語を使い、何かを外に吐き出したということがポイントなのだ。
ここに住む日本人にとって、これは立派なストレス解消法だと思う。


翌日、登山靴を僕の車に忘れた僕より年上の友人から電話がきたとき、身体じゅうの筋肉痛がどれくらいひどいか僕は彼に尋ねた。
「ふくらはぎが少し張っているくらいかなぁ、、、」と友人。
僕はそのとき、息をするだけで体中の筋肉が泣き声を上げていた。
同じ人間なのに、どうしてこんな身体の反応の差が出るのだろう?
ブッシュウォーキング後6日目にして、まだ筋肉の痛みに苦しむ僕の悩みはつきない。













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by somashiona | 2008-03-28 21:26 | デジタル

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