<   2008年 01月 ( 8 )   > この月の画像一覧

ヨハンおじいさんの情熱




昨年の年越しはクレイドルマウンテンに滞在していた写真家の相原さんと一緒に過ごす予定でいた。
世界遺産での宴会のお供にバニーガールがいいか、それとも今回は芸者にするかお伺いを立てていたにもかかわらず、僕の仕事の予定がタイトになってしまい、相原さんとの年越しの話しは流れてしまった。


それでもその時期、仕事のためタスマニア北部で宿を探さなければならないことに変りはなく、クリスマスホリデーからニューイヤーにかけての観光シーズンのピークでどう宿を確保するか頭を悩ませていた。
シェフィールドに住むヨハンおじいさんに相原さんを紹介する約束もまだ果たしていないままだし、、、。
ヨハンおじいさん、、、シェフィールド、、、地図を開いてみるとヨハンの住む町から仕事の現場まで車で約1時間だった。
うん、これはいける!
ヨハンに電話し、泊まってもいいかと尋ねると、彼は大喜びだった。




あちこち寄り道しながらヨハンの家についたのは夜の9時を過ぎ。
ひさしぶりにヨハンの顔を見た。
満面の笑みを浮かべた彼だったが、以前より一回り小さくなったような気がした。






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ヨハンは夕食の準備をし、僕を待ってくれていた。
しっかりと暖められたお皿に彼の手料理が盛りつけられ、僕たちはもくもくと食べはじめる。






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一人暮らしの彼の習慣なのだろう、彼が家で食べるときは僕が横にいても必ずテレビのスイッチをいれて、椅子も身体もそちらの方に向く。
僕はひとまず話しかけるのをヤメ、ゆっくりと彼の部屋の中を見渡す。
殺風景な室内にさらに磨きがかかったと言うべきか、前回の訪問時より生活の匂いが消えている。
何か変だ、、、。






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心なしか彼の姿に覇気が感じられない。






しかし、そんな心配も束の間の話し、翌朝5時には起床しなければならなかったのでもう寝ようかと思っていた時、彼はごそごそとカメラ機材を取り出してきた。






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「マナブや、ちょっと見て欲しいものがあるんじゃ」
ヨハンの顔は少年の顔に変わっている。
「実はだな、カメラ買っちゃったのだよ、、、むふふ。」
「え、ニコンのいいカメラ持っていたでしょう?」
「何言っとるんじゃ、あれはフィルムカメラ、今はやはりデジタルじゃないといかんじゃろ!」彼の背後からマスターオブフォトグラフィのオーラが漂いはじめている。
「デジタルって、パソコンもっていないでしょ!」
「そういう写真とあまり関係ないものは、後で考えればいいのだ」
「関係大ありですって!」
「まあ、細かいことはいいから、ちょっと見ておくれよ、、、」
「あれっ、そんなレンズ持ってなかったよね?」
「うっ、しっ、しっ、これなんじゃがなぁ、色々と調べたのだよ。どの雑誌もとてもいい評価をしているんじゃ」
ニコンD80には新品のズームニッコール18-200mmが付いていた。
「ヨハン、すごいじゃない、これって!」
「うはははっ、なかなかいいじゃろう!でも、これだけじゃないんだ、、、」
「え、まだ何かあるの?」と彼の顔を見上げたとき、瞳がキラリと光った気がした。
「デジカメはだね、広角が決め手なのじゃよ。でな、いろいろ調べた結果これがベストだという結論に達したのじゃ」
100点満点の答案用紙を母親に見せる時の少年の顔をしてカメラバックから取り出したのは、、、。
「うわっ、それってシグマの10-20mmじゃない!なにそれ、ずるいよそんなの!」






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それから約2時間、カメラ雑誌を広げておニューのカメラとレンズの解説が続いた。






彼の経済状況を考えると、このお買い物は働き盛りの人が新車を購入するのに匹敵する。






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ヨハンおじいさんの情熱はまだまだホカホカだった。














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by somashiona | 2008-01-30 19:01 | 人・ストーリー

