<   2009年 06月 ( 10 )   > この月の画像一覧

19歳の記憶








この日はサムの19歳の誕生日だった。
化粧台の前で彼女はしばし物思いにふけっていた。
鏡の中の自分を19歳になったばかりのサムはどう見ているのだろうか?
胸の奥底にどんな熱い思いを秘めているのだろうか?


僕の過去の記憶は驚くほど稀薄だ。
小学校、中学校、高校のクラスメートの名前どころか、先生の名前もほとんど出てこない。
過去に付き合った女性たちが想い出話をはじめるとき、スイートな想い出のほとんどを僕が覚えていないことを彼女たちは悟り、僕的には完全否定したいところだが、彼女たちはそれが僕の愛の重さだと判断する。
子供たちでさえ僕のことをMr.ノーメモリーと呼んでときどきバカにする。
子供たちも女たちと同様想い出話が大好きだ。


そんな僕だから19歳の時の記憶などほとんどないにきまってる。
たぶんその頃、デザイナーズブランドの洋服に有り金をはたく病気から卒業しバイクで旅することに夢中になりはじめたかもしれない。
今と違って当時は音楽なしの生活など考えられなかったし、頭の中の80%以上は女の子のことで占めていたことだろう。
政治経済、社会の出来事、世界の出来事、そんなものにはまったく興味なかった。
本もあまり読んでいなかったし、写真など撮って喜んでいる奴には気持ち悪くて近づきたくなかったタイプの人間だ。
19歳、お金のことも、生活のことも、キャリアも、健康も、守るべき人たちのことも、自分が成し遂げるべきことも、そんなことを何も考えず心配もせず生きていたに違いない。
おお、なんていうことだ、信じられない、、、。
もし今、一瞬でも19歳にかえったなら、たぶん心も身体も羽が生えて今にも飛び出しそうなほど軽く感じるのではないか?
いやいや、待てよ、そんなことはない、19歳には19歳なりの深刻な悩みがあった筈だ。
僕のことだから、きっと忘れてしまっているだけなんだ。
ということは、今僕が抱えている様々な悩みや問題も約20年後にはきれいさっぱり忘れ去ってしまっている可能性があるということか?
ちょっと信じがたいが、そう思い込んでいるフリをして毎日を過ごすのも悪くはないだろう。
過去の記憶は写真の中にきっちりと収まってさえいれば、それで十分。
フォトグラファーだから。












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by somashiona | 2009-06-26 22:14 | デジタル

できればそんな人間に




子供たちを乗せて車を運転していると助手席に座っていたソーマが言った。
「ダディ、あそこでやっている工事を見てよ。あれはね国が予算を消化するためにやっているとても意味のない工事なんだ。どうしてガーバメントはいつも無駄なことばかりやって僕たちを困らせるんだろう」
僕はすぐに車を道路脇に止めて、そしてソーマの顔をまじまじと見た。
「ソーマ、あれが予算を消化するための無駄な工事だってどうしてお前に分かるの?そう言い切れるだけの根拠はあるの?それは自分の頭でよく考えてからダディに言った意見なのかい?」
突然真面目な顔で自分の顔を見る僕に少し戸惑い、そしてうつむきがちに「だってみんなそう言ってるよ、、、」と答えた。
「ソーマ、あの工事をするために寝る時間を惜しんで仕事をした人たちがいるだろうし、今こうしてこんな寒い日にあんなに高いところに上がって仕事をしている人たちだっているんだよ。ひょっとすると、本当に無駄な工事かもしれないけど、それを言う前に自分でそれをしっかり調べて、そうだといえる根拠を見つけるべきだと思うよ。わかるかい、ダディの言っていることが?」と言って彼の頭に手を置くと「うん、わかるよ」とソーマは頷いた。

