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さよなら2008年、写真クイズ!



これが今年最後のブログ更新となるはず。
みなさん、一年間僕のブログにおつきあいしてくれて本当にありがとう。
いつも勝手なことを書いているのに陰湿な攻撃を受けることなく、楽しくブログライフを続けていられるのは皆さんに守られているからだと思います。
このブログを見てくれている人たち、コメントをくれる方々の姿勢にしっかり守られているといつも感じています。
それにもかかわらず来年また、皆さんを落ち込ませたり、不快にさせる記事を書き、不道徳な写真を載せるかもしれません。
そんな時は「こいつ、まだまだだなぁ、、、」と多めにみてやってください。
何かしらの形で吠えていないと上手く生きていけないのです。

今、僕たちの生活を襲っている不況は予想以上に深刻みたいです。
職を失ってしまった方々、頑張ってください。
職を失いそうな人たち、踏ん張ってください。
奥様たち、旦那さんを何も言わず見守ってあげてください。
旦那様たち、奥様に何も言わず子供の面倒を見て、皿を洗って、チュ〜してください。
小さな気配りでこの世の中は少しだけ素敵な場所になるはずです。

相原さんのブログで以前触れていましたが、フリーランスのカメラマンはいつも仕事がなくなる恐怖と闘っています。
特に僕のような海外の、ましてやオーストラリアの中でも田舎のタスマニアなどにすんでいるとまともな写真の仕事など待っていても一生やって来ません。
いつも何かないか眼をキョロキョロさせ、人びとが話すことに関心を寄せ、たくさんの人に会い、お金になるアイディアを見つけ、それを形にしないといけません。
年から年中、首を切られる直前の労働者気分です。
それでも、その緊迫感のおかげで身体を鍛え、笑顔でいるように努力し、本をたくさん読み、いつか巡り会うであろうチャンスのために自分を奮い立たせることができます。
たとえ貧乏でも生きている実感は持てます。

お先真っ暗だ、と思って毎日を過ごしている方々、人と会ってください。
連絡をとり合っていなかった親、兄弟、友人、元同僚と会ってください。
あなたが必要とされている人間で、思った以上に多くの人があなたのことを気にかけていてくれていることに驚くはずです。
何も持たない状況に陥った時、今まで見えなかったことがよく見えるものです。
生意気言ってごめんなさい。


さて、今年最後のブログ更新はクイズでしめたいと思います。
下の写真は1枚を除き共通する要素を持っています。
1枚を除き、人びとを驚かせる要素を持っています。
さて、それは何でしょう?






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スタート!
チク、タク、チク、タク、チク、タク、、、、

どう、わかる?

チク、タク、チク、タク、チク、タク、、、、

同じ人の写真かって?
ちがうよぉ〜ん。

チク、タク、チク、タク、チク、タク、、、、

写真の中に同じものがあるかって?
ないもぉ〜ん!

チク、タク、チク、タク、チク、タク、、、、

え、なに、ヒントが欲しいって?
うぅ〜ん、じゃ、ちょっとだけ。
キーワードはオークション。
にひひぃ〜。

チク、タク、チク、タク、チク、タク、、、、

ブッ、ブーッ!
はい、時間切れでぇ〜す!

答えは、、、
じゃ、じゃ〜ん!

上から順に世界で最も高額で売れた写真たちでぇ〜す!
いくらかって?
第一位が約3億4百万円!
「お客さん、お安くしときまっせ」って言ったじゃない!
しかも、何これ、スーパーマーケットの中の写真?
詐欺だぁ〜!
納得できなぁ〜い!
相原さんは山の中でキャンプして、虫にボコボコにされながら写真撮ってんだぞぉ〜!
明日からスーパーマーケットに通おうっと。

第七位にランクされている巨匠アンセル・アダムスの写真が約5千5百万円、そして第十位の僕の愛するダイアン・アーバスの双子の写真が約4千3百万円。

え、一番下の写真は何って?
「窓越しの雨にぬれるイングリッシュガーデン」2008年 Manabu.k Japan
取引金額、零円。
うるさぁ〜い、笑うなぁ〜!
来年はやってやるぞぉ〜!
ウォ〜!

皆様よいお年を。



紹介作品

1. Andreas Gursky: " 99 Cent II Diptychon" , 2001
£1,700,000 ($3,346,456)
Sotheby's London , February 2007
The sale of this colorful work was a milestone in the Art market, as it was not only the most expensive photography ever sold, but also almost triplicated the auction record for a contemporary photography


2. Edward Steichen: " The pond - moonlight", 1904
$2,928,000
Sotheby's New York , February 2006
The 41- 50.8 cm . photograph, which remembers me of Ralph Albert Blakelock's nightscapes, was previously in the collection of the Metropolitan Museum of Art, owner of another of the three copies of the work


3. Richard Prince: " Untitled (cowboy)", 1989
$1,248,000
Christie's New York , November 2005
This modern cowboy is one of the most famous Works by one of the masters of the contemporary photography.