ウォルシング・マチルダが響くよう

昨日、月曜日はオーストラリア・デイで祝日だった。
毎年この日は友人スコット誕生日をタスマニアの南、タスマニア半島に位置するフォーテスキューベイでキャンプし、祝うことがここ数年恒例の行事になっている。
フォーテスキューベイについては僕のブログでも以前紹介した。


昨年末からの疲れがまだとれない僕が心から望むことは一日中何もせず、口を半分開け、ボォ〜っと放心状態で過ごすことなのだが、子供たちはもうやる気満々だし、なによりもスコットの誕生日を祝いたい気持ちに負けてしまう。
そんな訳で土、日、月の3日間をキャンプ場で過ごした。


子供たちとのキャンプはその準備をするだけで、出発の前日からもうほとんどキャンプ状態に入っていると言っていい。
車の中はほとんど座る場所もないほどの荷物だ。
おまけに出発の日にスコットへのプレゼント探しがはじまり、出発が昼を大きくまわってしまったので、子供たちは少しご機嫌斜めだった。


僕は今回本当に心から寛ぎたかったので、カメラはコンデジだけにするつもりでいた。しかし悲しいかな、車を出発させた直後、すぐに車を止め、家に戻ってEOS40Dと三脚を慌てて車に詰込んだ。
撮っても撮らなくても、やはりこれはお約束だ。
そんな僕を見て子供たちは「、、、ダディ、、、」といって首を横に振った。
なんだよ、文句ある?


キャンプ場へ向かう途中、すれ違う車や、民家の軒先、人々の帽子やTシャツはオーストラリアの国旗で飾られていた。
車の中の子供たちが口ずさむ歌も、先ほどまで歌っていたビートルズから第2の国歌としてオーストラリアの人々に親しまれている『ウォルシング・マチルダ』へと変る。


一人の陽気な放浪者 
沼地のそばで野宿してた

やかんのお湯が沸くのを待ちながら 

ユーカリの木陰で歌ってた 
一緒に旅に出ようか?
マチルダ担いで放浪の旅 
僕と一緒に旅に出るかい?

お湯が沸くのを待ちながら歌ってた

旅に出ようか?



オーストラリアに住んでいるとよく耳にする曲だが、今回なんだがとても心に沁みた。
子供たちがこの歌を歌うのを聞いて、ああ、こうやってオージーが作られていくのか、と思ったのと同時に、ああ、僕の子供たちはオーストラリア人なんだ、、、と力ずくで納得させられた気分になった。
僕の子供たちの口から自然に流れるのは日本の童謡ではない。
僕はこれからそういうことと折り合いをつけて生きていかなければならないのだ。


家に帰ってからこの歌の歌詞を調べてみると、なるほどオージーたちが好きな訳だ、と納得してしまった。


キャンプは予想通り忙しかった。
子供たちとのキャンプで寛ごうなど、考えてみれば甘い話し。
ここはもう父親に徹するしかない。
それでも隙を見て、ほんの、ほんの少しだけ写真を撮った。
ここに来るといつも同じ木を撮り、同じ砂浜を撮る。
特に海と空は、同じようなショットを何枚も、何枚も、我にかえるまで撮ることになる。
まあ、いいではないか。
キャンプなんだし。


日曜の夜、土砂降りの中で夕食を作らなければいけなかったこと以外は比較的天候に恵まれた。
最終日の月曜日、疲労困憊でキャンプ場から撤収したあと、さずがに自分で夕食を作る気になれず、マクドナルドのハッピーミールで子供たちを満足させた。
彼らが満足したのはチキンナゲットにではなく、ハッピーミールについてくるオモチャにだ。

子供たちを彼らの母親の元に送り、僕は一人で自宅に戻る。
半分閉じかけている眼をこじ開け、鉛のように重い身体に鞭を打ち、車の中の荷物を引きづり出す。
狭い僕の部屋はキャンプ用品の山だ。
シャワーを浴びた後は泥のように5時間寝て、翌朝仕事に向かった。

父であることは疲れるけれど、やはりモノより思い出。
『ウォルシング・マチルダ』を歌う彼らの幸せで平和な声が、いつまでも心に響くよう、僕はまたせっせと働き、次のキャンプの計画を練る。








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by somashiona | 2008-01-29 18:27 | デジタル

KEEP OUT! (近づくな!)









