<   2007年 05月 ( 20 )   > この月の画像一覧

砂漠の中の少女



想像してみて欲しい。
あなたは船の甲板から海を眺める。
360度、見渡す限り広がる鉛色の海とそれを覆う灰色の空。
その中央を一本の白い糸が水平線に向かって果てしなく走る。
果てしなく。

朝の5時前にメキシコなのにホテルカリフォルニアというふざけた名前の(カリフォルニアはもともとメキシコの地名)、ゴキブリが部屋の中を夜中じゅうひっきりなしに走り回る、ぼったくりのホテルを後にし、車を走らせた。
あたりは街灯も、家も、対向車も、生き物の気配すらまったくないメキシコの砂漠だ。
まだ暗い砂漠は空と区別がつかないほど青い。
ささやかな違いと言えば、空には世界中から集めてきたのでは、と思えるほどの星が溢れんばかりに瞬き、地面にはとうの昔に感情を捨ててしまった人のようなサボテンが見渡す限りうつむいたままで突っ立っていることだった。
黒くシルエットになってそびえる遠くの岩山のライン上には青白い月が浮かび、僕の走る永遠の直線道路はその月光の照り返しをうけて、細く真っ白な木綿の糸のように地平線に向かってどこまでも伸びていた。
こんな幻想的な風景を僕ははじめて見た。
僕は青い海の上をヨットに乗って突き進んでいるという空想に酔っていたせいで、この風景を写真に収めておこうなどという考えはこれっぽっちも浮かばなかった。

やがて空が白み、太陽の光りが夜の間に冷えきったサボテンたちの頬を暖めはじめると、世界は一気に変化する。
相変わらず真っ直ぐに伸びる道路の上には陽炎がゆらゆらと揺れ、あまりの熱さにねじが狂ってしまった人のように水をがぶ飲みするが、飲んでも、飲んでも水分が皮膚から蒸発して消えてしまうのが見えるかのようだった。
ポンコツの日産のセダンにはエアコンなどもちろんなく、カセットデッキから流れるライクーダの「パリ、テキサス」のサントラが恐ろしいほど目の前の状況とマッチしていた。

6時間以上の運転で身も心も消耗し、妻になったばかりの助手席の彼女に運転を代わってもらった。
お互い会話する気力もなく、たぐり寄せては後方に吹き飛んでいく景色をただただ朦朧とした目で見ていた。

なぜだかふとカメラを手にし、ファインダーを覗いていると四角い建物がフレームに飛び込み、とっさにシャッターを切った。


こんな場所に家?


と考えてはいたが、あえて振り返りもしなかった。
そんな気力もないほど、熱さと疲労で朦朧としていたのだ。
少し時間がたってから運転している彼女に家を見たか聞いてみたが、見ていないという。
こんな場所で人間なんて生きられない、と彼女は言った。
さすがに僕は、家の前に少女が一人立っていたような気がする、とは彼女に言えなかった。
砂漠の中にぽつんと一軒だけある家の前に少女が立ち、僕に向かって微笑んだ気さえしたのに。
熱さで頭が朦朧としているだけさ、とその時はそれ以上考えなかった。

ロスアンジェルスに戻って、現像したポジフィルムをライトボックスの上で見ていると、あの時の、砂漠のワンカットが出てきた。
やはり気のせいではなかったのだ。
確かに、あの砂漠の中に、1軒だけ家があった。
そして、白い服を着て、腕を後ろに廻した少女もそこにいたのだ。
写真の中で、真っ黒く影になった少女の顔が微笑んでいるのかどうか、僕には分からなかったが、その後、僕に向かって微笑みかけるあの少女の夢を、僕は何度も見るようになった。








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1週間ほどブログを休みます。
楽しみにしてくれている皆さん、ごめんなさいね。
でも、写真撮らないとブログも続けられなくなっちゃうし、、、(ぺこり)
See you soon!