4. Joseph Philibert Girault de Prangey: " 113 Athènes, Temple de Júpiter ", 1842
£500,000 ($922,488)
Christie's London , May 20th 2003
Girault de Prangey was a French draughtsman and photographer whose works are extremely valuable as they are the earliest surviving visual documents of archaeological places such as Syria or the Acropolis


5. Gustave Le Gray: " The Great Wave, Sete", 1857
$838,000
Sotheby's London , October 1999
Le Gray is arguably the most important French photographer of the 19th Century. This beautiful work was previously in the Jammes Collection until it was auctioned by Sotheby's


6. Robert Mapplethorpe: " Andy Warhol" 1987
$643,200
Sotheby's New York , October 2006
American artist Robert Mapplethorpe is one of the key figures in the contemporary photograph, portraying personages such as Patti Smith, Peter Gabriel or Andy Warhol. The work portraying Warhol was created 2 years before Mapplethorpe's death after complications arising from AIDS .


7. Ansel Adams: Moonrise, Hernandez, New Mexico, 1948
$609,600
Sotheby's New York , October 2006
Adams is one of the masters of the 20th century photograph, creator of the "zone system" and famous for his stunning views of the American Southwest


8. Andreas Gursky: " Untitled 5" , 1997
$559,724
Christie's London, February 2002
A typical work by Gursky, depicting a shoe shop. Five years later, another work by Gursky was sold for nearly 6 times the sum paid for this photo


9. Gustave Le Gray: " Tree" 1855
$513,500
Sotheby's New York , October 1999
Second work by Le Gray in this list. The French photographer created a group of Works studying the effects of the light on a tree, and this work is one of the most accomplished.


10. Diane Arbus: " Identical twins, Roselle , New Jersey", 1967
$478,400
Sotheby's New York, April 2004
A strange and almost disturbing photo depicting two young twin sister in almost identical pose, said to inspire the terrible "ghost twins" in Stanley Kubrick's "The Shining"












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by somashiona | 2008-12-28 05:57 | デジタル

ピンチヒッター撮影



先日、企業の役員のポートレイトを撮る仕事があった。
この手の仕事自体はなんら珍しくないが、いつもと違うのはこの企業は僕の親友ピーターのクライアントで、僕は今までピーターが撮った写真とまったく同じモノを撮らなくてはいけないと言うことだ。
なぜ、ピーターが撮らないのか?
彼は一足早いクリスマス休暇で1週間のブッシュウォーキングに出かけてしまう。
そう、僕はピーターのピンチヒッター撮影をするのだ。

彼は僕にA4一枚のプリントと撮影に使うバックドロップ(背景の布)を渡した。
A4のプリントには4人のモデルの写真が写っている。
これとまったく同じように撮ってくれということだ。
プリントにはメインf8、背景f8とメモが記されている。
もちろん撮影の絞りのこと。
それ以上の説明がないのはプロならこれを見れば十分だろういうピーターの意思表示だ。
ロスで写真を学んでいるとき雑誌の写真を一枚選び、それとまったく同じライティングで写真を撮りなさいという課題がよく出た。
それいらい、雑誌の写真を見るたびどうやってライティングをしているのだろう?と考えるクセがついた。
たぶん、プロで写真を撮っている人は多かれ少なかれこういうふうに写真を見る習慣があるだろう。

当日、企業側にいわれた通り、予定撮影時間の1時間前に現場についた。
撮影場所は会議室だった。
あれ、思ったより狭いぞ、、、。
会議室にあった12の椅子を部屋の外に出し、ミーティング用の大きなテーブルを脇に寄せる。
バックドロップを垂らす壁にかかった油絵を注意深く外し、スタジオセッティングを組みはじめる。
モノブロックのストロボ2灯とレフ版一枚というシンプルな組み合わせだ。
モノブロックは日本で使っていたコメットにオーストラリアの電圧に変えるトランスフォーマーを合わせて使用している。


ピーターに渡されたプリントに写っているモデルの鼻の周りにある影の角度とその柔らかさを注意深く見てメインライトとレフ版の位置を大雑把に決める。
ピーターの写真を見る限り彼のフルフレームのカメラで少なくても105mm以上のレンズを使っているはずだ。
自分のカメラに付けたレンズをフルフレーム換算で105mmにし、撮影するカメラ位置とモデルの位置を決める。
あれ、バックドロップとモデルの位置が近いぞ、、、。
モデルの後ろの低い位置にバックドロップにあてるライトをセットし光量を最小限にして露出を測る。
あれっ、f16、、、。
カメラのISOを200から100にするがそれでもまだf11、、、。
あ〜っ、そうだ、カメラバックの中にトレーシングペーパーがあったはずだ!
バックドロップにあてるストロボのリフレクターにトレーシングペーパーを2重にして貼付け、もう一度露出を測る。
今度はf8。ふぅ〜っ。
そこでコンコンとドアをノックする音が聞こえ、担当の女性が顔を出す。
「撮影15分前ですが、テストシューティングの準備はできましたか?」
えぇ〜っ、15分前?まずっ、外に止めた車のパーキングメーターが切れる!
パーキングの許可証をもらいビルの8階から地上に駆け下り、再び8階の会議室まで駆け上がる。
額と背中は精神的、肉体的プレッシャーで汗が流れている。
5分前。
担当者をモデルにテストシューティング。
1枚目、あれっ、顔の影が濃すぎるぅ〜、、、。
レフ版をフレームのギリギリまで近づける。
2枚目、あれっ、バックドロップの光のグラデーションがプリントと違うぅ、、、。
ライトの角度を調整する。
3枚目、よっしゃ〜、完璧だぁ〜、ダァ〜(アントニオ猪木)!