何か問題がもちあがると必ずそれに対する賛成意見と反対意見がある。
オーストラリアでは日本以上に自分の意見というものを何事に関しても求められる。
自分がどちらの側に立つ人間なのか常に態度で表さないといけない。
それが自立した人間としての正しい態度だと信じられているからだ。
成長するソーマの言動に自立していく自分をアピールしたい気持ちが見える。
しかし、本来なら自分の意見を確立するプロセスは簡単でない筈だ。
一つの問題に対し違う立場を取る意見を聞き、本を読み、出来る限り自分の目で見て、そして色々な事情を考慮に入れつつも自分の良心はどう感じているのか胸に手を当て考えなければならない。
森林伐採の問題、クジラの問題など人びとの議論を聞いていると、自分とは違う意見にまったく耳を傾けず、自分の信じる意見を過激なまでに押し付ける人も少なくない。

最近になって、もう若くない僕がようやく認めつつあることは、正しい答えなど世の中には存在しないのかもしれないということだ。
性格的にそういうことは言いたくないのだが、その点に関しては降伏の色が濃くなってきている。
しかし、正しいと思う答えを考え続けることはやめたくない。

まだ9歳のソーマに僕の考え方を少し押し付けがましく言ってはみたものの、そういう僕自身、一つの問題に対して根拠を明らかにして明確に意見を言える人間かというと、決してそうではない。
僕は自分の理想をソーマに押し付けてしまったのかもしれない。

持ち上がる問題や話題に関していち早く僕たちにその情報を提供するのはメディアだが、垂れ流しの彼らの情報を信じるのは論外だ。
仕事を通して僕が目にしたテレビ局のインタヴューなどはほとんど誘導尋問だし、都合の悪い話や場面は編集ですべてカットされている。
テレビを見ている僕たちは彼らが信じ込ませようとしていることを信じてしまう。
人びとの噂話もそれとどこか似ている。
事実を見たこともない人たちが人づてに話を聞き、若干自分の意見や感情を交えその話に枝葉がついてくる。

社会に出るとたくさんのルールがあることに驚き、そしてそれに縛られる。
集団の中の一人としてルールを遵守することを求められ、それに従わない人間は悪とされる。
会社などの組織に属して生きているうちに卑怯な人間や無能な人間ほどそのルールを楯にとって不条理な要求を押し付けてくることを知り、ルールそのものの是非を問おうものならその組織からすぐに抹殺されることを悟る。
問題はその後だ、反発していた自分の心が次第に大多数が信じて押し付ける考え方やルールに染まっていくのか、それともたとえ大多数を説得できなかったとしても自分はこう考えるという意見を持ち続け、そういう自分を信じ続けられるか。
海外から日本を見ていると、不条理がまかり通り、人びとは悪に眼をつぶるか、それが悪かどうか考えるのを避けている国に見える。
外国人の目でオーストラリアを見ていると、表面に現れた事象だけを論議し、それが起こってしまった背景や事情を考慮せず白黒を付けてしまう国に見える。
今の自分を見つめると、年齢を重ねるごとにますます何事に対して白黒がつけられなくなり、世の中や人生が僕の頭髪のようにグレーに染まっていくのが見える。

天邪鬼(あまのじゃく)な人間にはなって欲しくないけれど、たくさん本を読んで、多くの人と話をして、多くの現実を見て、自分の頭で考え、判断し、勇気のある行動がとれる、できればそんな人間に子供たちがなってくれるといいなと思う。













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by somashiona | 2009-06-20 12:27 | ソーマとシオナ

ミモちゃんファミリーポートレイト2009 #2





ミモちゃんは今年から日本で言うところの小学校一年生だ。
もし日本で写真を撮るのなら、桜の木の下で真新しいランドセルをしょって、ママと手をつないだ一枚が必要だろうがここではそうはいかない。


日本の田舎町の商店街を歩くとよく写真屋さんを見かける。
七五三、入学式、成人式など、その街に住む人たちなら少なくても一度はお世話になったであろう地域密着型の昔ながらの写真屋さんだ。
そういう写真屋さんに飾られている少し色あせたネガカラーのプリントが好きだ。
お決まりのライティングにお決まりのバックグランド(背景の布)。
そんなお約束入学写真を僕も撮ってみようと思ったが、家の中の簡易スタジオで背景をぼかすにはちょっとスペース不足だった。
まあ、それも手作りの味ということで強行突破。(プロにあるまじき発言)
日本のおじいちゃん、おばあちゃんにとっては背景がどうのこうのというより、学校の制服にランドセルということが大切なのだ。


