<   2012年 07月 ( 18 )   > この月の画像一覧

今日は一日中、雨



今日は一日中雨。
小糠雨がしんしんと静かな音をたてるように降っていた。
タスマニアの人たちは雨が降ってもあまり傘をささない。
白く、風が吹くと方向を変えるような小糠雨は、意外にも短時間で驚くほど僕たちの身体を濡らす。
霧のような雨だから大丈夫さ、と侮っていると、突然土砂降りになり、また霧のような雨に戻る。
雨の中を歩きながら写真を撮るのはとても面倒だが、普段はなかなか撮れないようないいショットをものに出来るチャンスでもある。
数枚撮る度にレンズを拭き、数枚撮るごとにジャケットの中にカメラを隠す。
なんでこんな寒さの中、雨に濡れて街をうろつきまわり、写真など撮らなくてはならないのだろう、という考えが一瞬頭の中をよぎるが、答えはフォトグラファーだからに決まってる。
写真を撮ることで生を感じるのだ。
この日、僕がこの世に存在し、この目で何を見たのか、その証拠を残すのだ。

体が芯から冷えたせいか、また熱が出そうな気配。
ああ、この虚弱体質、なんとかならないものか、、、。










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by somashiona | 2012-07-31 21:51 | デジタル

ストリートフォト、影と追いかけっこ


写真を撮る時、特に仕事ではなく自由な写真を撮る時、できるだけテーマを決めて撮るように心がけている。
この日の朝は出来るだけ影を使った写真を撮ろうと決めていた。
ストリートフォトを撮るとき、どうしても目の前を通り過ぎる人間の面白さに目が行ってしまいがちだが、街に降り注ぐ光と影を使った抽象的な絵だってストリートフォトとして成立する。
ストリートフォトは写真道場だ。
太陽の位置、雲の動き、日の当たっている場所、影の中、適切な絞りとシャッタスピード、被写体の距離、レンズの画角がカバーする範囲。
自分の行動を客観視すること、じっくりと観察するがキョロキョロしないこと。
撮るべきものがどこにあるのか、匂いを嗅ぎ分ける能力、次に何が起こるのか予測する力。
目の前で何が起こっているのか素早く察知し、それを一瞬で切り取る作業は写真の腕を上げるにはもってこいの練習だ。

高熱でうなされているとき、アンリ・カルティエ=ブレッソンが夢に出てきて、FUJIFILM FinePix X100を買いなさい、と僕に言った。(本当です)
すぐに注文して、すぐに僕のもとにやってきた。
このカメラ、もちろん一眼レフカメラではなく、かといってライカのような本当のレンジファインダーカメラでもない。
たぶん、高級なコンパクトカメラだと言うのが近いだろう。
しかし、愛すべきカメラだ。
フルサイズ換算で35mmの単焦点レンズが付いている。
開放値はF2。
僕が普段使っているキャノンのEosのように素早く被写体に反応するカメラではない。
最近ブログにアップしている一連のストリートフォトはすべてマニュアルフォーカスで撮っている。
ピントが合っているのかどうか、目で確認するのではなく、距離で(被写界深度で)撮るのだ。
絞りをF8くらいにし、ピントは基本的に2メートルに固定する。
撮りたい物や人が射程距離内に入ったところでシャッターを切る。
被写体が射程距離より遠い時、もしくは近い時、勘でピントリングを少し回す。
どれくらい回せばピントがどれくらい動くのか、何度も練習して指に覚えこませる。
露出はこの日、絞り優先にしたり、マニュアルにしてみたりだったが、撮った写真をパソコンで見るとやはりマニュアルで露出を決めたほうが遥かに安定していた。
35mmの単焦点レンズ、とても使いやすい画角だが、パンチに欠ける写真になりやすい。
広角レンズのデフォルメ的面白さもなく、望遠レンズの切り取る迫力もない、この微妙な距離感、まるで大人の男女関係、大人の間合いだ。
大人だから、引くのか、寄るのか、ファインダーを覗く前に明確にしておく必要がある。
このレンズの距離感、自分の目が35mmの画角になるまで徹底的に体を使って覚える必要がある。
コニカヘキサーRFやベッサTを使っていたあの感覚が久しぶりに舞い戻ってきた。
そういえば、タスマニアで初めてやった写真展はコニカヘキサーRFやベッサTで撮ったストリートフォトだった。
X100、まだ身体の一部になっていないし、Eosのようにサクサク撮れないが、使っていてたまらなく楽しいカメラだ。
FUJIFILMさん、次は50mm単レンズがついたX200をだしてください。
天国のブレッソンさんも大賛成だと思います。