そこでまたドアのノック。
一人目のモデルが会議室に入って来る。
「もう、はじめていいかな?」高価なスーツを着た白髪の男性が穏やかに尋ねる。
「もちろん準備はできていますよ」という僕の顔に汗がつたう。
そんな僕を見て担当の女性がクスクス。

やれやれ。






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注)テキストと写真は無関係です。









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by somashiona | 2008-12-26 20:06 | デジタル

メリークリスマス、ホッ、ホッ、ホ〜!







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わたし、ハッピーなの。






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どうしてか分かる?






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ダディと手をつないでお散歩だから。
ニコニコ。






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いよいよ明日はクリスマス。
明日は子供たちと彼らの母親、そして僕の4人で一日楽しくクリスマスの日を過ごす。
何が食べたい?って子供たちに聞くと「ジャパニーズ チキン(鳥の唐揚げのこと)、そしてローサーモン(鮭の刺身」と答えた。
サンタからのプレゼントはもう彼らの母親に渡してあるし、昼間に刺身用のサーモンのフィレも買っておいた。唐揚げの下味は今夜のうちに済ませておこう。

明日のクリスマスと明後日のボクシングデイは祝日だ。
ホバートではお店というお店が見事に閉まる。
他の店が閉めているうちにうちは営業をして儲けよう、というところが不思議とないのだ。
今、冷蔵庫を見るとミルクがもうほとんどない。
コーヒーに必ずミルクを入れる僕にとってこれは重要な問題。
そういえばペトロール(ガソリン)もあまり入っていなかったか?
今更騒いでも仕方ない。
そういう時、タスマニア流の考え方は「諦める」、それしかないのだ。

子供たちの母親からソーマはまだサンタクロースを信じているみたいだから、買ったプレゼントが彼らに見つからないように注意して欲しいと言われた。
彼にとって、きっと今年がサンタを信じる最後の年だろう。
僕も子供の時は100%信じていた。
UFOもユリゲラーの超能力もお化けの存在も、全て信じていた。

子供たちと散歩をしていた時、シオナが当たり前のことのように僕に聞いた。
「ダディはサンタさんに何をお願いしたの?」
「え、ミ〜? 5D MarkllとズームのLレンズが3本と、新しいMacとエプソンのフォトストレージと、、、」
「でもダディ、それってみんな仕事の道具でしょ?遊びに使うオモチャは欲しくないの?」
「シオナ、ダディの仕事の道具はね、オモチャよりずぅ〜と楽しいんだよ。分かる?」
「う〜ん、なんとなく、、、」
僕の頭の中ではサンタさんのお願いがまだ続いていた。
おいしい仕事がたくさん来て、美女たちからデートの誘いもたくさん来て、それと3億円当選確実の宝くじのチケットと、、、。

クリスマスなんて関係ないさ、と言う僕も、せめて明日くらいは世界中の人たちが人の優しさを感じる幸せな日であるように祈ってしまう。
皆さんも良いクリスマスでありますように。

メリークリスマス、ホッ、ホッ、ホ〜!












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by somashiona | 2008-12-24 19:17 | ソーマとシオナ

メッセージを送る



タスマニアに住む友人宅にてNHKのドキュメンタリー番組を観る会があると連絡をもらった。
海外に住む日本人にとって日本の映画やテレビドラマ、またドキュメンタリーなどは日本に住む人が思う以上のお楽しみだ。
番組と番組の間に入るコマーシャルですらかなり真剣に見る。
日本で作られたものを観るのは、僕たちにとってある種のイベントなのだ。


夜、遅い時間に上映会をするお宅を訪れ、そこに集まった5人の日本人でそのドキュメンタリー番組を観た。
タイトルをはっきりと覚えていないのだが小説家の重松清さん(たぶん)が戦争当時、戦場で書かれた日本兵士の手紙を家族のもとへ送り届ける、というような内容のドキュメンタリー番組だった。

クリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」のように戦争当時、多くの日本兵が家族に親にあてて手紙を書いた。
サイパンやソロモン、ニューギニアのジャングルの中で飢えと病気と敵の攻撃に苦しみながら。
当時、日本兵士が書いた一連の手紙は敵国の兵士によって集められ、日本という国を、または日本兵士の心理を分析する貴重な資料として保存されたが、近年そういった手紙が公開されているらしい。
必ず生きて帰ってみせる、という強い意志を手紙に書き綴っている兵士もいたが、ほとんどの兵士の手紙は遺書と言っていいものだ。