ミモちゃんはもの凄くいいモデルだ。
コロコロと表情を変え、写真にリズムを与えてくれる。
「心配なミモちゃん!」「怒ったミモちゃん!」「おやすみミモちゃん!」「驚いたミモちゃん!」「モンキーガール、ミモちゃん!」
僕がかけ声をかけるたび見事に反応してくれる。
「エンゾちゃんのガラスのリンゴ!」で反応してくれなかったので「本物のリンゴ!」と言ってみたがウケなかった。


子供の写真を撮る時、肝に銘じておかないといけないのはこの子たちのカラータイマーの制限時間はそう長くないということだ。
大人でもそうだが、写真を撮られるという行為は思いのほか疲れる。
着替えや化粧やライティングを変え、それが1時間以上続けば子供の機嫌はどんどん悪くなっていく。
僕的には機嫌が悪い時の子供の顔は(大人でも)ポートレイトとしてとても魅力的だと思うが、撮影のハイライトでそうなるとかなり焦る。

「さあ、ミモちゃんはプリンセスだよ。王子様を見つける旅に出よう!」

ぜんぜんノッてこないばかりか、綺麗に口紅を塗ったばかりなのに小道具のリンゴ食べてるし、、、。

「さあ、魔法の杖でちちんぷいぷいのぷいだよぉ〜ん!」

あれ、怒ってる?

「ほぉ〜ら、旅のお伴をするお馬さんが現れた!」

、、、、、、、、、、。

「そうだよね、お馬さんだけじゃ心細いよね。ちちんぷいぷいのぷい!ピンクの子豚さん登場!」

、、、、、、、、、、。

あ、ママ、5分間の休憩にしましょう、、、。


こんな風にあの手この手で盛り上げながら撮っているとだんだん声が枯れてくる。
写真を撮るのは小手先の技じゃない。
自分の全てを使って「ちちんぷいぷいのぷい!」と魔法をかけるのだ。


今年もミモちゃんファミリーポートレイトを楽しく、いい感じで撮ることが出来た。
さて、来年はどんな写真を撮ろうか?












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by somashiona | 2009-06-18 22:43 | 仕事

ミモちゃん、ファミリーポートレイト2009 #1







毎年恒例のミモちゃんファミリーポートレイトの季節がやって来た。
基本的にミモちゃんの普通の生活をドキュメンタリータッチで撮るというアプローチでこのファミリーポートレイトをやっているのだが、それをふまえながら毎年何か違うことにチャレンジしている。
今年は何をやろうか?とミモちゃんのママと相談した。
「なんか変なことやろう!」ということになった。
僕のイメージとしては小津安二郎監督とママと遊ぼうピンポンパンの世界を足して2で割って、それにロバートメイプルソープの怪しいエッセンスをさらりとふりかけた写真にしようと思ったのだが、実際にやってみると、やはり、そんな考えが成功する筈もなかった。
ミモちゃんの家のリビングルームをなんちゃってスタジオにし、今回はコメットのストロボではなくキャノンのスピードライト2灯を使って、そしてさらに家の中にあった物も小道具として大いに活用して、結局は楽しく写真遊びをした。

本来ならこれらの写真からベストショットを選んでブログにアップするべきだが、今回はまるでコンタクトシート(ベタ焼き)を見るように一連の流れで写真を見て欲しいと思う。
たぶん、どんなリズムで、どんなノリで、どんなことを指示して写真を撮っているか、その場の雰囲気が見ている皆さんに伝わると思う。
フォトグラファーの好きなように撮らせてもらえる仕事は本当に楽しい。









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あなたなら、この中からどの写真を選ぶだろうか?