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by somashiona | 2007-05-22 23:53

黒猫のタンゴ



韓国料理のレストランで3人の友人と夕食を終えたあと、彼らは僕にこのあと何か予定があるか、とたずねた。
特に何もないと答えると、彼らはお互いの顔を見合わせ、頷き、僕を車に乗せ、サンディベイに向かった。
10分ほど車を走らせ、着いた場所は一見ちょっと大きめの普通の民家。
でも、門をくぐって家にその家に近づくと、なにやら中から大きな音の音楽が聞こえる。
なんだろう、この音楽は?
ラテン系?
ドアを開けるとたくさんの男女が、暗がりの中で真っ赤なライトを浴び、身体を密着させて、訳の分からないスッテプを踏んでいた。
タンゴだ!
目をまんまるにした僕が3人の友人の顔を見ると、彼らは満足げな笑みを浮かべ、おまけに三人ともその手にダンスシューズを持っている。
くそっ、ハメられた!

今世界中でタンゴが再び脚光を浴びているのを、皆さんはご存知だろうか?
先週テレビの報道番組でタンゴを特集していたが、その番組では今流行しているタンゴを「テクノタンゴ」とよんでいた。
クラッシックなタンゴをベースとしているのだが、シンセサイザーやコンピュータテクノロジーをふんだんに使ったテクノタンゴは、よりおしゃれにソフィスティケイトされている。
だが、情熱的でエロティックなのは今も昔も変わらない。
そんな新しいタンゴが若者たちを巻き込んで世界中で流行しているらしいのだ。
この田舎のホバートでさえその人口がにわかに増えているのなら、大都会ではもうすでにかなりのブームになっているのではないか?

1ヶ月ほど前にタンゴを習いはじめた僕の親友の女性が一緒に習おう、と盛んに僕に勧めていた。
タンゴだなんて冗談じゃない!知らない女性とピッタリ身体を合わせて踊るだなんて、日本男児にそんなこと聞いちゃいけない!サムライがタンゴを踊れるわけないじゃないか!僕が知っているのはせいぜい「黒猫のタンゴ」くらいなんだから。(あれっ、知らない?ちょっと古すぎ?)
と都合のいい時だけサムライになる僕はその誘いを拒否し続けていた。
見にいくだけでいいから、という誘いも断固拒み続けていた。
そして彼女たちはこの夜、僕を騙してここに連れてきたのだ。

3人の友人のうち一人は、ベトナム人男性だ。
僕とさほど背丈の違わないアジア人男性。
早い話しが、オーストラリアではまったく貫禄不十分ということだ。
その彼、踊りだすとただならぬオーラを発散しはじめた。
こんなにたくさんの人たちが踊っているのに、女性たちはみな彼を目で追う。
周りの女性たちの目がうっとりとハート形になるのが分かった。
皆、彼と踊りたがった。

しかし、男性たちの目は違うものを追っていた。
黒いショートヘアで華麗に踊る一人の女性を目で追っていた。
タンゴは男性が100%リードする踊りだ。
女性は男性の誘導に従い、彼が何をしたいのか心と身体で感じなければならない。
しかし、このショートヘアの女性が踊ると、世界は彼女のものになる。
しなやかで妖艶だ。
聞けば彼女はブエノスアイレス出身らしい。
タンゴ発祥の地だ。

眼鏡をかけ幸せそうに踊っているおじいちゃんは78歳。
この年代のほとんどの人たちが居間でテレビのリモートコントロールを手に、ソファーから立ち上がりもしないのに関わらず、彼は週に何度かのレッスンに通い、毎週日曜の夜はここへ踊りに来るらしい。
いつも違うネクタイをして。

母と娘できている人もいる。
娘はタンゴを初めて以来、同世代の友人と週末のクラブには行かなくなったそうだ。
若い男性とクラブで踊る10倍はおじさんとタンゴを踊るほうがエモーショナルになれると言う。

7歳になる子どもを持つ母は、女性としての自分を取り戻すため、昔から憧れていたタンゴをはじめた。
彼女、踊っている時は旦那も子どもも忘れる。

僕はダンスを見て感動したことが今まであまりなかった。
しかし、この夜のタンゴは違った。

僕ははじめての場所で、初対面の人たちに囲まれながら、暗すぎてピントのやまも見えず、まともな写真など撮れる訳がないと頭では分かっていても、カメラのファインダーから目を離すことができなかった。