死を覚悟した人間の言葉は簡潔で美しい。
今自分が死んでいくというとき、誰に言葉を残したいか?
独身の兵士は親、兄弟、そして恋人に。
家族のいるものは子供たち、そして妻へ。
死にゆく夫がその妻へ心からの感謝の言葉を述べ、自分がいなくなった後の生活を気遣う手紙が多かったのが僕には正直言って驚きだった。
約半分のカップルが離婚するこのオーストラリア、死を前にして夫は妻にどんな言葉を残すか。
今まで言えなかった不満や愚痴を書く夫の方が多いのでは、、、。(冗談です)

このドキュメンタリーを観て思ったことは心に響くメッセージというものの姿だ。
人は自分の生きた証を何らかの形で残そうとする本能のようなものがあると思う。
写真はその方法の一つだろう。
僕が今こうして書いているブログもまさにそうだ。
僕がブログを書くとき、心の底にいつもあるのは、いつか子供たちがこれを読んでくれるといいのに、という思い。
今僕が死を前にして誰かに何かを書き残すとしたら、筆頭に上がるのはやはり子供たちだろう。

写真を撮る時、それを見て欲しい人がハッキリとイメージできたときは撮りやすい。
メッセージは自分が誰に何を伝えたいか、それがクリアーなほど強くなるのだろう。
ましてやそれが自分の最後のメッセージとなるのなら一語、一文たりとも無駄口は叩きたくないに違いない。

僕は写真を撮る人間だ。
写真で何かを伝えたいと考えている人間だ。
誰に向かってメッセージを発しているのか、意識したい。
自分の撮った写真を50年後に誰かが見るかもしれない、子供たちが見るかもしれない、と思って写真を撮ろう。
たとえそれがヌード写真であってもだ。








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by somashiona | 2008-12-22 23:26 | ソーマとシオナ

撮影は写真家の仕事のほんの一部分



先月、タスマニアを訪れていた相原さんにDVDディスクを一枚渡した。
怪しい内容のDVDではなく、2007年から2008年の相原さんのタスマニアでの活動をまとめた写真だ。

日本に帰ってこのディスクをみた相原さんから電話があり「感動した」と感想をもらった。
僕も写真を選びながら改めて相原さんの仕事ぶりに感動した。

今日お見せするのは2007年5月に写真展の打ち合わせと撮影をかねてタスマニアを訪れた相原さんと3日間を共にした時のもの。

皆さんが普段見る素晴らしい相原作品の数々、きっと大自然の中で黙々と写真を撮るクールな写真家の姿を想像するだろう。






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確かにその想像は間違っていないが実際の現場の様子はもっとリアルだ。






まだ真っ暗な早朝にベッドを抜け出し寒い野外に出る。
撮影ポイントはもう決めてあるので現場の車で行けるところまで真っ暗な山道を眠い目を凝らしながら運転する。






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真っ暗な空はあっという間に白み、厳かに撮影が始まる。






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ここクレイドルマウンテン、朝の寒さは半端じゃない。
シャッターを切るタフな相原さんの顔が寒さで歪む。






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朝食抜きで活動をはじめるのでやがてお腹がすくが、そんな時には大好物のブロニーフィルムを食べる。






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下山し、やっとまともな食事にありつけると思いきや、ここでも相原さんの写欲はおさまらない。






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お腹が落ち着くと写真展の準備のためギャラリーのキュレーターやスタッフと打ち合わせがはじまる。
もちろん全て英語だ。
昔、ブラジルのグレーシー柔術のヒクソンやホイスにインタヴューをしていて彼らにこう質問したことがある。
「ところで、あなたたちは皆どうしてそんなに英語が上手いの?」
「だってね、自分の実力で世界に挑もうとするのなら、英語力は身につけなくてはいけない最低限のことでしょう」と彼らが答えたのを思い出す。






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自分で図面もかき、納得のいくまでギャラリーのスタッフと写真展の準備を進める。






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打ち合わせが一段落すると地元のスーパーで食料の買い出し。
その姿はもうすでによその国から来た人ではない。
完全に地元の風景に馴染んでいる。






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ホテルの部屋に戻ると携帯電話2台を手に、オーストラリアと日本のクライアントとの連絡を欠かさない。
女性へのラブコールはこのときしていなかったと記憶する、、、。
相原さんは基本的に非常にマメな人だ。






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ホテルのフロントでもシェフやレセプションのフタッフと話が弾む。
相原さんのオーストラリア写真が上辺だけのものではないのはここで暮らす人たちとの交流が根っこにあるからだ。






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そしてまた、森の中を進む。






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樹々に囲まれる相原さんはまるで樹々の一部だ。
相原さんにとってそれらの被写体は友人のようなものなのかもしれない。






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クレイドルマウンテンの天候は数分ごとに変わる。
酷い雨でびしょ濡れになりながらも集中力は維持し続ける。






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ここで撮影をしているとすぐに吸血ヒルが体中に張りつく。
相原さん、実はこういうものにとても弱い。
撮影中に突然飛び上がり、必死でジェケットを叩く相原さんを見て大笑いしたことがある。ヒルだと思って叩いていたのはジェケットから飛び出た黒いヒモだった。






