作り込む写真の王様




仕事をするとき、僕は人を撮るフォトグラファーだということを強調するし、さらに自然な流れの中でドキュメンタリータッチの写真を撮るのが得意分野だ、と売り込む。
ストーリー性のある写真を撮るよう心がけているが、それは目の前で起こることを単に記録していくという意味ではない。
与えられたテーマを自然の流れの中で撮るといっても、結局はその場にある環境や光や被写体を選びそれを利用して自分が求めるイメージを作り込んでいるということだ。
しかし写真が絵画や動画と決定的に違うのは、撮る側が作り込めない(予期しない)ある種の瞬間を写真は一瞬にして封じ込め、一枚の作品として完結してしまうことではないかと僕は思う。
その醍醐味を最大限味わえるのがストリートなどのスナップで、自分が狙った被写体の後ろに撮影の時には見えていなかった鳥や自転車などがいい感じでフレームに入っていると顔がにんまりとし、だから写真って楽しいんだよなぁ、などと独り言をいってしまう。






では、偶然性をまったく認めず、完璧に自分のイメージを作り込んでいく写真は写真にあらずか?






今日紹介したいのはグレゴリー・クルードソンというアメリカ合衆国の写真家だ。
作り込んでいく写真という意味では彼を越える人物はいないのでは、と僕は思っている。


彼が写真を撮るとなったら、ロケーションのスタッフが40人以上動き回り、トラックの中からとんでもない量のスタンド、電気コード、映画用の大型ライトが運び出され、そして巨大なクレーン車が登場する。
それだけではない、撮影のため警察の協力を得て街の一角を封鎖し、彼のイメージに不必要な看板、道路標識まで容赦なく取っ払ってしまう。
大掛かりな撮影はロケーションものだけではない。
室内写真の撮影でもやることの規模が違う。
建築家に欲しいイメージを伝えた後、映画のスタジオ内でイメージ通りの室内を数週間かけて完璧に作り上げる。
彼は欲しいイメージのためなら何でもやる。
消防署からの協力を得て撮影のために家を丸ごと一軒焼いてしまうこともあるし、必要のない家は壊してしまう。
ロケーションを欲しいイメージに近づけるための彼の細部へのこだわりはほとんど強迫観念といってもよいだろう。
通常、一枚の写真を撮るために彼がかける予算は、短編映画のそれと同じくらいになるらしい。

こうして入念に準備して作ったイメージを8x10の大判カメラにネガカラーフィルムという組み合わせで撮る。
撮るといっても彼はカメラに触らないどころか、シャッターすら押さない。
その仕事は彼が信頼するリチャード(リオ)に任せてある。

8x10で撮られた作品のネガはスキャンされたあとコンピュータに画像情報として保存され、グレゴリーが納得するまで画像処理のスペシャリストの手によってさらに追い込まれる。
そしてそのネガは一辺が約2m10cm大のプリントに引き伸ばされ、ギャラリーの壁にかけられるのだ。
それらの作品は彼の写真展で売られるが、一枚のカットにつき10枚限定でプリントされ、その一枚の値段は、な、なんと平均US$125,000ドル、え、日本円でいくらかって?1ドル105円として、、、1千3百万円以上ということになる。
パタッ。(倒れた音)
まあ、それくらいしないと元は取れないが、それにしても、、、。
ギシギシ。(歯ぎしりする音)

やりたいことがあるのなら徹底的にやるべきだ、ということのお手本のようなフォトグラファーの仕事ぶりは 「ここをクリックして」 観てちょうだい。


一枚のプリントが1千万円以上する話をした後で自分の写真をブログにアップするのはなんて虚しいのだろう、、、。
虚しいときは今日の話とまったく関係のない公園の道に落ちていた枯れ葉と、この植物を見ると大学時代から友人である志田君をついつい思い出してしまうシダの葉をアップしよう。


誰か僕のプリントを1千万円で買って。
いや、100万円でもいい。
いや、10万に負けておきます。













f0137354_7584041.jpg







f0137354_759962.jpg







f0137354_7593099.jpg







f0137354_7595010.jpg







f0137354_801695.jpg







f0137354_804334.jpg







f0137354_811269.jpg







f0137354_821893.jpg













ここでも 彼の写真が見れます。







ranking banner豪勢な話の後に枯れ葉なんて見せるんじゃねぇ!と怒っている人はポチッとよろしく!







このブログへのご意見、ご感想がありましたらEメールにてtastas65*yahoo.co.jp
(*マークを@に変えてください)のアドレスにぜひお寄せください。
また、お仕事のご相談、依頼も大歓迎です!
ranking banner

by somashiona | 2008-10-02 08:24 | 人・ストーリー

<< previous page << たまには愚痴ってみましょうか | 永住権はドラゴンへの道 >> next page >>