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タスマニアの夏、北部は特に牧歌的な風景が多い。
広い大地に咲き誇る花畑などを見ると、思わず生まれ故郷の北海道の景色が目に浮かび、少しだけだが、気分はノスタルジック。
(クスン、、、)

口ずさむ歌も ♬果てしない〜 大空と〜 広い大地のその中でぇ〜♪といつのまにか松山千春になっている。


大学時代はこういう風景の中をバイクで走り、悦に浸っていたんだよなぁ〜。
気分はいつだって片岡義男の小説に出てくるいい男そのものだった。
もちろん気分の話しだ。


だが、「ちょっと待てよ、、、」と一人つぶやき、咲き誇る花を凝視する。









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あれっ、これって、、、ポピー、、、ケシの花、、、。


♪丘のうえ〜 ヒナゲシの花がぁ〜♪
歌は松山千春からアグネス・チャンに変っていた。
声は裏返っている。


オーストラリアにおいてはタスマニア州が唯一ケシの合法的栽培を認められている。
認められているといっても、僕が栽培するとすぐに刑務所送りだ。
以前庭で煙草を吸いながら寛いでいる友人を写真に写そうとすると、彼は突然血相を変えて僕に言った。
「ダメだよっ!ここで写さないで!」
彼の後ろにはケシの花が咲き誇っていた。
タスマニア・アルカロイズやグラクソスミスクライン・オーストラリアなどといった会社が超厳重な監視体勢のもとでこのケシの栽培を農家に委託し、モルヒネ(ヘロインでもある)の原料などに加工・製造してから、そのほとんどを欧米へと輸出するのだ。
アップルアイランドと呼ばれるほどリンゴなどの果樹園が中心だったタスマニアの農家も生き残りをかけて変化を遂げている。
蚊取り線香や虫除けスプレーなどに使われる除虫菊の栽培も盛んらしい。


ケシの花だと気づくと、誰にも僕の姿を見られていないかと、
思わず辺りを見回した。(気が弱い)
そうするとすぐそこに、思いっきり看板が立っていた。








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「KEEP OUT」(近づくな!)
「立ち入り禁止区域。不法に使用した場合、死を招く恐れがある」


うへぇ〜、恐ぁ〜。










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by somashiona | 2008-01-24 15:27 | デジタル

夕日の時間は理性を奪う




写真を撮る人間はどうして夕日に反応してしまうのだろう。
仕事中でも、運転中でも、食事の最中でも、デートをしていても、西の空がオレンジ色に染まりはじめ、半径3メートル以内にカメラがあると、もう落ち着かない。


仕事中であればトイレに行くふりをしてパチリ、運転中であれば駐車禁止の場所でさえ車を強引に止めてパチリ、食事中はわざとフォークを落とし、新しいフォークをとりに行くふりをしてパチリ、デートのときは「君はなんて美しいんだ。このオレンジの光の中に君を閉じ込めたい、、、」とかなんとか言いながらパチリ。
ほとんど病気だ。


しかし冷静にまわりを見渡せばオレンジの光りが斜めからさしているというだけで、被写体自体は面白くも何ともない場合が多い。
写真はそこに何が写っているのかが大切なのだということをすっかりと忘れてしまう。
色に惑わされるのか?
いやモノクロフィルムがカメラに入っているときも、夕日の時間はやはり落ち着かなかった。色はなくても光りはドラマチックだ。
昔は薄曇りの光りがお気に入りだっし、最近は真っ昼間の晴天で撮る写真が気に入っている。それでも夕日の時間は写欲の強度が他の時間とは明らかに違う。
この時間帯、全ての写真家を酔わす不思議な電磁波が地球上に流れているに違いない。


このことを知らないで写真を撮る人間と付き合うのは危険だ。
美しい夕日を前にした写真好きの人に、ああでもない、こうでもないと話しかけようものなら、みるみるうちに不機嫌な顔になるだろう。
逆にこのことを逆手に取ってみるのも手かもしれない。
男、無言で夕日の写真をカシャ、カシャと撮る。
女、「ねえ、素敵なワンピースを見つけたの。買ってくれる?」
男、「、、、いいよ」
女、「あのね、今度の冬休みは一緒にオーストラリアに行きたいの?」
男、「、、、いいよ」
女、「あっそうだ、私たちってもう結婚してもいい頃だと思うの、あなたはどう思う?」
男、「、、、いいよ」