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しかし、撮影中に笑うだなんて普段はなかなかない。
悪いタイミングで話しかけると怖い目で見つめられる。
この目を僕は「人殺しの目」と呼んでいる。(失礼)






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そんな時は黙って距離を置き、相原さんを見つめることにする。






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一日の撮影が終わり、美味しいタスマニアのビールをオーダーし






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ホテルの部屋で落ち着く時間は「さっきのあの怖い顔はどこへ行ったのですか?」と聞きたくなるような人懐っこい笑顔。
相原さんファンは皆これにやられてしまう。






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グルメの相原さんも撮影中は粗食。
缶詰のサディーンやスモークサーモンで充分幸せ。






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お腹がいっぱいになるとベッドに転がり込み、僕が話しかけている途中で眠りに落ちる。






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相原さんのこういう活動を見ているとよく身体がもつものだ、といつも感心する。
好きだ、というだけではここまで頑張れない。
写真がどんなに好きでも、それを形にするために乗り越えなくてはいけないハードルの多さに、人はくじけてしまう。
写真家にとって撮影という作業は仕事の中のほんの一部分にしか過ぎない。
やはり、そこには選ばれし者が何かしらの使命に突き動かされて全力を尽くしているという宿命のようなものを感じる。







日曜特番「相原正明物語」終わり













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by somashiona | 2008-12-21 07:59 | 人・ストーリー

才能って必要か?



僕は27歳の時にはじめて自分のカメラ(ニコンFM2)を購入し、それ以来ずうっと写真に夢中だが、タスマニアに来るまであることで悩み続けていた。

それは自分に才能があるのかどうか、ということだ。
そのことについていつも自問自答し、他の人たちが撮ったすばらしい作品を見るたび恐怖と不安の洞穴に閉じこもった。
写真の経験が浅い上、プロとしてかなり遅いスタートだったので才能がなければ生き残れないと考えていた。

写真でお金を稼ぐようになって分かったことはそんなにいい写真を撮っていないのにたくさん仕事があっていつも忙しい人と、めちゃいい写真を撮るのに全然仕事が入らなくていつもひぃ〜ひぃ〜言っている人がいるということだ。
当たり前のことだがフリーの職業写真家は個人事業主なのだから、写真のセンスよりまずはビジネスのセンスを身につけることが重要なのだ。
写真は真剣になれば必ずあるレベルまでたどりつく。
自分の作品を撮りためることも大切だが、多くの人に会ってコミュニケーション能力を高め、自分に何ができるのかをしっかりと相手に伝え、相手の欲しいものをきちんと提供できれば仕事は巡ってくるのだろう。
そのレベルの仕事に写真の才能という言葉はほとんど無用なのだと長い時間をかけてやっと悟った。

しかし、才能という呪縛から解かれたのはそれを悟ったからでない。
才能という言葉の意味を違った形で捉えられるようになったからだ。
素晴らしい作品を撮る人(僕から見て才能があると思う人)はとにかく撮り続けるのだ。
人がどう言おうと、人にどう思われようと関係ない、とにかく撮り続けるのだ。
写真をやめるとか、諦めるとか、そういう次元を越えて、もうそれ抜きでは生きていけない人。
写真を撮ることが生きていることと一体になっている人、その生き方そのものが才能なのだと思うようになってきた。
そういう人の作品はオリジナリティに溢れている。

日中は観光客や多くの買い物客で賑わうサラマンカマーケットに夜訪れる機会があった。
全ての店は閉じられ砂岩造りの建物は本来の静かな姿を取り戻しホッとしているようだ。
建物の窓から光が漏れているのに気がついた。
ホバートでは有名な画家が自分で所有するギャラリーだ。
このギャラリーの前をよく通るがこの画家の姿を見たことは一度もない。
明かりの漏れる窓に近づくと中に人影があった。
こんな時間にひっそりと静まったサラマンカでキャンバスの上に黙々と筆を走らせている。
描きたい衝動に突き動かされて描く姿は僕の知っている金剛力士像の姿とだぶった。








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by somashiona | 2008-12-19 13:58 | デジタル

ホバート、クリスマスフィーバーの真っ最中



人が少なく静かなのがタスマニアの州都ホバートの取り柄なのだが、さすがにクリスマスホリデーが直前のこの時期は何処もかしこも人だらけだ。
クリスマスのプレゼントを用意するそのフィーバー振りは日本のそれとはひと味違う。
老いも若きも皆真剣だ。
なぜか?
それはクリスマスは自分と関わる最も大切な人たちとの愛を確認する日だからだ。
クリスマスにプレゼントを贈くり贈られる相手がいないということは日本人が思う以上に辛いことらしい。
この時期、多くの人たちが経済的に苦しい見えない人のためにクリスマスのプレゼントを買い、それを寄付する。
全ての人たちがプレゼントをもらえるようにと思いを込めてプレゼントを寄付する。

