シオナと二人きり







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先週の日曜日、空手をはじめたソーマにとって初めての昇級試験があった。
白帯から黄色帯に挑戦だ。
彼のお気に入りの遊びであるウルトラマンファイトをするときのキックやパンチが最近かなり鋭くなっていると感じてはいたが、やはり彼、着々と腕を上げているのだ。
もうそろそろウルトラマンファイトを封印しないと僕の身が危ないかもしれない。






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昇級試験の最中は親がジム(道場)に立ち入るのは許されない。
なのでソーマや他の生徒が昇級試験を行う約3時間半をシオナと二人で過ごすことになった。







考えてみると、シオナと二人きりの時間を過ごすことなどほとんどない。
いつもはソーマとワーワーキャーキャー騒がしいシオナだが、この日はとてもおとなしい。
まるで借りてきた猫みたいだ。(猫を借りてきたことなどないけれど)
で、そういう僕も何かぎこちない。
子供たちとの遊びはいつだってソーマ寄りの男の子的なもの、6歳の女の子と何をして遊べばいいのか今ひとつピンとこないのだ。
僕とシオナ、お互いにはにかみながら向き合い、「じゃあ、今日はひとつお願いします」と挨拶をするように二人の時間がはじまった。







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結局、自転車に乗ってどこまで遠くへいけるか挑戦しよう、という話にまとまった。(やはり男の子的遊び)
「でもダディ、ひとつだけお願いがあるの。ソーマを迎えにいく前に、シオナのお気に入りのカフェでダディと一緒にホットチョコレートを飲みたいの。いってもいい?」

やはり、特別な日には特別なことをやらないと。






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彼女の母親から自転車を借りて、彼らが住む秋晴れのニューノーフォークをシオナと二人で走った。
空は青く澄んでいたが、空気はとても冷たい。
シオナが僕の先を走り、僕はひたすら彼女についていった。
かなりきつい登り坂もたくさんあったが、彼女はぐいぐいと前に進む。
時折、彼女がファイブ、セブンと数を数えているのが聞こえる。
先を走る彼女に追いついて、何を数えているのか聞いてみた。
彼女は道ばたで死んでいるワラビーやポッサムの数をニコニコしながら数えていた。
タスマニアに来ると車にひかれている動物の死体の数に多くに人が驚く。
子供たちにとって、それはもう完全に日常の光景だ。






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僕は自転車を運転しながら何度もシオナを撮った。
人の後ろ姿を撮るのは好きではないが、この日に限ってはいつまでも彼女の小さな背中を撮っていたかった。
いつまでも彼女の背中を見続けていたかった。






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途中、一度だけ路肩に自転車を止めて水を飲み、デイパックの中に入れておいたお菓子を食べた。






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約一時間半走った地点に公園があったのでそこを折り返し地点にしようと決めた。
10分ほどブランコなどで遊び、すぐに帰り道を急いだ。
来た時と同じだけ時間がかかったとしたら往復3時間、約束のカフェの時間がなくなってしまう。






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しかし、前半登り坂が多かった分、帰りは早かった。
太陽の光はオレンジ色を増し、陰が濃くなった。
下り坂が多いと、身体が冷える。
シオナの手と頬は冷たい風で真っ赤になっているが、顔はハッピーだ。






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彼女のお気に入りのカフェは日曜で閉まっていたが、その隣のパン屋さんのカフェに入ってシオナはホットチョコレート、僕はラテを飲んだ。
「なにか食べるものを注文してもいい?」と彼女が聞くので「もちろん、いいよ」と答えると、「クロワッサンをひとつください」と彼女は店員さんにいった。
彼女は相変わらずおとなしかったけれど、顔はにこやかだった。
「自転車、大変だった?」と聞くと「すこしだけ」とクロワッサンの表面が床に落ちるのを気にしながら彼女は答えた。
お店を出るとき、シオナは僕の袖を引っ張り、僕を真っすぐ見てこう言った。
「ダディ、今日は本当にどうもありがとう。ホットチョコレートとクロワッサンおいしかった」
僕は彼女と視線が同じになるよう膝を床について「マイプレジャー(どういたしまして)、シオナ」とちょっとよそ行きの言葉を使い、彼女を抱きしめた。







ソーマを迎えにいくと彼は満面の笑みで黄色帯と賞状を手にしていた。
そしてシオナは僕の耳元で「ツゥウェンティスリー(23)」と囁いた。
「え、何が?」と僕が聞くと「デッドアニマル(動物の死体)」といって微笑んだ。













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3時間の自転車走行で体力を使い果たしました、、、。








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by somashiona | 2008-05-24 10:17 | ソーマとシオナ

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