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by somashiona | 2007-05-21 14:11 | デジタル

ソーマとシオナ Vol.7青い空、緑の芝生



夏の日の日曜の昼下がり。

青い空の下、緑の芝生で遊ぶ子どもたちを、少しだけ離れたところから眺める。

これ以上に欲しいものがあるか、自分の心に聞いてみる。









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Hobart, Tasmania









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by somashiona | 2007-05-19 23:08 | ソーマとシオナ

牧草地の一本の道で



辺り一面代わり映えのしない牧草地に囲まれた砂利道を、僕は一人、しばらく運転していた。
物思いにふけっていたので車を走らせた道の風景などまったく覚えていない。
ルームミラーに映る真っ赤な夕暮れの光を見て、僕は突然我にかえった。
車を止めて、外に出る。
断続的に聞いていた路面のノイズが急に途絶えたせいか、辺りの静けさが際立った。
砂利道から立ち上がる砂埃が、僕の周りにまとわりつく。
だが、夏の日の夕暮れの乾いた風が、すぐにそれらを僕の後ろに追いやった。

夏の乾燥した気候のため、すっかりラクダ色に染まった牧草地は不気味なほど静かだった。
すれ違う車は一台もなく、周りには民家の一軒も建っていない。
空を飛ぶ鳥もなく、牧草地なのに羊たちの鳴き声も、かすかな虫の音さえしない。
ここにあるリアリティは南半球にある小さな島の砂利道で、僕が一人、突っ立っている、ということだけだった。


どうしてこんな場所で生きているんだろう?
まるでこの世の果てじゃないか?

突然、僕の頭の中で訳の分からない問いが起こる。

南半球の、こんな田舎の、この風のように乾いた、この土地のように地味な声をいったい誰が聞くのだろう?

今僕が立つ、この空間のように空っぽな世界に向かって、僕は意味もなく叫んでいるんじゃないか?

足下から石を一つ拾い、牧草地に向かって思いっきり投げた。
耳を澄ましたが、石が地面に落ちる音さえ聞こえなかった。

そこには沈みゆく夕日に向かって走る一本の道が、ただただ静かに横たわっているだけだった。







今日のテキストと写真は中東のカタールに住むたけやん「遊牧民的人生」に捧げます。








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Hamilton, Tasmania








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by somashiona | 2007-05-19 00:04 | デジタル

ダイヤモンドは永遠の輝き



クリスマスが近づくホバート。
街はそわそわと落ち着かない。
すれ違う人たちの顔には笑みがこぼれ、両手には買い物袋がぶら下がる。
ふだんはスナップショットを撮るのが難しい静かな街なのだが、こういう時期は比較的撮り易い。
みな恋人のこと、家族のことで頭がいっぱい。
他人のことなど気にしていられない。
ましてはカメラを持って獲物を求めている男のことなど。

ジュエリーショップのショウウィンドウに一人の女性が張り付いていた。
近づいてみると、顔は真剣そのもの。
彼女、完全に自分の世界に入っていた。
趣味に没頭する時の男性の顔と、買い物に没頭する時の女性のそれはとても似たのもがある。
両者とも年齢を超えて、少年、少女の面影がそこにある。
そして、その瞬間、僕には彼らが美しく、愛おしくさえ思える。

セール期間中の張り紙に囲まれた彼女。
この買い物は、ふだん贅沢を許さない自分への贈り物だと、僕は確信した。





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Hobart, Tasmania




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by somashiona | 2007-05-18 09:52 | B&W Print

