ピンチヒッター撮影



先日、企業の役員のポートレイトを撮る仕事があった。
この手の仕事自体はなんら珍しくないが、いつもと違うのはこの企業は僕の親友ピーターのクライアントで、僕は今までピーターが撮った写真とまったく同じモノを撮らなくてはいけないと言うことだ。
なぜ、ピーターが撮らないのか?
彼は一足早いクリスマス休暇で1週間のブッシュウォーキングに出かけてしまう。
そう、僕はピーターのピンチヒッター撮影をするのだ。

彼は僕にA4一枚のプリントと撮影に使うバックドロップ(背景の布)を渡した。
A4のプリントには4人のモデルの写真が写っている。
これとまったく同じように撮ってくれということだ。
プリントにはメインf8、背景f8とメモが記されている。
もちろん撮影の絞りのこと。
それ以上の説明がないのはプロならこれを見れば十分だろういうピーターの意思表示だ。
ロスで写真を学んでいるとき雑誌の写真を一枚選び、それとまったく同じライティングで写真を撮りなさいという課題がよく出た。
それいらい、雑誌の写真を見るたびどうやってライティングをしているのだろう?と考えるクセがついた。
たぶん、プロで写真を撮っている人は多かれ少なかれこういうふうに写真を見る習慣があるだろう。

当日、企業側にいわれた通り、予定撮影時間の1時間前に現場についた。
撮影場所は会議室だった。
あれ、思ったより狭いぞ、、、。
会議室にあった12の椅子を部屋の外に出し、ミーティング用の大きなテーブルを脇に寄せる。
バックドロップを垂らす壁にかかった油絵を注意深く外し、スタジオセッティングを組みはじめる。
モノブロックのストロボ2灯とレフ版一枚というシンプルな組み合わせだ。
モノブロックは日本で使っていたコメットにオーストラリアの電圧に変えるトランスフォーマーを合わせて使用している。


ピーターに渡されたプリントに写っているモデルの鼻の周りにある影の角度とその柔らかさを注意深く見てメインライトとレフ版の位置を大雑把に決める。
ピーターの写真を見る限り彼のフルフレームのカメラで少なくても105mm以上のレンズを使っているはずだ。
自分のカメラに付けたレンズをフルフレーム換算で105mmにし、撮影するカメラ位置とモデルの位置を決める。
あれ、バックドロップとモデルの位置が近いぞ、、、。
モデルの後ろの低い位置にバックドロップにあてるライトをセットし光量を最小限にして露出を測る。
あれっ、f16、、、。
カメラのISOを200から100にするがそれでもまだf11、、、。
あ〜っ、そうだ、カメラバックの中にトレーシングペーパーがあったはずだ!
バックドロップにあてるストロボのリフレクターにトレーシングペーパーを2重にして貼付け、もう一度露出を測る。
今度はf8。ふぅ〜っ。
そこでコンコンとドアをノックする音が聞こえ、担当の女性が顔を出す。
「撮影15分前ですが、テストシューティングの準備はできましたか?」
えぇ〜っ、15分前?まずっ、外に止めた車のパーキングメーターが切れる!
パーキングの許可証をもらいビルの8階から地上に駆け下り、再び8階の会議室まで駆け上がる。
額と背中は精神的、肉体的プレッシャーで汗が流れている。
5分前。
担当者をモデルにテストシューティング。
1枚目、あれっ、顔の影が濃すぎるぅ〜、、、。
レフ版をフレームのギリギリまで近づける。
2枚目、あれっ、バックドロップの光のグラデーションがプリントと違うぅ、、、。
ライトの角度を調整する。
3枚目、よっしゃ〜、完璧だぁ〜、ダァ〜(アントニオ猪木)!

そこでまたドアのノック。
一人目のモデルが会議室に入って来る。
「もう、はじめていいかな?」高価なスーツを着た白髪の男性が穏やかに尋ねる。
「もちろん準備はできていますよ」という僕の顔に汗がつたう。
そんな僕を見て担当の女性がクスクス。

やれやれ。






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注)テキストと写真は無関係です。









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by somashiona | 2008-12-26 20:06 | デジタル

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