それにしても、こんなにたくさんの写真をブログでアップするのはいかがなものか?とおもっているあなた。
次回もやっちゃいます。
ごめん、、、














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by somashiona | 2009-06-16 20:43 | 仕事

クイーンズバースディ #2



不機嫌さを背負ってスナップショットを撮りはじめたが、ノッてくるにしたがって「Sorry we're CLOSED」のプレートのことなどすっかり忘れてしまった。

写真上達の秘訣、もしくはいい写真を撮るための近道は自分が最も関心を寄せるものや人、「誰がなんて言ったって僕はこれが撮りたいんだ」という被写体をひたすら追いかけ続けることだと思う。
「いつもは風景を撮っているけど、本当に撮りたいのは女体なんだよねぇ」と思っている人は風景など撮っている場合じゃない。
断られても、頬を強く引っ叩かれても、女体を撮るべきだろう。
そこまで思い入れを持って撮ったものは技術を越えて訴えるものが必ずあるのだ。
多くの人の写真を見て心に浮かぶことは「どうしてそれを撮る必要があったの?」という素朴な疑問。
写真の楽しみ方は人それぞれなので人の写真にケチを付けてはいけないが、やっぱりどうせ見るなら心が動くものを見たい。


とはいえ、仕事で写真を撮るときはほとんどの場合、自分にとってさほど興味のないものや人をぜんぜんいけてないと思う場所で撮らなければならないことが多い。
センスのある人は一瞬で撮らなければいけない被写体がもっとも美しく、効果的に見えるアングルや光や演出法を見つけるのだろうが僕のような凡人はそうはいかない。
僕はいい写真とは被写体の重要度以上に撮り手の状態がしっかりと反映されている写真じゃないかと密かに心の中で思っている。
撮り手の心の揺れが写真の中に見える時、写真を見る僕も揺れる。
そういう意味ではいつでも、どこでも、何を見ても自分の身体に埋め込まれている写欲のスイッチをオンにできるよう普段の練習で鍛えておかないといけない。
(僕のスイッチは左乳首)


ストリートでのスナップショットはそういう意味で最高の道場だ。
「これから歩く10メートル以内に何があるか分からないが、少なくても3カットはいい写真をものにする」と自分にプレッシャーをかけ、どこまで出来るか自分をテストする。
何かを感じる被写体に出会った時にそれを撮るのではなく、何を見ても何かを感じる状態に自分を持っていき、その感覚を写真の中で表現できるよう練習するのだ。
(仕事で撮影をする時、被写体が何かを感じるものであるとは限らないから)


スナップショット道場で一番つけたい力はピントや構図や露出の技術ではなく、実は予知能力。
写真は物事が起こってしまってからレンズを向けてももう遅い。
「何か起こるぞ」「次の曲がり角に何かあるぞ」「あのカップル、いまキスするぞ」というような予感が身体に沸き起こる練習をするのだ。
僕は決して冗談を言っている訳ではない。
本気でスナップショット撮っている人はきっと頷いているだろう。
鍛えると写真を撮るための予知能力は必ずつく。


ランニングをするとランナーズハイになるように、スナップショットを撮っていると知らぬ間にフォトグラファーズハイになる。
体温が上がり、疲れを忘れ、家族を忘れ、待ち合わせの時間を忘れ、銀行口座の預金残高を忘れ、シャッタスピードや絞りのセッティングなどまったく無意識のうちに行ない、見るもの全てが神の啓示を受けた素晴らしい被写体だと思えてくるのだ。

「ショーウィンドウから通りを見つめるジョニーよ、なんて悲しげな顔なんだ、、、道路を挟んだ向かい側のショーウィンドウでポーズを決めてるキャサリンが服を着ていないのを気にしてるんだね、、、大丈夫、彼女の心はいつだって君のものさ、、、」

「おお、アスファルトに埋もれているマンホールよ、毎日多くに人に踏みつけられているのに、君はどうしてそんなに健気でいられるんだ、僕も君のように強い男でありたいよ、、、」

「電信柱にオシッコかけてるワンちゃんよ、分かるよ君の気持ちは、僕だって出来れば君のように街中の電信柱にオシッコかけて、自分の存在をアピールしたいんだよ、、、」

「銀蝿君たち、交尾の最中に申し訳ないんだけど、君たちを見ていると愛の素晴らしさを改めて思い知らされるよ、、、」

カメラの背後でこんなことをぶつぶつと呟きながら通りを歩く40代の男は決して魅力的とは言いがたいが、これが僕でなくても写真に狂う人間の姿というのは多かれ少なかれこんなものだ。
こんな調子でシャッターを切っているのだから、翌日冷静な眼で自分の撮った写真を見ると、それはもう愕然とする。