今回の長距離ドライブ、後で自分の撮った写真を見てみると、夕日の時間は必ずシャッターを切っていたようだ。


いい写真になるかどうかも考えず、、、。








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by somashiona | 2008-01-22 12:16 | デジタル

僕はヴィム・ヴェンダースが好きなんです




「何もない所を旅したい」などと言いながら、実際何もない所を走り続けると突然現れる民家や小さな町に妙にホッとしてしまう。
考えてみれば生まれてからずっと、人間の手が加わった物の中で生きているのだから、人の気配が感じない場所では知らず知らずのうちに気持ちが危険に備えるモードになっているのかもしれない。



前々回のブログでロードムービーの話しをしたが、僕のお気に入りの写真集の一つに写真がロードムービーになっている物がある。
写真集のタイトルは『WRITTEN IN THE WEST』、この写真を撮ったのはヴィム・ヴェンダース、ロードムービーの話しをした時にとりあげた映画『パリ・テキサス』の監督だ。
ドイツ人の彼がこの映画を作るために1983年アメリカ西部をロケハンした際の写真だ。
彼はきっとこの映画のスケッチとしてこれらの写真を撮ったのだろうが、マキナ・プラウベル6x7で彼が切り取ったイメージは今まで僕が見たことがなかった類いのアメリカ西部がきっちりと写し込まれていた。
僕はこの写真集にとても影響を受け、しばらくの間、同じようなイメージを追いかけていた時期があった。
彼の写真には写真の持つ記録性というドライな現実と記録というものが持つ哀愁にも似た儚さが混ざりあっている気がする。
ドライな現実の中に流れる儚い夢物語を僕は旅で探し求めている気がする。



デジタルカメラという物がこの世に登場した当初、多くのフォトグラファーたちはこんな代物使える訳がない、冗談じゃないね、と笑っていた。
しかし、ヴィム・ヴェンダースはそんな時代から積極的にデジタルイメージの可能性を模索していた人だ。
彼はこの頃から将来彼の作品で使われるであろう多くのドキュメントを写りの悪いデジタルビデオやカメラで撮りためていたらしい。
彼は記録収集家なのだ。
随分昔の話しだが、僕の友人ピーターがオーストラリアのダーウィンで3日間に及ぶアボリジナル・ロックの取材をしていた時、メディアの一員として熱心にこのフェスティバルをビデオカメラに収めていた男がいた。最終日にピーターはこの男がヴィム・ヴェンダースと気づき、彼の映画の大ファンであることを告げたらしい。
ヴィム・ヴェンダースはとても紳士的な人だというのがピーター印象だが、ヴィム・ヴェンダースの大ファンの一人としてピーターの意見に手放しで賛成する。


ヴィム・ヴェンダースと言えば『ベルリン・天使の詩』が有名だが、僕が初めて観た彼の映画は『アメリカの友人』だ。
僕の好きなデニス・ホッパーが出ているという理由で観たこの映画、強烈な印象が今でも残っている。
この映画がヴィム・ヴェンダースの物だと知ったのはかなり後になってからのことだが、これは彼の傑作の一つだと僕は思っている。
彼が作った映画はどれも好きなのだが、ドキュメンタリータッチの『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』もたまらなくいい。
記録収集家の彼の持ち味が遺憾なく発揮されている。
この映画の中心人物となるスライドギターの第一人者であるライ・クーダーを僕は『パリ・テキサス』で知った。
『パリ・テキサス』の音楽はライ・クーダーが全て担当しているが、このサントラほど旅にお似合いの音楽はない。
旅に出る時には必ずこの『パリ・テキサス』のサントラを僕は持っていく。
今までの僕の旅でこのサントラが一番ハマったのは間違いなくロスアンゼルスからアリゾナ、テキサスを中心に車でまわった旅だ。
もう一つは相原さんの仕事のお手伝いでウェスターン・オーストラリアのアウトバックを旅した時に聞いたこのサントラも実に周りの風景とマッチしていた。
ちなみにこの時の相原さんとの旅で聞いた井上陽水ベストアルバムもなぜかアウトバックになじんだ。
井上陽水の音楽はグローバルなのだ。



こんな調子で話を進めていると止まらなくなってしまいそうなので、今日はもうこの辺でヤメにしよう。
僕のテキストがいつも長いのは、パソコンのキーボードを叩きはじめるまで何を書くのか決めていないからだ。
人々が文字離れしているこのご時世に、こんなテキストを最後まで読んでくれている人が何人いるのだろうか?
僕の母親はセカンドパラグラフのヴィム・ヴェンダースの話しで間違いなくギブアップしているだろう。
当たってるでしょ、母さん?