アルトリコーダーの音が聞こえる



もう2年くらい前から気づいていたのだが、空が青く、真っ白な雲が浮かぶ昼下がり、僕のフラットの周りで、どこからともなくアルトリコーダーの音が聞こえて来る。

知っている曲を一度も聞いたことがないが、まるでどこか異国の民謡のようだったり、時には単にスケールの練習だったりする。

最初はバックヤードで洗濯物を干している時、その音に気がついた。
正直いってとても上手とは言い難いその音は、なぜか僕の心をくすぐってしまう。
調子良く、滑らかに曲が進んでいるなと思うと突然キーを外し、しばしの静寂のあと、また最初からやり直す。
時にははじめての曲に挑戦しているかのように、恐る恐るアルトリコーダーの穴を確認しながら慎重に吹く。
慎重さのあまり、彼女の声が震えているのが分かる。
彼女?
いや、僕は音の主を見たことも、会ったこともない。
だけど、今では青空に白い雲が浮かぶと、その音を心待ちにさえしている。

その音が聞こえると、洗濯物を干す手が止まり、食器を洗う手が止まり、マウスを操作する手が止まり、そしてパソコンのキーを叩く手が止まる。
そして僕は考える。
子どもなら、通常学校にいる時間だ。
あの音の繊細さは、男ではない。
音の張りのなさ、若い娘ではない。
演奏する曲の趣味、オーストラリア人ではない。

僕の想像の結論はこうだ。
子どもの頃、国の難しい政治情勢の波にもまれ、東ヨーロッパの片田舎から家族と共にオーストラリアへの移住を余儀なくされた少女は、まったく環境の異なるこのタスマニアで育ち、気が荒いが心根は優しいローカルの男と結婚し子どもができる。
子どもたちは成長し、家を出て自分たちの生活をはじめる。
孫ができ、異国で築き上げた自分のファミリーの幸せな時間をしばしすごすのだが、やがて夫が先に逝き彼女は小さな家で一人暮らしになる。
ある晴れた日、この国に移住した当時の荷物を整理していると、東ヨーロッパの片田舎の学校で、習いはじめたばかりのアルトリコーダーを見つけてしまう。
ケースの中には楽譜が数枚あり、そこには長い間忘れ去っていた故郷の歌が優しく横たわっている。
皺くちゃの小さな手でアルトリコーダーを手にとり、黄ばんでしまっている楽譜をもってベランダに出る。
空を見上げると澄んだ青空に白い雲が浮かぶ。
昔、故郷で見たあの青空と同じだ。
痩せた小柄のおばあさんはにっこりと微笑んで、アルトリコーダーにそっと唇を近づける。

音の主を知っていたとしても、僕には言わないで欲しい。




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Seven Mile Beach, Tasmania


この草むらの向こうには、海が広がる。
潮の匂いもするし、波の音も聞こえる。
でも僕は、もう少しここで海を感じていたかった。






お知らせ

僕には妹が一人いるが、妹には恋人が一人だけいる。
恋人の名前は児玉 文暁、通称「歩き人ふみ」

徳島県阿南市出身B型の彼は、南米やオーストラリアなど世界各地を徒歩で旅してきた男だ。
過去にはポルトガルからスイスまでの2,500キロを皮切りに、南米横断、ニュージーランド横断、オーストラリア横断を達成しただけでなく、南米ではウルグアイの海岸から最高峰アコンカグア(アルゼンチン、6,959m)にも登頂した強者だ。

今彼が挑戦しているのは日本列島横断。
2005年に北海道の知床を起点に出発し、テントで野宿したり、旅先で知り合った人たちの家に泊まったりしながら釧路、富良野、函館を経て昨年11月、岩手県花巻市東和町に到着した。
いったんそこで旅を休止し、資金調達のための労働に汗を流したが、先日再び岩手から旅を再開した。

東北の地方のかた、彼を見かけたらぜひ応援の声をかけて欲しい。
今回彼はオーストラリアで自作したアボリジニの伝統楽器ディジュリドゥという煙突のように細長い楽器を持参しているので発見し易いと思う。

実は僕も彼とはまだ面識がなく、電話で会話をしたのみだが、彼はとても素朴な人で、話しをすると心が洗われる思いがする。
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ちなみにこんな顔をしている。撮影は僕の妹。携帯電話からのショット。

旅の様子は彼のブログでも紹介しているので、よろしかったらチェックして欲しい。
「歩き人ふみの徒歩世界旅行 日本・台湾編」

(頻繁に更新はできないはずだけど)