フォトグラファーズハイになっても冷静な眼を失わない訓練をもっと積まないといけない。

人生、いつまでも修行だ。













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クイーンズバースディのスナップショットはこれでおしまい。
今日も写真は撮った順番に並べただけです。
この日僕は10km歩きました。












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by somashiona | 2009-06-12 22:24 | デジタル

クイーンズバースディ #1



先日の月曜日はクイーンズバースディで祝日だった。
イギリスの植民地としてはじまり、今じゃいっぱしの大人になったオーストラリアだがいまだにマミーを思う気持ちは強いらしい。
いや、マルチカルチャーを謳う国だからよその国の女王様の誕生日も大きな心で祝ってあげるのだろう。
それならいっそのこと昭和天皇の誕生日であるみどりの日も祝日にしてしまえばグリーンな人たち(地球環境を気遣う人たち)この日に大喜びでいろんなイベントをするだろうし、ついでにタイの王様の誕生日も祝日にして、この日に黄色い服を着て外を歩くと赤い服を着た人に攻撃されるというゲームを楽しみのもおつかもしれない。

こんな皮肉を言うのには訳がある。
月曜日、僕はどうしても欲しい情報があってある機関のオフィスが入っているビルに出向いた。
アポイントなしでビルの前まで来てしまったがバックパックの中にはたくさん話ができる関係資料が詰まっているし、かならず誰かを捕まえて聞きたい情報を得るという闘志に燃えていた。
しかし、ビルのドアの内側には「Sorry we're CLOSED」という赤いプレートが少し傾いてぶら下がっていた。
道ゆくラッパー風の男性に「なんで閉まってるんだろ?」と聞くと「祝日っ!」というぶっきらぼうな答えが返ってきた。
「何の日さ?」と言うと「クイーンズバースディに決まってんだろ!」と彼は不機嫌な顔で吐き捨てた。
それを聞いた僕は彼以上に不機嫌になり、昨夜自分のアイディアに盛り上がりすぎてカレンダーのことをまったく忘れていた自分を罵った。
冷静になって街の中を見渡すと確かにガランとしている。
日本では休みの日はどこも人でごった返すが、ここタスマニアは休みの日になると街はゴーストタウン化する。
バックパックの中にカメラが入っているのを思い出した。
よし、ひさびさにスナップショット散歩をしよう!










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(写真の見せ方に何の工夫も意図もありません。ただ撮った順番に並べているだけです。)














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by somashiona | 2009-06-11 21:07 | B&W Print

マウントフィールドはもう雪だ




タスマニア、ここしばらく雨が続いていて洗濯物を乾かすのが大変だ。
青空の下洗濯物がはためくのを見るのは大好きだが、家の中のヒーターの近くで折り畳み式物干にだらしなくぶら下がる洗濯物たちを見るのは妙に気持ちが滅入ってしまう。

誕生日の誓いのランニングは膝の激痛により再び1時間半のウォーキングに逆戻り。
雨の中ずぶ濡れになりながら泥だらけの山道を歩いていると時折野うさぎやワラビーが僕の眼の前に突然現れ、そして僕の顔を一瞬じっと見つめてから、まるでこいつは話し合う価値のない男だと判断したかのように茂みの中にピョンピョンと跳ねていく。
パンツまでぐしょぐしょになったとしても、動物たちからそんな扱いを受けたとしても、外に出て身体を動かすのはやはり気分がいい。

それはたぶん子供たちにも言えることかもしれない。
僕と一緒に過ごす週末、天気が悪いとどうしても家の中で過ごしがちだが、その理由のほとんどは実は父親の僕にある。
そんな時外に出ると子供たちの服は泥だらけになるし、濡れるし、家に帰ってからの面倒なことが普通の日より限りなく多くなるからあまり外に出たくないのだ。
でも、悪天候の日に外で遊ぶと面白い発見がたくさんあることを子供の頃からの数々の経験で僕は知っているし、実際そういう日に子供たちと外で遊ぶと普段以上に盛り上がり、子供たちの精神衛生上もとてもいい。