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by somashiona | 2008-01-20 19:03 | デジタル

記憶の長距離ドライブ




僕が小学校に上がる前、僕の一家はほとんど毎週末、母の姉の家に遊びに行っていた。車で30〜40分の距離だったと思う。
ある夏の日、自転車で遊んでいた子供の僕は思い立った、伯母さんの家に一人で行ってみようと。
道はいつも自動車の窓から見ていたスーパーマーケットの看板、中古車屋さん、不動産屋のビル、学校などが目印だ。
すごくドキドキしたのを覚えている。
思ったよりもずっと時間がかかったが、道に迷ってはいないという確かな自信もあった。
伯母さんの家のドアをノックし、僕が一人できたことを知って驚いた伯母さんの顔が忘れられない。
もちろん僕は得意満々の笑みを顔に浮かべていただろう。
大変なことをしてしまったと分かり、迎えにきた母に怒られるだろうとビクビクしていたが、僕の大冒険を母は絶賛した。
あの時、もし母が怒っていたら僕は冒険をしない子になっただろう。
あの時から僕は遠くに行くことの喜びを知った。



僕の大学時代のハイライトはオートバイで日本一周したことだろう。
和歌山県以外の全ての県をまわった。
1ヶ月半、宿に泊まったのは大雨の新潟でたったの一度、あとはキャンプ、野宿、駅、公園のベンチでごろ寝、そして多くの親切な人たちに無償で泊めてもらい、おまけに美味しいものまでご馳走になった。
和歌山県に行かなかったのはたいした理由ではない。
大学の夏休みはとっくに終わってしまい、すぐに帰らなければ試験に間に合わず、それを逃すと落第してしまうからだ。
その時は重要なことに思えたが、いま考えると落第など気にせず、1、2年じっくりと日本を見るべきだった。
日本一周の最大のテーマは自分にとって一番日本らしい場所を見つけることだった。
尾道あたりが一番日本らしい街だろう、と行く前は思っていたが残念ながら予想は外れた。
僕のオートバイ仲間何人かも時同じく日本中を駆け巡っていた。
出発前に尾道で一度再会しようと半ば冗談で約束した。
8月8日だ。この日付を覚えているのは僕の母の誕生日だから。
この日ではなかったら、きっとこの尾道出の再会の約束はキレイさっぱり忘れていただろう。
一度、阿蘇のやまなみハイウェイのコーナーを攻めているとき、偶然にも友人の一人とすれ違った。お互いに気づき、その日は一緒にキャンプした。
尾道での再会はそれ以来だ。約束に地になんと約束したメンバー全員が揃った。
SR、SRX、GB、なぜか皆、単気筒のライダーだった。
一人一人が恐ろしいほど自由を満喫し、興奮状態だった。
その夜、何を話したかまったく覚えていない。
あの年頃の男たちは、皆自分のことしか考えていないのだ。
あの頃、僕はカメラのカの字も知らなかった。
「見たものは心のフィルムに焼き付けるからカメラはいらないさ」とその時付き合っていたガールフレンドに決め台詞をはいた。
いま考えると超もったいない。
今は「旅をする」はイコール「写真を撮りにいく」だ。
この日本一周の間ほど多くの人と出会った時期はない。
毎日目ん玉が飛び出るほど個性的な人たちと出会い、語り合った。
あの時の僕はまったくなんのフィルターも介さず人を見ていた。
初めて会う人について、何をやっている人か、どんな地位か、金持ちか、結婚しているか、それどころか善人か悪人かも気にしていなかった。
さすがに今はそういかない。大人になるということは使いたくもないフィルターが知らないうちに増えていくことだ。
そんな世の中を知らない青二才に多くの人が、人生を、愛を、冒険を、時には憎しみを、暴力を、悲しみを語ってくれた。
もし僕に文才があったなら、きっと毎晩寝る前にその日に聞いた話をノートに書き留め、10年後には執筆していたかもしれない。
だが、若く、浅く、軽い凡人にはそんなアイディアは頭の片隅にも浮かばなかった。



