あの夏の最後の日


四国からはじまった日本の旅。
毎日、毎日、写欲が沸騰していたが北海道に入ってなぜだかそれがフッと消えてしまった。
統一感がない建物、どこもかしこもグレー、押しつぶされそうな重たい空気。
自分の生まれ育った土地なのに、家族を見るように北海道を見ることが出来なかった。
特に札幌、日本で一番おしゃれできれいな街だと思っていたのに、、、。

ヨダさんを撮りに朝里へ行った。
小樽行きの列車に乗り車窓から見える懐かしい風景を静かに見つめていた。
やがて、真っ青な海が視界一杯に広がると「プチっ」と身体のどこかにある写欲スイッチがONになる音が聞こえた。
朝里の駅に降りた僕は舞い上がっていた。
グレーだった北海道が原色で輝いている。
初対面のヨダさんとろくに話もせず、僕は見るもの全てにレンズを向けた。
どこもかしこも被写体の宝庫だ。
いや、目に見える被写体のせいと言うよりも、その土地の持つ不思議な力のせいかもしれない。
空が海が風が心の底に沈殿していた砂を巻き上げ、その中で息をひそめていた何かに触れるのだ。
ここにはストーリーがある。






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僕は経験的に知っている。
自分が立つ場所と心の中の6本の弦のチューニングがあったとき、必ず最高の被写体が現れる。
写真を撮る者たるやそのチャンスを逃してはいけない。
ヨダさんにお願いしてもう少し僕の撮影に付き合ってもらった。
気が済むまで撮らないとこの日のメインイベントであるヨダさんを落ち着いて撮れないからだ。

そして僕は発見した、北海道の最後の夏にふさわしい人たちを。
嬉しくてたまらなかった。
こういうこういう若者たちを撮りたかったからだ。
彼らが親切に出してくれた冷えた麦茶を飲みながら、夏の若者たちを撮った。
「今日がこの夏、最後の日だよ」とヨダさんはぽつりと言った。
なぜだか分からないけど、僕もそうだと思った。







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注)今日のタイトル「あの夏の最後の日」(The last day of summer)は僕が大好きな写真集のタイトルだ。
アメリカの写真家ジョック・スタージェスが長い年月をかけてヌーディストビーチで過ごす家族を8×10のカメラで撮った作品をまとめたもの。
一時期、僕は毎日この写真集を眺め、いつの日かこんな写真が撮れるフォトグラファーになろうと思ったものだ。
あれから長い年月が経つが、僕の写真は彼の作品の足下にも及ばない。
彼のこの作品は未成年者のヌードが含まれるためFBIが彼の自宅を家宅捜索し多くのネガを押収されるはめになった。
しかし、彼の作品を愛してやまない人たちの中から強い抗議行動が起こり、この問題は社会問題に発展する。
結局、とても長い年月をかけて彼の一連の作品が児童ポルノではなくアートだという判決が下った。
写真が持つ力をまざまざと見せつけてくれる本当に美しい作品だ。
機会があったら是非見て欲しい。







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by somashiona | 2008-12-02 09:55 | デジタル

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