X100の話はまた今度。













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by somashiona | 2012-07-30 22:14 | デジタル

同じ角、それぞれの人生



よく使われる英語のフレーズで "You never know what's around the next corner." というのがある。
「人生、次の角に何が待ち受けているかはわからない」というような意味だ。

この日の朝、ホバートの街角を歩く人たちを待ち受けていたのは、カメラを構えた僕だった。笑
ほんの数分、同じ角でそれぞれの人生。
これから比較的ハッピーな日を過ごす人もいれば、最悪な一日になるだろう人もいる。
まだ誰にも分からない。

知らない人たちの顔や仕草に宿る物ほど想像力をかきたてるものはない。
シャッターを切った一瞬に見えているものは、画面の中のたぶんほんの30%くらいだろう。
ストリートフォトの魅力は予測できないこと。
家に帰り、撮った写真をじっくり見ると、そこから偶然が運ぶ不思議さと面白さが浮かび上がってくる。
この間(ま)、この雰囲気は計算して撮れるものではない。
これは写真だけが表現できる特殊な世界だ。
ストリートフォトは賛成派と反対派の意見が強く分かれる分野だろう。
肖像権、プライバシー、著作権、表現の自由、発表の自由、様々な議論がされるが、最近はもっぱら撮られた人たちの肖像権の方が表現の自由よりも強く、このことについて深く考えたことのない人たちでさえ、「勝手に写真を撮るな!」と声を荒らげる。
写真という表現の世界からストリートフォトが消えてしまったら、僕たちは生きた街の自然体な様子を二度と見れなくなる。
僕の写真の原点はストリートフォトだ。
微妙な問題が多く絡むストリートフォトをメディアなどが扱いたがらないのは分かるが、それにしても、もう少しこの分野に対する理解がもっと深まる機会やイベントがあってもいいのではないかと思う今日この頃だ。












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余談だが、FujifilmさんのX100とX10のめちゃカッコイイCMを見つけてしまった。
これ、日本でも流しているのかなぁ?
こんなに写真マニアの心をくすぐるCM、今まで見たことがありません。




























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by somashiona | 2012-07-29 11:32 | デジタル

深夜、ホバートより


仕事を終えたのは夜の11時を回っていたが、車の中の僕の新しいオモチャが「撮って、撮って」と僕に誘いかけている。
いざ、真冬の街へ。
いざ、ひと気のない深夜のホバートへ。

家に帰るとやはり撮った絵を見てみたい。
あれこれやっているうちに朝の4時半。
楽しいことをやっているときは寝不足もなんのその。
ああ、病み上がりなのに、大人だったらぶり返さないようきちんと自己管理をしなきゃダメなのに、写真のワクワクには抗えない。
今回は全て手持ち撮影だったが、次は三脚を使ってじっくりとやってみよう。












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by somashiona | 2012-07-26 10:46 | デジタル

夏の記憶はモノクロームで




今年のタスマニアの冬は例年に比べ暖かい気がする。
早朝に車を覆った霜や氷をプラスティックのVISAカードなどで削ぎ落とす回数が、今年は妙に少ない気がするのだ。
夏の写真が見たいなと思い、2010年のフォルダを開いてみた。
子供たちとキャンプをした時の写真。
夏の強い光を受けた海を子供たちは走りまわる。
記憶に残るのはきらめく水面と飛び散る水しぶき、そして子供たちの笑い声、叫び声。
人を撮るとき、多くの情報が含まれる表情を中心に狙いがちだが、かえってそれがその時感じた一番コアとなる思いを掻き消してしまう時がある。
躍動する子供たちのシルエットと光り輝く水面、それだけで十分な時もある。
モノクロなら、このほうが僕の記憶に近い。