今回、両距離ドライブをしながら子供の頃の数々の冒険や、この日本一周のことを思い出していた。
これらの冒険や旅によって今の僕の物の考え方のようなものが作られたのだろう。
もし僕の息子が突然自転車と共に姿を消し、3時間後に遠く離れた知り合いの家で発見されたら、さぞかし大騒ぎだ。
でも僕は彼に「おい、よくやったな、すごいぞ」と小声で褒め讃えると思う。
「かわいい子には旅をさせろ」というが僕もそうしてあげられる親でいたい。
僕の人生はいまだに先の見えない旅のようだ。
僕の親は可愛い息子にまだ旅をさせてくれているのだろう。
この旅に終わりはあるのだろうか?
もし写真に出会っていなかったら、僕はこんな人生の長い旅には出ていなかったと思う。
撮ることは考えることであり、行動を起こすことであり、見ることであり、そしてすくいとったものについて再び考えることだ。
撮ることは僕にとって生きることへの原動力みたいだ。
しかし同時にそれは僕にとどまることを許さず、安定を許さない。
いつも獲物を求めている。
しとめる手応えを求めている。
そしてそこに永遠の問いに対する答えを求めているような気がする。


長距離ドライブ。
何度も止まっては写真を撮ることにも疲れ、目の前に飛び込んでくる風景にもいい加減飽き飽きしてくると、思考は過去の記憶がぎっしりと詰まっているハードドライブへ移行する。
ハードドライブの中にはたくさんのフォルダがランダムに並べられている。
フォルダを開けては閉じ、また開けてはしばらく立ち止まって閉じる。
記憶の長距離ドライブは年齢を重ねるほど長くなる。








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by somashiona | 2008-01-19 22:10 | デジタル

仕事忘れて、旅モード




イージーライダー
パリ・テキサス
テルマ アンド ルイーズ
レインマン
ストレイト・ストーリー
モーターサイクル・ダイアリーズ

さて、これらの映画の共通点はなんでしょう?


昨年、大晦日前はタスマニア北部で仕事をした。
仕事自体も楽しかったのだが、なによりも良かったのはそこに行き着くまでのドライブだ。
ひさびさの長距離ドライブ。
最近遠出していなかっただけに完全に旅行気分モードだった。
僕は車に対してまったくこだわりがなく、運転自体もさほど好きではないが、長距離ドライブは話が別だ。
午前中の仕事を終えてから、前日に準備しておいた機材の再度確認、普段あまり聞かないCDを何枚か用意し、そして最後に少し甘めのエスプレッソをポットに入れて出発する。
運転しはじめてから1時間もすると日常の煩わしさも周りの風景と共に僕の背後に吹き飛び、心は僕の大好きな空想の世界へ突入する。
もう40歳も過ぎているというのに、考えることは本当に大人げない。
好意的に言えば少年の心をまだ持ち続けている男、ということになるのだが、正直に自己分析をすると、いつまでたっても成長せず、社会と自分の間に埋めきれない隔たりを感じるダメ男ということになる。
脳みそはいつも休むことなく何かを考え続けているはずだが、長距離ドライブでの思考はいつもと確実に何かが違う。
なんというか、もっと夢があって、自由で、ポジティブで、おバカなことを考える自分を思わず声に出して笑ってしまう類いの思考だ。
この時に考えたことをもしテープレコーダーなどで録音していたなら、しばらくブログのネタには困らなかっただろう。
しかし、くだらないことはあっさりと忘れてしまうのだ。