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by somashiona | 2007-05-17 08:51 | B&W Print

シェフィールドの男たち



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欲張らない


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学なんていらない


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女には手出しさせない


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哀しみは人に見せない


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期待しない


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女房よりダチと一緒がいい


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笑い飛ばしてけりをつける


この土地に住めばよ、誰だってそうなるさ、と男たちは言った。








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by somashiona | 2007-05-16 01:16 | デジタル

ある秋の日の、夕暮れ前の出来事




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Seven Mile Beach, Tasmania


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by somashiona | 2007-05-15 08:51

Stop and smell the roses



僕がロスアンジェルスにいた当時、僕の住んでいたハリウッドはホームレスで溢れていた。
白人、黒人、メキシカン、プエルトリカン、その人種は様々だった。

ある日、いつものようにスナップを撮るためカメラを小さなぼろぼろのバックの中に入れて歩いていると、突然日本語で「タバコもっているかい?」と声をかけられた。

(ちなみに、写真を撮る人間が当時のロスアンジェルスでやってはいけないとされていたことは、1、カメラを人が見えるように持ち歩くこと2、カメラバックを持って歩くこと3、高価に見えるバックを持って歩くこと、それを守らないとすぐにトラブルに巻き込まれてしまう。なのでスナップショットを撮るのはなかなか難しい環境だった)

周りをきょろきょろ見ても髪が長く、汚い服をきて、ウォーク・オブ・フェームが埋め込まれた歩道に寝転ぶ男しか目に入らない。
その男に近づき、しゃがみ込んで彼の顔をまじまじと僕は見た。
悪臭がつぅ〜んと鼻腔を刺激する。
彼は泥やホコリまみれで真っ黒な顔からサングラスをずらし「タバコ一本くれないかい?」と言ってウィンクした。
日本人だった。
ロスアンジェルスで日本人のホームレスを見た僕はショックだった。
その日は一日中彼と一緒に過ごし、僕たちはお互いの身の上話をあれこれとした。
当時、追いつめられたようにネズミのように写真と格闘していた僕は、なぜだかわからないけれど日々の暮らしの苦しさ、ストレス、将来の不安をこのホームレスの彼に洗いざらいぶちまけてしまった。
彼には今まで会った人からは感じたことのない独特のオーラがあった。
ホームレスなのに仙人のような男だった。
泥だらけの彼の顔にある二つの目の奥には限りなく透明な泉が見えた。

別れ際、彼は僕に言った。
「マナブ、ひとつだけ言っておきたいことがあるんだ。こしてホームレスをしているとね、毎日何百人もの人生を必死に生きる人たちが僕の前を通り過ぎて行くのを見るんだ。毎日を一所懸命働いて過ごす彼らはたいしたものだよ。僕にはそれが出来なかった。でもね、僕の前を通り過ぎる人たちの中で、道端に咲いている小さく可憐な花に気がつく人は誰もいない。それを見つけてしばし幸せな気持ちになれるのは、僕だけなんだよ。わかるかい?”Stop and smell the roses”君に今必要なのは、時には立ち止まって、道端に咲いているバラのにおいを嗅ぐことだと思うよ」

僕は彼と別れたあと、この言葉をずうっと考え続けた。
そして再び彼の元に戻り、こう聞いた。
「人生をやり直す気はある?」
「それは、いつも夢見ていることだよ。」
「じゃあ、しばらく僕のフラットで暮らすといいよ」
こうして彼との生活がはじまった。

友人たちはみな僕に忠告した。
バカなことをするのはやめろ、と。
自分がどんなに危険なことをしているのかは分かっていた。
でも、毎朝彼を見るたびに、僕は彼が日に日に普通の人のようになっていくのが嬉しかった。
何ヶ月ぶりかのシャワーを浴び、着ていた服を全て処分し、僕の洋服を着て、仙人のようなひげを剃り、火山が爆発したような長髪をキレイに束ねたあとの彼は、まったくの別人だった。
彼の日々の変化を見ることは、子どもの頃、自分で植えた朝顔を毎朝楽しみに鑑賞することと、とても似ていた。
彼が仕事をえた時、僕たちは涙を流して喜びあった。
僕のフラットをでて、一人で暮らしはじめる彼を、自分の家族のように誇らしく思った。

