オーストラリアン・ラブラドゥードル、「ワラタ通信」第一弾




最近、今までに一度も経験がなかったタイプの撮影依頼をメールで受けた。
依頼主は日本の関東在住のかたでメールの内容は次のようなものだった。








はじめまして。
M.Sと申します。
私は関東の◯◯◯というところでパートナーと犬(バーニーズマウンテンドッグ)の3人で暮らしている者です。
マナブさん(とお呼びしてもいいでしょうか?)に犬の撮影をお願いしたくメールいたしました。
マナブさんのブログ「タスマニアで生きる人たち」は馳さんのブログで知りました。
今回縁があってタスマニアにある「Tasmanian Labradoodles Breeding Centre」(タスマニアン・ラブラドゥードルズ・ブリーディング・センター)からオーストラリアンラブラドゥードルを迎えることになりました。
(もしかしたらアプリコットもこちらの犬舎の出身ですか?)
そのコ(一応「ワラタ(仮名)」と命名しました)は6月11日に生まれて、ようやく一ヶ月が過ぎたところです。
私たちのもとに来るまで(9月の初めころの予定です)待っていてもいいのですが、ワラタの2ヶ月間の成長を少しでも共有したいと思うのです。
というのも今一緒に暮らしている犬(名前は「R」といいます)がそうだったのです。
 
Rのお母さん犬の「妊娠~出産~育児~巣立ち」の様子をお母さん犬のお宅が毎日ブログで知らせてくださいました。
Rが何番目に生まれたか、お母さんのおっぱいをどんな風にのんでいたか、何番目に階段を降りれるようになったか、
お母さんと別れるときはどんな風だったのか・・・etc  
ブログで垣間見た2ヶ月間のRも私たちの思い出になっています。
ワラタがやってくるまでの2ヶ月間はほんの一瞬ですが、成長を共有し私たちの思い出にしたいのです。
 
どうかワラタたちの様子を撮影していただけないでしょうか?
兄弟でじゃれ合っている様子や、お母さんに甘えている様子、巣立ちの時の様子を教えていただけないでしょうか?
マナブさんがソーマ君やシオナちゃんを写したあの眼でラブラドゥードル親子を撮影していただきたいのです。
どうかよろしくお願いいたします。

M.S








このメールでも触れているが、ソーマとシオナの愛犬アプリコットはタスマニアン・ラブラドゥードルズ・ブリーディング・センター(Tasmanian Labradoodles Breeding Centre)出身で、ブリーダーのポールさんと奥さんのリズさんとは一度面識がある。
オーストラリアン・ラブラドゥードルのブリーダーとしては最大級の規模を誇るということで、一度きちんと撮影しておきたい場所でもあった。
その後、依頼者のM.Sさんとメールで具体的な話を進め、依頼を受けることにした。

さて、今回の主役は生まれたばかりの子犬、オーストラリアン・ラブラドゥードルのワラタくんだ。
名前のワラタ(Waratah)はタスマニアン・ワラタというオーストラリア産の花の名前から来ている。
ワラタの日本語名は「笑太」、文字通り笑えてしまう。
僕が受ける撮影依頼の80%は人物に絡む撮影だ。
人物が絡まないものとしては雑誌や新聞などで使うレストラン紹介の店内撮影やフードフォト、そしてアート作品や絵画の複写、スポーツイベントではヨットや車など、依頼を受けるたび内心冷や汗をかくのだが、今回の犬の撮影依頼は僕には初めてのことで、冷や汗は、もうナイヤガラの滝状態だった。
7月の頭から9月のはじめまで約3回から4回に分けてワラタを追いかけることになった。
撮影場所となるタスマニアン・ラブラドゥードルズ・ブリーディング・センターへは僕の住むホバートから車で片道約2時間半。
ポールさんやリズさんのスケジュールにもよるだろうが、一度現場に出向いたら少なくても500枚から1000枚の写真は撮りたい。
一回平均700枚だったとして、3回から4回分、ワラタを語るためのワンパターンではないイメージをどれくらい撮れるのかが問題だ?
同じような写真を繰り返し撮り、それをお見せするわけにはいかない。
ほとんどが野外での撮影と予想されるので写真の出来、不出来は天候にも左右される。
ちょうどこの時期、他の仕事の予定もびっしり詰まっていてロケハン等をする余裕がない。
撮影の作戦を考えなくてはいけないのだが、犬写真といえばアプリコットの写真くらいしか経験がないのでこれといった案も思い浮かばない。
軽井沢の馳星周さんのところでワルテルとソーラを撮ったときは、まったく思うような写真が撮れず、完全な負け戦になってしまった苦い経験もある。(完全にトラウマになっている)(ワルテルとソーラが僕と話せると思い込んでいたところが敗因だった)
撮影の時、僕が自分にかけるいつもの呪文を唱えた。
「僕がこれから写真を撮る相手を僕はずっと以前から大好きで、相手も僕とまったく同じ気持なのだ」と。