そんなことを考えながら周りの風景に目をやると、全てがなにやら特別素晴らしいものに見えてしまう。
クリエイティブなアンテナがビンビンに立っているからだろう。
若かりし頃、いろんなものをビンビンに立たせながらディスコ(まだそういう言葉があうのだろうか?)に行くと、暗がりで踊るおねえちゃんたちが皆いい女に見えたのとよく似ている。
普通の人なら美しい風景に目を泳がせ、幸せな気分になって終わるのだろうが、車にぎっしり機材が詰込んであるフォトグラファーはムラムラとわき上がる写欲を無視できない。
まるで発情期のお馬さんのようだ。
サイズの話しではない。
仕事のためにカメラのバッテリーを節約するように、、、コンパクトフラッシュを無駄に使ってフォトストレージのスペースを減らさないように、、、と頭では分かっているのだが、ついつい車を路肩に止めてしまう。
しかも数十分走るたびに車を止める。これじゃいくら何でも目的地に着かない。
撮ったイメージがどうこうという問題でないのは分かっている。
ただ写欲に身を任せシャッター音を聞きたいだけなのかもしれない。
とにかくそうしないと気が収まらないのだ。

2泊3日の仕事が終わってホバートに戻り、コンパクトフラッシュやフォトストレージをハードドライブにコピーした。
仕事で撮影したカット数が約900カット、仕事とはまったく関係のないカットが約700カットあった。
何しに行ったのか分かったものでない。
しかも、この仕事以外の700カットのうち98%は目も当てられない写真だった。
あとで冷静に考えると、どうしてこの被写体に対してシャッターを切ったのか理解できないものばかりだった。
熱に浮かれていたとしか言いようがない。
これは夜ディスコでナンパした女の子を朝の光りの中でじっくりと見て、そのあとジィ〜ンと心に響き、隠しきれず顔に出てしまうショックとよく似ている。
しかし、これもナンパの後と一緒、楽しかったので、それでよしとする。
対象はガールからフォトグラフに変ったが、行動パターンはやはり若かりし頃からまったく変っていないようだ。

仕事の写真は900カット中550カットに何かしらの画像処理を施してクライアントに収めた。
900カット中550カットは僕にとってかなりヒット数だった。



そんな訳で、最初に列記した映画の共通点は「ロードムービー」。
僕はこのロードムービーと呼ばれるタイプの映画が大好きだ。
だから長距離ドライブが好き。いやその逆かもしれない。
この種の映画は少々ストーリーに無理があっても、配役やシネマトグラフィーがいまいちでも楽しめるし、ロードムービーを観た後は無性にどこかに行きたくなる。
今回はロードムービーしている写真がいまいち撮れなかったが、一度ロードムービーらしき表現を写真で試み、ストーリーを作るのも悪くないなぁ、と思った。

いずれ挑戦してみたい。









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しばらくゆっくりしようという考えは、もろくも崩れ去りました。
コメレス遅れがちですんません。
今年からは心を入れ替えようと思ったのですが、人間なかなか変われないようです。
いつも気にかけて覗いてくれている方々、ありがとうございます。
ブログは続けますからね!








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by somashiona | 2008-01-17 17:16 | デジタル

2008年、僕は今日から正月だ!



今頃こんなことを言うのもなんですが、、、新年あけましておめでとうございます。

ブログを通してプライベートな写真を見せる喜び(悦び)を知ってしまった僕。
こりゃ〜今年もヤメられない。



さて、さて、クリスマス前から大晦日の夜まで複数の撮影が目白押しだった。
ニューイヤーズ・イブのパーティだけは参加したが、それ以外はお正月も休み抜きで撮影後の画像処理に追われ、今日やっと最後のディスクが終了した。
僕の正月はこれからだ。

あまりにも長時間パソコンに向かい、フォトショップと格闘していたせいで、両肘が痛い。
部屋のカーテンはほとんど毎日閉じたままだった。(モニターからの正確な画像情報を確保するため)
エクササイズもまったくしていない。
本も読んでいない。
映画も見ていない。
そして何よりも、全ての仕事が終了するまでブログは見ないと決めていた。
(アクセスしてくれていた人たち、ごめんなさい)
受験が終わるまでテレビゲームはやらないと決めた受験生の気分。
ラボにフィルムを出せば仕事は終わりだった昔が懐かしい、、、。(涙)
でも、モノクロに関しては暗室で大量のフィルムを現像し、コンタクトシートを作ってから、一枚一枚のプリントに時間をかけていた事を考えると、やはりフォトショップのほうが楽かもしれない。
画像処理抜きの写真を提出する事もできるが、手を加えればさらによくなる事が分かっている写真をみすみす何もせずにクライアントに渡す事に「別にいいじゃん」と心が言わないのだ。
好きな事を仕事にすると、こういう葛藤に陥る。