僕はといえば人が盛り上がるお祭りごとがあるとなぜか決まって塞ぎ込んでしまう傾向があるのだが、毎年12月は最も仕事が忙しい時期なのでなんとか引きこもらずにすんでいる。
明日のコーポレイトポートレイトの仕事の後、今月の28日から来年の第一週まで地獄の仕事の日々が待ち受けている。
それでも時間を見つけては子供たちがサンタクロースにお願いしたピンクのラジコンカー(これを欲しがっているのはシオナ)やストップウォッチ(競争ごとの好きなソーマの願い)を購入するためレジの長い列でうんざりしつつも不本意だが皆と同じクリスマスフィーバーに突き動かされている。

世界を襲っている不景気はここオーストラリアもまったく人ごとでない。
プレゼントやクリスマスディナー、ホリデーにかかる費用は半端じゃなく、この時期のためにお金を積み立てしている人も少なくない。
待ち受ける楽しさと減っていく銀行残高の狭間で人びとの心は落ち着きを失う。






普段はお固いジェントルマンたちがスカートをはきはじめ






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株価の変動で大金を失った人は大人であり続けることを拒否する






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何も買えない若者への興味を失った若い女性たちは裕福な年寄りを追いかけるが






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何も持たない年寄りたちは、時に翻弄される人たちの中で今まで通りの自分であり続ける






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by somashiona | 2008-12-17 20:40 | デジタル

やっぱりブッシュウォーキングでしょ




ほんの2週間の滞在ですっかり東京化された僕は経済戦争の最前線で機関銃を持つ兵士のような気分でオーストラリアに向かう飛行機の座席に収まっていた。
メルボルンの空港までは確実にそういう気分だったが、ホバートに向かうヴァージンエアラインに乗り込むと乗客の人たちのムードもがらりと変わり(服装や会話がめちゃローカルになる)、なんだか僕の鎧も軽くなってきた。
そして飛行機の窓からタスマニアの大地が見えたとき、僕はなぜかホッとした。
僕にとってよその国であるこの地を見て本当に心からホッとしてしまった。
知らないうちにここが僕の家になっていたようだ。






タスマニアに戻った翌日から立て続けに入っていたヘビーな仕事を無事終了させ、翌週子供たちと会った。
ソーマは僕の顔を見ると、涙ぐんだ。

久々の父と子の再会を喜び合い、何をして過ごすのがこの喜びにふさわしいか彼らと話し合った結果ブッシュウォーキング(ハイキング)に行く事になった。
目指すはマウントウェリントン、車で約15分の場所だ。
標高1270mのこの山、ホバートに帰るとやはりこの山に触れたくなる。
富士山を見ると日本に帰ってきたと実感するのと似ている。

マウントウェリントンには無数のトラック(ハイキングコース)があるので子供たちが地図を見てどのコースを歩くのか決める。
この日は天気も良くちょっと長い時間歩きたい気分だったので、オルガンパイプ・トラックから頂上へ抜けるコースに挑戦する事になった。






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出発の時の彼らは元気一杯、ウキウキ気分。
それは僕もまったく同じだ。






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このトラックに入るとすぐに大きな岩の洗礼を受ける。
1、2年前はぐらぐらする足場と急斜面から見える風景にビビっていた子供たちも今じゃヘッチャラ。
先頭を歩くリーダーのソーマがコースに危険な岩があるとすぐに僕やシオナに伝える事になっている。






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僕たちが歩くトラックの右手には玄武岩でできたマウントウェリントンの岩肌がカーテンのように覆い被さる。
この玄武岩の柱状節理がパイプオルガンのように見えるのでオルガンパイプ・トラックと呼ばれるのでは、と勝手に想像している。






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春のホバート、天気がよくても風は冷たい。
すれ違う人たちは皆本格的装備で歩いているが、僕たちは軽装だ。
僕のバックパックの中には最低限のモノしか入っていないが(全員の防寒具、雨具、地図、スナック、ライター、水など)それでも結構ずっしりくる。
途中から雪に覆われたトラックを歩くはめになった。
傾斜が強くて、普通の靴ではかなり滑る。
トラックのすぐ下は危険な谷間、足を滑らせて落ちると深刻な事態になると子供でも一目で分かる。
引き返したいか、と二人に尋ねると行けるところまで行きたいと答えた。
足下が雪の場所は普通に歩く3、4倍の時間がかかる。
途中天候が急変して吹雪になったら引き返すのも簡単じゃないだろう。
父親としては悩むところだが、自然を相手に100%の安全などありえない。
終始ニコニコ笑顔の自然体験なんてつまらない。
ここは彼らにしんどい体験を味わってもらう事にした。






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こういう場所では二人とも基本的に愚痴を言わないが、シオナが手が冷たくて感覚がないと言いはじめた。
ポケットに入っていた僕の手袋を支給する。
シオナはハッピー。






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まだ折り返しの頂上にすらたどり着いていないが、子供たちの笑い声はいつしかなくなり、親子三人無言で歩き続ける。
途中、休憩をしてナッツやドライフルーツを食べるとき、彼らは少しへばり気味だった。