それから約半年後のある夜、彼はふらりと僕のフラットを訪れた。
顔を見てすぐに何かトラブルがあったと分かった。
表情に以前のような覇気はなく、目はとろんと死んでいた。
会社をクビになり、また住むところがなくなったのでしばらく厄介になりたいと彼は言った。
その後、仕事を探すそぶりも見せず、毎日ゴロゴロしている彼を見て僕は怒りを爆発させた。
そして彼はその日僕のフラットを出て行った。
次の日、学校から僕のフラットに帰ると僕の部屋から金目のものが全て無くなっていた。
一番ショックだったのは、カメラ機材が全て無くなっていたことだ。
写真が僕にとってどんなに大切なのか一番知っている彼がそれを奪っていったのは、堪え難いことだった。
彼が残していった少しの手がかりから、彼の日本に住んでいる身内と話すことができ、彼が重度のドラック中毒だと知った。
お金が入るとすぐにドラッグに手を出してしまうらしい。

彼が僕と住んでいる間、彼は独りの男の人を僕に紹介してくれた。
その人はマスコミで働く人だった。
そのマスコミで働く男の人はホームレスの日本人を救ったご褒美に僕に写真の仕事をくれた。
プロとしての初仕事だった。
その後、このマスコミの彼とアメリカ中を撮影旅行し、その仕事がある雑誌社の社長さんの目に留まったのがきっかけで、この世界に入ることができた。
ホームレスの彼は僕の全財産を奪ったけれど、結果的にその後の僕の人生を左右するチャンスをくれた。

今でも彼のことを良く考える。
ロスアンジェルスでケンカ騒ぎを起こし、3日間ブタ箱に閉じ込められた僕の友人が、牢屋の中で誰とも話しをしないホームレスの彼を見かけた、というのが彼に関する最後の情報だ。
今でも彼と会ってみたい。
彼に対する怒りはもうない。
ただ、僕の機材を売りさばく時、彼がどんな気持ちだったのかは知りたい気がする。

道端にひっそりと咲く花を見るたびに”Stop and smell the roses”の言葉が頭の中を流れる。
いつの日か自分の写真集を出版できる日がきたら、そのタイトルは“Stop and smell the roses”にしたいと思っている。



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Richmond, Tasmania
リッチモンドはオーストラリアにまだ残る一番古い橋とアングリカンの教会があるおかげでタスマニアの人気観光名所になっている。
華やかな観光名所を少し外れた通りを歩いてみると、穏やかな日常の美が慎ましやかに光を放っているのを見つけることができる。





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by somashiona | 2007-05-14 10:48 | B&W Print

母の日に、母へ



母がまだ若い頃 僕の手をひいて
この坂を登る度 いつもため息をついた
ため息つけば それで済む
後ろだけは見ちゃだめと
笑ってた白い手は とても柔らかだった

運がいいとか 悪いとか
人は時々 口にするけど
そういうことって確かにあると
あなたをみててそう思う

忍ぶ 不忍 無縁坂 かみしめる様な
ささやかな僕の母の人生

いつかしら僕よりも 母は小さくなった
知らぬまに白い手は とても小さくなった
母はすべてを暦に刻んで
流して来たんだろう
悲しさや苦しさは きっとあったはずなのに

『無縁坂』  歌詞/作曲:さだまさし




カーネーションの代わりに、あなたの愛した、今は亡き僕たちのお父さんの写真を送ります。
覚えていますか?
お父さんがシャンプーをしている時、突然浴室のドアを開けて撮った一枚です。
慌てるお父さんを見て、みな腹を抱えて笑いましたね。
あの頃が懐かしいです。

お母さん、あなたがくれた全てのことを、
僕は我が子に返します。

これからも長生きしてください。

息子より



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by somashiona | 2007-05-13 00:24 | B&W Print

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