今回ブログで紹介するのは僕が依頼主であるM.SさんとパートナーのT.Iさんへ宛てたメールだ。
撮影をするたびごとに僕が見たこと、感じたこと、ワラタの様子、ワラタを取り巻く環境など、何枚かのサンプル写真を添えて送ったこのメールを僕たちは「ワラタ通信」と名づけた。
僕がメールを送るたびにM.Sさん、T.Iさんから届く返信には犬と共に暮らす人の愛が満ち溢れていた。
プライバシーの問題もあるので彼らからの返信メールをブログで公開するわけにはいかないが、彼らとコミュニケーションを深めるにつれて、僕はワラタがワンコであることを時々忘れた。
まるで海外からの養子縁組に関わっているような錯覚に陥るのである。
でも、これはただの錯覚ではなく、ワラタを待つお二人と一匹にとってはまさに家族の一員を迎え入れようとしている大切な瞬間なのだ。
それを考えれば考えるほど、撮影にも熱が入った。









ワラタ通信 第一弾


M.Sさん、T.Iさん、こんにちは。
第一回目のワラタ通信です。

2010年7月24日の土曜日は雨が降ったり、止んだりの肌寒い一日でした。
Tasmanian Labradoodles Breeding Centre(今後TLBCと省略します)の敷地へ入るやいなや、興奮したワンちゃんたちに取り囲まれ、ジーンズを引っ張られたり、ジャケットを引っ掻かれたり、あたり一帯が犬の鳴き声で包まれた広大な土地で唖然としていると、ポールさんが笑顔いっぱいで現れました。








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TLBCはの敷地はとても広く、犬たちはカテゴリーによって別々の犬舎で生活しているよいうです。
ワラタが毎日生活している犬舎は白い壁に赤い屋根の子犬住宅棟、向かって一番左側です。
ポールに案内されて僕は子犬たちがいる柵の中に入りました。
柵の中には白3匹、黒4匹、そして茶1匹、合わせて8匹の子犬たちがいました。








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ここでポールに今日一番大切な質問、ワラタはどの子?
あそこの黒い子、とポールは指を指すのだけど、、、。
黒い子の2匹はメスで2匹はオス。
ワラタはオスなのでまずはオチンチンを探す。
ワラタともう一匹のオスとの違いは目のまわり。
ワラタの目のまわりは微妙のグレーがかっています。
それが僕にとっては大きな目印で唯一の手がかり。(といってもとても分かりにくいのですが)








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この子犬たち、僕が柵の中に入ると一斉に寄ってきて、ジーンズ、ジャケットを噛じり、スニーカーの紐を引っ張ります。
まるでアマゾン川のボートから落ちたドジな男に群がるピラニアのようです。
ダブルノットで結んだスニーカーの両足の紐も3分で見事にほどけてしまいます。
カメラを構える暇など、まったくなしです。
どうやって彼らを撮ればいいのか訳がわからず、とにかく雨の中、柵の中でじっとこの子たちの行動を眺めていました。
この子たちは寄ると触ると取っ組み合いです。
ときどき噛まれた場所が痛かったのかキャンキャンいいながら逃げまわり、ときどきは誰もいない柵の隅で一人静にエネルギーを補充しています。
この子たちを見ていると、こんなに小さいのに、すでにそれぞれの性格のようなものが表れているようです。
やんちゃな子、シャイな子、人間(僕から離れようとしない子)、僕から微妙に距離を置く子、あまり動かない子、動きっぱなしの子。
ワラタはとても元気な子です。
そして人懐っこい子です。