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これを書いている最中ドアをノックする音。ポストマンが箱を抱え立っている。やったー!日本から小包が届いたー!新しいカメラの到着!このウキウキ感、いくつになってもたまりません。



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by somashiona | 2012-07-25 10:43 | ソーマとシオナ

モノクロームな気持ち




写真をはじめた当初、僕にとって写真とは、モノクロフィルムを使って撮られた被写体が印画紙の上で再現さたものの事を指していた。
カラーフィルムをカメラに入れて撮るときは、「仕事だから仕方ない」と自分に言い聞かせるほど、モノクロにこだわっていた。
デジタルになって暗室を失い、写真をプリントしなくなると同時に、僕にとっての写真はカラーに変わりつつあった。
データの上ではカラーで出来上がっているものをモノクロに変換するのは、フェアじゃない、ズルしている、本物じゃない、という罪悪感がつきまとう。
最近、友人とライカのモノクロ専用機(デジタル)について話し合い、盛り上がった。
友人は「どうしてそんなモノが必要なんだ?」というが、僕にはなんとなくわかる気がする。
モノクロフィルムをカメラに入れたとたん、頭の中や被写体を見る眼はモノクロになる。
僕がデジタルで撮るとき、モノクロを撮る気分になれないのは、実際にとっている絵がカラーだという気持ちが拭えないからであって、それゆえ、物を見る眼や頭の中もモノクロになりきれない。
ライカのモノクロ専用機を使うとき、頭の中も、自分の目も、モノクロになるであろうことは容易に想像できる。(かといって、簡単に買えるカメラではない)
そう、モノクロフィルムをカメラに入れる感覚に限り無く近い気がするのだ。


カラーで撮影するときは、当たり前だが色の効果を考える。
被写体のフォルムがよくても、そこで起こっている出来事が面白くても、何かを想像力を後押しするような魅力が漂っていても、色がバラバラだと絵として成立しない。
せっかく合格ラインのすぐそこまで来ている被写体なのに、色が悪いという理由でボツになることが多々あるのだ。
カラーは常に現実的でなければ最後までたどり着けない。
しかし、モノクロはそうではない。
そもそも被写体がモノクロで表現される時点で、そこからは現実的要素が欠落する。
一度、頭の中が現実から離れると、あとは楽だ。
自分の夢の世界をただ漂えばいい。
空と地面の露出の違い、極端なコントラスト、潰れてしまったアンダーなエリア、故意に付け加えた粗い粒子、それが自分の夢の世界に近ければ、なんでもあり。
ハイライトからシャドーまでのトーンがしっかり出ているとかなんとか、そんな教科書的な考え方をモノクロの表現に当てはめてはいけない。
モノクロは限りなくマスターベーションで、エゴイスティックで、説明を排除しているほうが魅力的だ。
最近、写真に対する気持ちがモノクロームに向かっている。
理屈じゃなくて、感じる写真が欲しくてたまらない。
心に触れない写真など、いくら撮っても意味が無い。 












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by somashiona | 2012-07-24 12:19 | デジタル

赤いダットサン




子供の頃の思い込みや癖のようなものは、大人になってもあとを引く。


「サン」で終わる名前や言葉は僕にとって「佐藤さん」や「田中さん」の「さん」と同じイメージで結びつき、「さん」が付いているというだけの理由でその名前や言語がとても身近なものに感じられた。
その代表はダットサン。
僕にとってかつての日産自動車の「ダットサン」は「ダットさん」であり、名前に「さん」が付いている車なのでカローラやシビックとは比べものにならないほど人間的な存在だった。
ジョナサンは僕にとってあくまでもジョナさん。ジョナサンさんと呼ぶなどもってのほか。
あの有名な富士山ですら、かなり高学年になるまで富士さんだった。
もちろん、山だから「さん」なのだということは頭では分かっているのだが、人格を持った山としての「富士さん」の方が僕には何故かピッタリきた。
パンの中でクロワッサンが特別なものに思えたのは、やはりクロワッさんと友達のように何度もその名前を呼び続けたからだろう。
落下傘ですら、決して他人ごとではなかった。
学生の頃、テストの答えに「デオキシリボ核酸」と書かなくてはならない場面に遭遇したことがあるが、僕の頭の中で一度イメージしてしまった「デオキシリボ・角さん」という海外で生まれ育った角さんのイメージが離れず、どうしても「核酸」という漢字が浮かばなかった。