この年末年始、購入してまだ1年しかたっていないEOS 30Dがついに潰れてしまい、僕のメインレンズであるキャノンの17-35mmf2.8L、28-70mmf2.8Lそして70-200mmf2.8Lもついに病院送りになった。(昨年はEOS 10Dも死んだ)
僕はオーストラリアに移住してからCPS(キャノンプロフェッショナルサービス)の会員になっていない。
タスマニアにキャノンサービスがないし、EOS 10D や30Dはプロ機材でないのでサービスの対象にはならないからだ。
修理する機材は会員でもそうでなくても、シドニーのキャノンまで送らなければならない。タスマニアは正真正銘の田舎なのだ。
しかしCPSの会員ではないとさすがに修理に時間がかかるし、何よりも修理代が怖い、、、。
機材のトラブルに関しては土砂降りの山の中も、砂嵐のビーチも、ブッシュファイヤーの現場でもこれらの機材をこき使っているのだから仕方ない。
これらのレンズはすでに10年近く使っている。
去年は3本とも少なからず一度は地面に落としている。
スポーツや事件、事故の撮影は慌ただしく、走り回りながらの撮影が多いのでそういうミスを犯す。
そう考えると、これらのレンズ、よく今までもっているものだ。感謝、感謝。
昨年末、慌ててEOS 40Dを購入したが必要に迫られての事なので、あまりワクワクしない。
故障を考えると常に3台は必要だ。(涙)
趣味のカメラが欲しいなぁ、、、。


今年は自分の作品撮りに力を入れたいと思っている。
作品といっても芸術作品ではない。
写真は芸術にもなり得るが、僕にとって写真とはドキュメンタリーだ。
売れる売れないに関わらず、自分にとって価値あるドキュメンタリーを形に残るものとして、最低でも2本は作りたいと思っている。
自分に正直な写真が、結局は一番自分を満足させる事をこのブログを通して学んだ気がする。
自分にとって正直な写真は批判も受けるかもしれない。
しかし、いつまでもウケるもの、誰かの影響を受けているもの、形にとらわれるもの、そういったものを撮り続けるわけにはいかないのだ。
もしそこで稼げないのなら違う事で稼げばいいだけじゃないか。
写真に関してはもう魂を売りたくない。
こんな私事をここで書いても仕方がないのだが、考えてみるとブログというものは私事で成り立っているのだから、まあいいだろう。
正直にと言えば、このブログも自分に正直な話しをしていきたいと思っている。
どうせ時間を使うのなら、その方が自分のためになる気がするからだ。
僕はもうすでに人生の半分を生きているはず。
今さらカッコつけても意味がない。
充実した時を過ごしたいのなら「本当はどうなのか?」にこだわりたい。
写真だけではなく、自分の言動に対して人がどう思おうが構わない。
写真も言動も、外に出した時点で覚悟するしかない。
自分を幸せにしたいのなら、正直者が馬鹿を見たとしても、その線で行こうと思う。
暗い話しもブログに登場するかもしれない。
心地よい朝に僕のブログを見て後悔する人がいるかもしれない。
その時は申し訳ありません、と今から言っておく。
濃い人たちは「もっと、もっとよ!」と言うかもしれない。
調子の乗ると木に登るタイプだが、あまりエスカレートするようなら、鍵コメで僕を止めて欲しい。(笑)

皆さん、2008年も「タスマニアで生きる人たち」を見てくださいね。
コメント、待ってますよ!
ポチッも忘れないでちょ〜だいよ!








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写真はテキストと無関係です。
前回のTasmania, Woodbridgeの夜明けを撮影した際の子供たち。
3年くらい前の写真なので、子供たちがまだ幼い。










ブログの更新をしていない間も見てくれていた人たち、ありがとう。
コメントの返事、新年のご挨拶はこれからさせてもらいますね。







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by somashiona | 2008-01-10 19:14 | ソーマとシオナ

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