今日の写真は先月5月末のものだが、この日も雨がざんざん降っている日だった。
前日も雨で家の中にいたので、もう絵を描いたり、トランプをしたり、DVDを見るのはまっぴらごめんだった。
という訳で、子供たちと作戦会議を開き、久しぶりにマウントフィールド・ナショナルパークに行ったのだが、、、。
待ち受けていたのは一面の銀世界と雨という最悪のコンディション。
そして、予想はしていたが、予想以上の寒さ。
行けるところまで行こう、と前に進んだがスニーカーだった子供たちの靴がぐしょ濡れで足の感覚が無くなってきたと彼らが訴えはじめたので一時間ちょっとで引き返した。
それでも久々にパンダニ・ツリーたちに挨拶をして(昨年も子供たちと一緒に来て同じパンダニ・ツリーの写真を撮った)僕も子供たちも気分は上々だった。
寒さのため外で食べるのを断念したおにぎりを子供たちと一緒に車の中で食べている間、車のヒーターを最大限にして冷えきった身体を温め、濡れたソックスや手袋を乾かした。
この時、今年は超寒い冬の日にキャンプをして「どこまで僕たちが寒さに耐えられるか大会」をしようということで話がまとまった。

この子たちが本格的な冒険をしはじめる年頃になった時、僕はまだ彼らについて行けるだろうか?
お願い、その時は僕を仲間外れにしないでね。








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by somashiona | 2009-06-07 12:49 | ソーマとシオナ

シングルウーマン




キャリアウーマンのナンシーは最近家を買った。
独身、未婚、40歳、スタイルがとても良くて頭がいい。
夢はジャーナリストになること。
なので本業の他に2ヶ月に一度くらいのペースでフリーのライター兼フォトグラファーとして雑誌の仕事もしている。
「最近恋の方はどうなの?何かいい話ないの?」と聞くと” Love is the last thing I want to think about. I'm too busy everyday.”(恋愛なんて考える気はさらさらないわ。もう毎日忙しくって)と答えた。
数日前、彼女の友人が「ナンシーは夜になると一人で生きるのが寂しくてよく泣いているらしいの」という話を聞いたばかりだが、もちろんナンシーにはそんなことを言わなかった。
「家も買ったし、人生充実してるね」と言うと「もちろんよ」と言って彼女は笑った。


法律を勉強しているアンジェラは学生に戻る前不動産の仕事をバリバリとこなしていた。
30歳半ばで恐ろしく頭がいいうえ、情の厚い素敵な女性だ。
前の夫と離婚して以来独身生活を貫いている。
「今恋人はいらない」と彼女はきっぱりと言いきる。
「今必要なことは猛勉強をして国家試験をパスすること」という彼女は超現実主義の女性だと僕は思っていた。
そんな彼女が親友に打ち明けた「私ね、白馬に乗った王子様が突然私の目の前にやって来て、私を何処か遠くへ連れ去ってくれる日がいつか必ず来るってずうっと信じていたの。でも、そんなこと絶対にあり得ないってようやく最近悟ったの。本当につい最近よ。」


女たちも、必死で生きている。








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by somashiona | 2009-06-06 07:55 | 人・ストーリー

そうだ、冬の海へ行こう





どんよりと曇った冬の午後、なぜだか突然、海へ行こうと思った








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ざくざくと枯れ木や落ち葉を踏みしめて雑木林を歩けば、もうすぐそこに潮の匂いが漂う

海岸へ出るとすぐに冬の冷たい風が頬を刺す

マフラーをしっかりと首に巻き付け湿った砂浜を歩く








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孤独を象徴する冬の海、しかし砂浜では波に打ち上げられた貝殻や海藻たちで大賑わい

少し大きめの貝殻を手に取り耳に当てる

聞こえてくる風の唄は少年だった頃と何も変わらない

生きる時代や住む国が変わっても、この唄は変わらない








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気がつくと一人きりだと思っていたこの砂浜に犬を連れた子供や家族が笑い声を上げながら歩いてくる