友人から受け取った絵葉書に感動したことがある。
フランスの古典主義絵画の代表者ニコラ・プッサンの絵葉書だった。
その絵葉書がキッカケでプッサンの絵に興味を持ち、色々と調べてみて、さらに彼の絵画について関心が高まったが、心のなかで彼の名を呼ぶとき、「プッさん」と呼んでしまう自分を意識しないわけにはいかなかった。
40歳後半になっても、子供の頃の癖が抜けずにいるのだ。
まったく、恐ろしい。











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by somashiona | 2012-07-23 16:44 | デジタル

赤いキャミソール



時々、思い出す写真がある。
自分で撮った写真だ。
2月の頭、誰も人が歩かないような道路沿いに落ちていた赤いキャミソール。
朝の新鮮な光を浴びた場違いのキャミソール。
仕事を終えたホステスさんに早朝出くわした気分。
胸元についた白いファーと朝の日を浴びてキラキラ光るスパンコール。
どう考えても、クリスマス使用のキャミソールだ。


クリスマスの夜、若い娘がこのキャミソールを着て、誰も人など通らない川沿いの道路を歩いていた。
一人で?
ありえない、こんな場所、僕だって夜に一人で歩きたくない。
たぶん、男と一緒。
パーティの後で。
片手にはシャンペンのボトルを持っていたかもしれない。
編みあみの黒いストッキングに赤いヒールだったかもしれない。
唇もやはり赤いルージュで頭にはクリスマスパーティーで被るあの三角帽がまだ乗っかっていたかもしれない。
隣を歩く男は?
この近辺に住む同年代の若い男なら、おしゃれな格好などしていないだろう。
ジーンズにTシャツ、そしてせいぜい勝負革ジャン。いや、真夏に革ジャンはない。
年上の、たぶん40代前後の男が一緒だった気がする。
そこそこお金を持っていて、身なりもいい。
白いシャツの襟元についてしまった若い娘の赤いルージュを気にしていたかもしれない。
オーストラリアのクリスマスは真夏だ。
若い娘はキャミソールの下に黒いブラをしていたかもしれないし、下着は身につけていなかったかもしれない。
二人がここにたどり着いたときには、娘はもうかなり酔っていて、足元をふらふらさせながらジングルベルを口ずさみ、時折年上の男を上目遣いで見て、声を立てて笑ったかもしれない。
男の脳裏にはまだ幼い二人の子供たちと妻の顔がシャンペンの泡のように浮かんでは消える。
子供たちはサンタクロースを夢見てすやすやと眠っているが、妻はクリスマスディナーの片付けをせず、まだ散らかったままのダイニングテーブルに座っている。
夫に渡すはずのクリスマスプレゼントをじっと見つめながら。
男は、今夜、全てを清算しようと心に決めていた。
若い娘が男の決意を容易に受け入れることなどないことは男にも分かっていた。
この場所へ来たからには、もう後には戻れない。
ジェケットのポケットに入っている革紐を男は固く握りしめていた。


赤いキャミソールをファインダー越しに見つめながら、僕の頭の中では勝手にストーリーが展開していく。
いかにもありがちなやつ。
僕にとって写真は目に見える事柄の後ろにある物語を考えることでもある。
それはときに犯罪心理学のプロファイラーの真似ごとのようであったり、時には勝手な妄想だったりする。
どちらにしても、そういう気持ちを僕に起こさせる被写体に出会ったときは、かなり興奮する。












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ああ、また中年男の妄想がはじまった、、、と思った人はポチッとよろしく!









