泣きすぎ


日本で高倉健の「幸せの黄色いハンカチ」をたまたまテレビで観たとき、「ああ、日本映画って、いいなぁ~」と思った。
僕も妹もかなりの映画好き(僕はもう過去形かも)だが、彼女は日本の映画は詰めが甘いのであまり観たくないという。
僕も昔はそう思っていたが、海外で長く暮らすと、やはり日本映画に飢える。
詰が甘くても、日本の俳優さんが日本語で話し、日本の風景が何気なく流れるだけで、かなり満足してしまう。
高倉健の映画を観たあと、いつも思う、「これからは僕も少し無口でいこう」と。
そして、1時間もしないうちにその誓いは簡単に破られる。
先週、高倉健の「あなたへ」という映画をiTunesでレンタルした。
僕はいつものように泣かせる場面でしっかりと涙したが、男の中の男健さんは、奥さんからの最後の手紙を受け取っても涙しない。
「ボーイズ・ネバー・クライ。オーストラリア男児たるもの、人前で涙を見せるべからず」とここで男の子たちは教えられ、大人になる。
男は男らしくなければ。健さんのように。
でも、ここオーストラリアではその男らしい態度が多くの男たちを重いうつ病に追い込み、自殺という結果に繋がってしまっているという事実も深刻だ。
特に田舎で酪農業などを営む男性たちがこの問題を抱えることが多いらしい。
カウボーイが自分の抱える心の問題を人に打ち明けるシーンは、彼らの生き方に反するのだろう。

僕はすぐ泣く。
本当に情けないほど、みっともないくらいすぐに泣く。
たぶん、徳光さんよりも泣くと思う。
仕事中も感動すると涙でファインダーがくもるし、バスの中の嘔吐の連鎖のように、周りの誰か泣くと、僕もすぐに目頭が熱くなる。
泣かせる映画は十中八九泣くし、普通の娯楽映画でも、例えばジャッキー・チェンが出ていた「ベスト・キッド」で少年がデトロイトから北京に移り住むときの描写でさえ、僕はなぜか肩を震わせて泣いてしまった。映画館の中で。
以前から涙もろかったが、父親が亡くなったあと、完全に涙腺の蛇口が壊れてしまったようだ。
父の葬式から1,2年は信号待ちの車の中、カフェでコーヒーを飲んでいるとき、浜辺で海を見つめているとき、気がついたら泣いていたということが度々あった。(これは2年くらいで自然と治まった。悲しみは時がすこしずつやわらげてくれる)
テレビのCMを観ても泣くし、空港で母と別れる時も47歳のおっちゃんが号泣し、妹やフミさんを困らせた。
自分でもなんとかならないのか、と思うのだが、コントロール不能だ。

日本からオーストラリアへ帰る飛行機の中、とてもいい映画を2本観た。
1本目は「Argo」(アルゴ)。
1979年のイランアメリカ大使館人質事件を題材とした作品で、内容はなんとなく知っていて、まったく期待しないで観たのだが、息をつく暇もないほどの緊張が続く、上出来の映画だった。
2本目は「The Sessions」(ザ セッションズ)。
子供時代にポリオを患った主人公は全身麻痺になってしまい、息をするのも人工呼吸器が必要なほど。
それでも大学を卒業し、ジャーナリスト、詩人として生計を立てている。
彼の童貞を捨てたいという思いは日々強まり、信心深い彼は神父さんに相談し、セックス(代行)セラピストの助けを借りて夢を叶えようとするが、セッションを重ねるたびにセラピストへの気持ちが恋に変わっていく、といった感じのストーリー。
主人公を演じるのはジョン・ホークスで、少し前に観た「ウィンターボーンズ」というかなり重い映画に出ていたのだが、「ザ セッションズ」での彼がまったく別人で驚いた。
「ザ セッションズ」の主人公がジョン・ホークスだと気づくまで、本当に小児麻痺の人が主役を演じていたと思っていたほどの名演技だった。
神父役のウィリアム・H・メイシーがまたとてもいい味を出している。
この俳優、僕はコーエン兄弟の映画「ファーゴ」でとても好きになった。
この人が登場する作品には当たりが多い。
そして、主人公が恋に落ちるセックスセラピスト役はヘレン・ハントが演じている。
実を言うと、僕は彼女が大好きだ。
「ツイスター」「恋愛小説家」「ペイ・フォワード」「キャストアウェイ」「ハート・オブ・ウーマン」「ソウル・サーファー」、、、。
スクリーンでの彼女はいつだって強さと弱さの両方をストレートに僕たちに見せ、女性らしいが決して男性には媚びず、常に強い意志を持って行動するタイプの女性を演じる。
彼女、今年で50歳だと思うが、「ザ セッションズ」で見せたフルヌードは驚くほど綺麗だった。
(だからいい映画だった言いたいのではない)
この映画でも、満席の飛行機の中で、僕はぼろ泣きしてしまった。
フライトアテンダントがビーフがいいか魚がいいかと聞いてきても、答える余裕がなかった。
あ、もしかしたら、この映画、日本では公開されていないかもしれない。
そうだとしたら、とても残念だ。

最近のタスマニア、天候が安定せず、しょっちゅう大泣きしている。
突然の大雨で動きがとれなくなり、建物の屋根の下やバス停の待合所などでうらめし顔で空を見上げ、雨脚が弱まるのを待つことが多々ある。
まあ、僕も空も、泣きたいときは好きなだけ泣けばいいのだろう。
雨の後は虹が出るかもしれないし。













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「ザ セッションズ」














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by somashiona | 2013-04-30 21:00 | デジタル

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