日が沈む少し前の太陽はオレンジにも紫にもならずにいつもと変わらない一日の仕事を終えようとしている

手にしていた貝殻をポケットにしまい込み、僕は雑木林へ向かって歩き出す










(写真は全てSeven mile beach, Tasmania)






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by somashiona | 2009-06-03 06:59 |

文章読本と写真テクニック本




世の中には文章読本と呼ばれるものがたくさん出ている。
(この話をはじめるのは本棚にあった「日本語練習帳」という本が何かの拍子で床に落ちたから)
いわゆる文章の達人たちがどうすればいい文章を書けるようになるか懇切丁寧に教えてくれる、そういう類いの本だ。
僕は文章を書くのがとても苦手で(と同時に書けることにいつも憧れて)この手の本を過去に4、5冊読んだ。
しかし正直言って、僕の頭の中にためになる教訓や具体的な技法は何も残っていない。
これは一体どういうことだろう?
仕事柄プロのライターや雑誌の編集者からメールをもらうことがよくあるが、彼らの書いた短いメール読み僕はいつも唸ってしまう。
上手い、上手すぎるのだ。
文章を書くのは誰でも出来ること、しかしプロサッカー選手が練習の時に見せるボールさばき、プロの料理人が僕のキッチンで見せる包丁さばき、またはプロの絵描きが子供たち相手にささっと描いて上げる動物の絵を見た時の驚きのように、文章を書くことを仕事にしている人が見せる仕事でない文章に僕はいつも感動する。
この人たちからもらったメールや手紙の方が文章読本よりも数倍頭に残る具体的テクニックが含まれている。

写真のテクニック本も過去に数えきれないくらい読んだ。
で、本から学んだテクニックがどれくらいあるかというと実は?マークだ。
本で学んだことで頭に残っていることなど全然ない。
ではどうやって写真のテクニックを身に着けたかのか?
僕の場合、度重なる失敗の教訓と思い描くものを撮れるようになるためのたくさんの実験、そして極々たまにだが他のプロのフォトグラファーがやっていることを見て目から鱗が落ちた瞬間だろう。
結局は自分のテクニックは苦しみながらも自分の中から生まれるものであり、そこから出て来たテクニックがその人のオリジナリティ溢れる作風になると思う。

それでもこの手の本がたくさん出版され、またたくさん読まれるのはなぜか?
たぶんそれが読み物として面白いからだと思うが、秘密はそれだけではない気がする。

以前小説家馳星周さんのブログで彼は面白いことを言っていた。


父ちゃん、笑ってたよ。写真家は優しいって。父ちゃんは、父ちゃんの知り合いが「小説書きたいんだけど」って相談しに来たら、「小説をなめるなよ」って頭に来ちゃうんだって。でも、写真家はだれでも、なんでも優しく教えてくれるんだってさ。
(馳さん、テキストの無断使用許してね)


いや、これを言っていたのはワルテルだけど、とにかくとてもいいとこを突いている話だ。

写真家は自分が苦労して身に着けたテクニックを1つでも聞かれると、たとえ相手の目がもう勘弁してと訴えていても、100くらい教えてしまう。
正確に言うと「教えてしまう」ではなく「自慢してしまう」だ。
言いたくて、言いたくて仕方がないのだ。
しかし、相手が同業者だと突然貝のように口を閉ざす。
写真テクニック本はいわばアマチュア写真家に向けた自慢話のストーリーなのかもしれない。
馳さんは小説を書きたいという人に「小説をなめるなよ」と怒るかもしれないけど、もし誰かの下手な文章を見れば一言いいたい気持ちを抑えきれなくなるだろう。
世の中にたくさんある文章読本も自慢話を土台にしたお説教本だという可能性がある。

それでも僕たちが飽きもせずそういう本を繰り返し買うのは、人間、何かすがるものがないと自信を持って生きていけないということなのか?








(とテキストを書き終え、話がまったくまとまっていないことに気がつく。文章読本読まなくっちゃ!)










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Kingston Beach, Tasmania






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そういやぁ今までたくさんそういうタイプの本を読んだわぁ、でも内容は覚えてねーや、と思った人はポチッとよろしく!

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by somashiona | 2009-06-01 21:45 |

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