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僕は久々のホバートの風景を楽しむ。
骨のようなデッドツリーや岩の表面を彩る地衣類を見るとなぜだか心が和む。
青空を背景に春の太陽に照らされるそれらの木はまるでスタジオで組んだライティングのように完璧な光と影のバランスだ。
昔、スタジオアシスタントの手伝いをしていたとき、いいライティングを覚えたいのなら風景写真を撮るべきだ、と教わった。
人を撮る以外まったく興味がなかったので、実践しなかったが今は少し分かる。
自然が作り出すライティングは人間の想像力を遥かに越えると思う。






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頂上を目指し上にいくにしたがって温度は下がり、斜面は傾斜を増すが、トラックがやっと歩きやすい道になり、マウントウェリントンのシンボルである巨大な塔が見えると僕たちは安堵した。
三人で喜び合ったのもつかの間、頂上付近は風を遮るものがなく、寒さでいてもたってもいられない。
雨具で風から身を守り、違うコースで下山する。
駐車した車に戻るまで3時間半の道のりだった。






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冒険を成し遂げたことを喜び合い、家に帰るとグランパ(おじいちゃん)の遺影に向かってそのことを報告した。
よく見ると、ユーカリの葉に穴をあけ、小さな花で飾り付けをしたものがグランパの写真の横に添えてあった。
僕はこの子たちがいてくれて本当に幸運だと思った。












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by somashiona | 2008-12-10 12:56 | デジタル

東京という名の欲望





オーストラリアに移住して8年が経とうとしている。
最近、やっとここの生き方に順応しはじめている気がしている。
僕の住むタスマニアと日本、その違いを一口で言い表わすことは難しいのだが、それでもあえてそれを言うのなら「何のために生きるのか」という部分があまりにも違いすぎる気がしてならない。
どんな国に住もうが僕たちは雨風をしのぐ屋根と壁のあるスペースを確保するためや、空腹を満たす食べ物のために最低限のお金を日々稼ぎださないといけない。
一昔前と比べると今のオーストラリア人の暮らしはかなり贅沢になっているらしいが、それでも生きるために最低限のお金さえあるのならあとは楽しくやればいいじゃん、というムードがここはいつも漂っている。(あくまでも個人的な感想だが)
日本人の平均貯蓄額をオーストラリア人に教えると皆本当に驚く。
そういう感覚に7年かけてやっと慣れ、もうどこへ行っても僕の価値観は変わらないだろう、という自信を持って東京へ行ったのだが、山手線で揺られているうちにそれら揺るぎない信念は穴の空いたバケツからこぼれる水のようにあっさりとどこかへ流れ出てしまった。

稼がなきゃ、、、ビジネスチャンスをつかまなきゃ、、、もっといい服を着なくっちゃ、、、もっと美味しいものを食べなくっちゃ、、、。
あれが欲しい、あそこへ行きたい、あれを見たい、あれも、これも、もっと、もっと、、、。

どうしてだろう、東京へ入ったとたんあらゆる欲望に煽られまくり、その結果それを解決すべく最も手っ取り早い手段のお金を稼ぐという行為を常に考え続けるはめになる。

東京は欲望の怪物だ。
それに飲み込まれるとすぐに彼の真っ赤な血液となり、彼の心臓から手足の先の毛細血管までもみくちゃにされながら流され続ける。
少しでも立ち止まろうものなら、白血球につかまってしまう。
自分のささやかな意見などに誰も耳を傾けてくれない。
ビルの巨大スクリーンに写し出された赤いドレスの女性が買いなさい、お店に向かいなさい、走りなさい、と笑いかけ、皆がそれに従い同じ方向へ向かう。
全経済活動だけでなく、世の中の流れそのものがまるで若者たちを中心に動いているかのようだ。
モノ、カネ、情報、全てが若者たちの心をつかもうと必死だ。
子供たちは早く若者になろうと背伸びをし夢のような美しい時を飛び越えてしまい、大人たちはいつまでも若者のままでいようと年相応でいることの素晴らしさを忘れ、尊厳を失う。
若者たちの関心に興味を失った人たちは多くの人たちが住む共同体から追い出され、価値のない人のような扱いを受ける。
同じ欲望を秘めた運命共同体の同胞たちはなぜか満員の電車の中のでは互いに目を合わそうとせず、誰しも携帯電話のボタンを押している。
同じ肌の色をした人たちのうねりは濁流の色だ。
すれ違う人たちは表情がなく、まるでクローン人間の林の中に迷い込んだよう。
僕は感傷的なことは考えず、ただただお金を稼ぐことに気持ちを集中する。
この街ではよほど強い自分を持っていないと群れの中の一頭の羊になってしまいそうだ。
何のために生きるかを忘れてしまいそうだ。






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濁流の中で息をしようとタスマニアに電話をし、子供たちの声を聞いた。

「ダディ、ジャパンからなの?マウントフジはそこから見えるの?本物のそばはもう食べた?どんな動物が歩いているの?ホバートのサラマンカマーケットよりたくさん人がいるの?いつ帰ってくるの?」