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ポールはこの子たちを手のひらや膝の上に乗せてお腹、耳、手足を撫ぜてあげます。
この動作は子犬たちとのコミュニケーションをとる上でポールがとても大切だと思っていることです。
このとき、ある子犬は手足をばたつかせますが、ワラタは100%相手(人間)に身を委ね、気持よさそうに目を細めます。








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柵の中にワラタのお母さん、白い毛並みのサマーが入ってきました。
たぶん中型に属するラブラドゥードルだと思います。
このサマーが実に素晴らしいのです。
ほんとうに、本当に人懐っこく、もう好きなならずにいられない犬です。
サマーと接した人たちはサマーの生んだ子犬たちを欲しがるのだとポールが言っていました。。
その子供たちもきっとサマーのようにラブリーな犬になるだろうから。
どうやらワラタはサマーの遺伝子をたっぷり受け継いでいるようです。








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柵の中は木のクズがタップリと敷きつけられています。
これは子供たちが遊ぶオーストラリアの公園も同じです。
安全で清潔だからです。
こういうところにブリーダーの気配りを感じます。
ワラタ、黒い毛並み、しかも雨降りだったので木くずがたくさん体についていますが、撮影のためにそれをキレイにするというようなことはしませんでした。
できるだけ自然のままに、普段の様子を写すよう心がけました。








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柵からワラタを出し、母親のサマーとの写真撮影を試みました。
僕が近くにいるとサマーはすぐに僕と遊ぼうとするのでポールにお願いし、できるだけサマーとワラタが自然に接する状況を作りました。
やはり母と息子、二人で行動する様子は幸せそのもの。
ワラタが芝生に横たわるサマーのミルクを吸っている間、サマーは気持よさそうに寝てしまいました。
母と息子のツーショット、いい感じに撮れたと思います。








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ポールもサマーやワラタに混じってもらい一緒に撮りましたが、サマーやワラタに向けるポールに視線から愛情がこぼれ落ちていました。








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ライオンのような勇ましい姿の犬はワラタのお父さん、サムです。
ワラタを近づけることは出来ませんでした。
安全第一です。








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この後、ワラタの身体検査をしました。
体重は2.44kg、体長は尻尾を入れず約32cm、高さは(ちゃんと立ってくれず測定不能)たぶん24cmくらい。








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身体検査のあとポールの息子さんがワラタを抱いていたのですが、疲れたワラタは見事に爆睡。
その寝顔の可愛こと。








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柵に戻ると、再び兄弟たちと走りまわったいました。








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この日の撮影を終え、僕が家に帰る時、サマーが広い敷地の端にあるゲートまで僕を見送ってくれました。
本当に心優しいお母さんです。








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こんなことをM.Sさん、T.Iさんに言うと悔しがるかもしれませんが、ワラタは本当に、殺人的に可愛らしかったです。
約2週間後にまたワラタに会うのが今から楽しみです。
今回、仕事では初めての子犬撮影でしたが、いい写真が撮れていて安心しました。
次回はどんな写真が撮れるか、楽しみです。
ワラタが日本に発つ前日、ポールはワラタや他の子犬たちをロンセストンという街に連れて行き、人間たちの中を歩かせる訓練をする予定です。
そしてお風呂に入り綺麗な体で旅立ちます。
ポールと話し合った結果、この様子を撮るためには僕もロンセストンに宿泊しなければならないようです。


今後の撮影に関してご意見、質問、アドバイス等ありましたら、ぜひお聞かせください。


では、約2週間後の第2弾をお楽しみに。


マナブ



つづく
















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by somashiona | 2010-10-29 00:47 | 仕事

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