「伝説のフォトグラファー」ブルース・デイル症候群







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相原さんやニューヨークのファンションフォトグラファー、マキ・カワキタさんが参加したアドビ・ライトルーム・アドベンチャーでのショックがまだ頭の中から離れない。
何発も受けたボディーブローが後でじわじわと効いてくる感じだ。
ナショナルジオグラフィックのスタッフフォトグラファーを30年以上勤めたブルース・デイルさんと二人で過ごした2日間、これが特に効いている。
彼は僕が目指す分野の写真の最高峰だ。
皆から「伝説のフォトグラファー」と呼ばれていたが、フォトグラファーとしてナショジオのアサイメントをこなすハードさを知っている者なら彼をそう呼ばずにはいられないだろう。
僕のナショジオに対する思い入れは 以前もブログで書いた。
僕の経験したことを他の例えで表すなら、オートバイのロードレースで世界最速と呼ばれた男のバイクにタンデム(二人乗り)させてもらい、信じられないスピードで鈴鹿サーキトを何周も回った後のようだ。
(え、全然例えになっていない?)
とにかく、まだ目がくるくる回っているし、足が地面にしっかりとついていない感じ。


さて、どんな影響を受けたのか?
とても一言じゃ表せない。
目から鱗が落ちるような話、思わず唸ってしまう撮影テクニック、共感してしまう様々な写真の思想、そして何よりも仕事に対する態度と情熱、言いたいことは山ほどある。
それでもあえて僕が一番感じたことを一言で言うならば、「物を見る力」かもしれない。
「観察力」と言う方が適切か。
彼と一緒に歩いていると、とてもいい写真にならないようなロケーションで突然立ち止まりレンズを向ける。
レンズを向けた先を僕も注意して見るのだが、それでも彼が何を撮っているのか分からない。
そんなことが何度も撮影中に起こる。
夜、ホテルのワークルームで彼がその日に撮った写真をモニターで確認しているのを、僕は彼の後ろから覗く。
僕は思わず目を見開き、口をぽかんと開け、モニターの前で何度も「おぉぉ〜っ、、、」と驚きの声を漏らすことになる。
トムとジェリーでトムの目がびょよよ〜んと前に飛び出し、アゴが地面に落ちる、まさにあの状態だ。(若い君たち、分からない?)
僕も一緒に見ていたはずの光景が、モニターの中でまったく違う姿をして、まったく違う世界で広がっているのだ。
そしてその一枚一枚がずっしりと重い。
RAWファイルだから重いんでしょ、という話ではない。
無駄が無く、隙がなく、トリミングの余地もなく、写真として品格があるのだ。

そう、僕たちフォトグラファーはいつもこう言う。
「今日はダメだよ、写真日和じゃないね。見てよ、光も良くないし、第一、ロケーションが最悪なんだもん。」
こう言う人もいる「いやぁ〜、僕の使っているボディはもうかなり古いし、このレンズ、全然シャープじゃないからさぁ、、、」

しっかりと物を見る目があれば、いつ、どこで、どんな状況でもいい写真は撮れるのだということを今回改めて思い知らされた。
この能力さえあれば、どこに住んでいようが、どんな機材を持っていようが、朝だろうが、夜だろうが、写真は楽しい。
博学な人がどこで、何を見ても自分自身を楽しませれるように、優れた観察力があれば世界はいつだって驚きに満ちあふれているのだ。






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日曜日、子供たちとビーチで過ごしながらも僕の頭の中はそんな思いが駆け巡っていた。
自分を取り巻く全てが宝の山に見えてしまい、ほとんど意味も無く、僕はやたらとシャッターを切り続けた。






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その夜、自宅で冷静になって撮った写真をモニターで見ると、、、同じような写真の繰り返し、、、。
僕はまだ見る物全てを宝の山に出来るレベルじゃないのだということを痛感し、机の上に顔を伏せた。

写真への道のりはまだ長い。







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相原さんのブログでも既に紹介されているが、アドビ・ライトルーム・アドベンチャーでお世話になったニューヨークのファンションフォトグラファー、マキ・カワキタさんがブログをはじめた。
マキさん、もうハチャメチャに楽しい女性。
初めて彼女に会ったその夜、二人でアイスクリームを食べにサラマンカへ行き、初対面にも関わらず写真の話で大盛り上がりだった。
以前アップした写真のロスベーカリーがあるロスでは、おいしい夕食を食べながら演歌のジェロ君がどんなに凄いかを相原さんと一緒に真剣に僕に説明してくれた。
でもさすがトップフォトグラファー、撮影が始まるともう別人。
(フォトグラファーは変身するので、普段の姿を信じてはいけません)
これは ハッセルブラッドの仕事をした時の彼女の姿 を見てもらえれば分かると思う。
金剛力士様とは言わないが、カメラを持った魔女かもしれないと思った。
彼女、カメラを持つと魔法を使えるようだ。
マキさんのブログ、目を離さないでほしい。







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by somashiona | 2008-05-02 14:10 | デジタル

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