短い時間だったが、大都会の中で夢を見ているような気分だった。







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今まで何度も夢に見た丼もの、ラーメン、餃子などをへそから飛び出そうになるほど腹に詰め込み、写真物欲魔王の奴隷となった僕は信者が集まる新宿西口のメッカに向かった。
暗闇の中に真っ赤に輝くけばけばしいネオンサインを見た時、あの店のテーマソングがまるでコーランのように建物から流れるのを聞いたとき、アドレナリンが体内を駆け巡るのを感じる。
財布の中のポイントカードはまだ有効期限が切れていないだろうか、、、?
これか使えないとなるとエクスタシーが半減する。
各フロアーをくまなくチェックし、僕は我を忘れて写真用品を買いあさった。
もし僕がここに住んでいたら3ヶ月以内に禁治産者の宣告を受けるだろう。






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日本の旅シリーズはいったん終わります。
あまりにも面白いことがありすぎて、いつまでたってもこのシリーズが終わりそうもないからです。
日本での写真はまたときどき出しますが、次回からはまたタスマニアでの普通の生活写真に戻ります。
楽しみにしてくださいね。












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by somashiona | 2008-12-08 20:17 | デジタル

トーキョーお散歩フォト








東京滞在期間の2週間、僕はほとんど写真を撮らなかった。
決して撮りたくなかった訳ではない。
タスマニアではほとんどの時間をショートパンツとTシャツで過ごす僕が珍しくグレーのスーツを身にまとい、ラップトップコンピュータを持ち歩いて毎日多くの人と会ったのだ。
写欲に打ち勝つためにも営業活動中はカメラを持たなかった。
四国同様に東京もおいで、おいでする被写体で溢れていた。




東京の滞在期間中、ブログをやっていて本当に良かったと何度も思うことがあった。
タスマニアという田舎に住む日本人カメラマンが、インターネットを使って知らないうちに営業活動をしていたようなものだ。
ブログのおかげで本当に多くの素敵な人たちとお会いでき、貴重なお話を聞かせてもらった。


そして、僕はとうとう写真界悪の中枢と呼ばれる(あ、そんなことないです)相原邸にお邪魔した。
タスマニアでは何度も会っているのに東京のご自宅で見る相原さんはなんだかとても違う人だった。
いつも会社でビシッとスーツを着ている部長さんのお宅にお邪魔した時、Tシャツ姿の部長さんを見たしまった驚きだ?(例えになっていない、、、)
驚きと言えば相原邸の壁に僕の似顔絵が貼ってあったのにもビックリした。
これはNYのじゃじゃ馬ファッションフォトグラファーが描いたらしい。


この日、相原宅にはあの有名写真ブロガーたちが結集した。
東京代表下町のイケメン怪人B
名古屋代表、バラの花の香りのN嬢
奈良代表、木と話ができ、念写を得意とするN氏
あまりに濃いメンバーで一瞬立ちくらみがしたが、話が盛り上がるのに3分もかからなかった。


相原さんの庭である下町界隈を皆でお散歩スナップに出かけた。
僕以外は皆大柄の人たち。
皆の身長を足したら六本木ヒルズのビルとならぶかもしれない。
そんなでかい人たちが東京の狭い下町をでかいカメラを首にぶら下げ、一列になって歩いている姿を想像して欲しい。
彼らが歩くと周りの人たちはクモの子を散らすように道の端へと行ってしまう。
まずい、これじゃ僕の好きな人物スナップショットが撮れない、、、。
僕が単独行動をとりはじめると皆は先に進めず道の先で待っている。(ごめんなさいでした)
ごめん、ごめんとあわてて追いつく僕のさらに後から抜群のプロポーションをした身体をくねらせ、ゆったり余裕を持って歩いてくるのはいつもN嬢だ。
とても暑い日だったが、流れる汗を拭くために時折通りで立ち止まるN氏の大きな影の中で涼み、怖いお兄さんが前からやって来ると怪人Bの後ろに僕は隠れた。
電車賃を払う時は相原さんにぴったりと身を寄せ、中華料理屋さんで食事が終わると誰よりも早くお店を出る。


東京で心奪われてしまったのは
1)いたる所に貼ってあるポスター
2)継ぎはきだらけのトタン屋根、壁、塀。
3)狭い路地に精一杯の緑を提供してくれる家の前の鉢植え。
4)自転車とスパーカブ。
とにかく路地の片隅や壁際を見るとそこに必ず何かしらの美があるのだ。
う〜ん、面白すぎる。

結局、東京でまともにスナップ写真を撮ったのは濃いメンバーの人たちと歩いた時くらいだった。
トーキョー、住んでいた時にはあまり感じなかった混沌の中に見え隠れする美。
タスマニアに戻った今は東京在住のフォトグラファーの作品からそれを見つけ出して楽しむしかない。












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注)コメント欄を開けて欲しいというメールをよくもらいます。
コメントに対する僕の返事ではなく、他の人たちのコメントを読むのが楽しいからだそうです。(涙)
ちょっと開けてみます。












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by somashiona | 2008-12-04 08:42 | デジタル

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