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by somashiona | 2012-07-20 19:51 | デジタル

赤い屋根



タスマニアに移住した手の頃、日本人向けのツアーガイドの仕事をしたことがある。
少人数のお客さんを車に乗せてタスマニアの主要な観光スポットを一緒に回るのだ。
運転手、ガイド、通訳、要するに、なんでもやる。
ホバートかロンセストンの空港にお客さんを迎えに行き、最初の目的地に付くまでの車中は質問の雨あられ。
お客さんにとっては初めての土地、車のガラスは次から次へと新しい情報が飛び込んでくるテレビ画面のようで、眼に入るものすべてについて知っておきたい衝動を抑えられない。




運転手さん(僕のこと)今渡っているこの大きな橋は何ていうの?

これはタスマンブリッジといいましてホバートのアイコニック的建造物のひとつです。大きな船がこの橋にぶつかって崩れ落ちたこともあるんですよ。今日は大丈夫みたいですが。

今見えるのは何ていう名前の川なの?かなり大きいみたいだけど。

これはダーウィントリバーといいまして、、、

あ、見て見て、あの黒い鳥は何、なんだか白鳥みたいだけど、でも黒いわ。

あ、あれはブラックスワンです。このあたりではいつも見ることが、、、

ま〜あ、変わった形の木、あれって、ユーカリよね!

いえ、あれはワトルです。

あらぁ、どうしてこんなに寒いのにTシャツと短パンで歩いている人がたくさんいるの?

こっちの人は日本人より体温が一度近く高いようで寒さにめっぽう、、、

あらぁ、かわいい犬ねぇ、やっぱりオーストラリアの犬は違うわねぇ。

あれはゴールデンレトリーバーです。

ねえ、どうして平日の真昼間なのにこんなに人が少ないの?みな何処に隠れているの?

石の裏をめくってみると何人か見つかるでしょう。

で、運転手さん、さっきから気になっているんだけど、一つだけ聞いてもいいかしら?どうしてこの街はこんなに赤い屋根が多いの?






この仕事のおかげで僕は短い期間にタスマニアの魅力をたっぷりと学習することが出来た。
そして、少しだけ、我慢強い人間にもなれた。














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風邪、良くなっています。明日から仕事復帰。実に8日ぶり。大丈夫かなぁ、、、?心配してくれた皆さん、ありがとう!



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by somashiona | 2012-07-19 12:13 | デジタル

赤いバス







冬の朝、あたりはまだ霧に包まれている。
ほどんど車の走らない、町外れの道路沿いに、レンガ作りの大きな廃屋があった。
窓ガラスは見事にみな割られ、壁の一部にはよく見かけるがどれも皆同じに見えるスプレーペイントが吹きつけられている。
悪ガキどもは人の目から隠れる場所なら何処へでも出没し、片足を上げマーキングする犬のように落書きをする。
見捨てられた廃屋は誰かが再び自分に関心を寄せてくれたことを嬉しく思っただろうか?
それとも、放っておいてくれ、このまま静かに朽ちさせてくれ、と思っただろうか?
窓ガラスが破られ、落書きをされているものの、レンガ作りの壁や屋根はまだしっかりとし、建物全体としては威風堂々たるものだ。
まるで苦しい時代をプライドを持って生き抜いた老人のように。
なぜこの建物にはこんなにも威厳があるのだろう?
まったく手入れされず、伸びっぱなしの雑草をかき分けて僕は建物の裏手に回った。
朝の尖った空気が僕の頬やカメラを持つ手を冷やし、朝露でブーツやチノパンツの裾が濡れる。
建物の裏手には真っ赤なバスが一台止まっていた。
レンガの建物にピッタリと寄り添うように。
僕はこの建物の心臓を見てしまったような気がした。
バスは窓のどこにも被害がなく、ボディのどこにも落書きはされていない。
地面や建物の壁から赤や青の無数の血管がバスにつながり、その血流によって赤く輝いているようだ。
何もかもが霧に濡れ、くすんだ色が支配するその朝に真っ赤なバスは神々しくもあった。
数枚シャッターを切って、静かにその場を離れた。












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昨日よりテキスト短め?









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by somashiona | 2012-07-18 18:26 | デジタル

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