親友のお父さん



僕の親友のお父さんが亡くなったという知らせをつい先ほど受けた。
大学に入ってから知り合った僕の親友は学生時代はもちろん、お互いに別の道を進んだ今に至るまで僕の人生を豊かなものにしてくれているとても大切な男だ。
学生時代、彼の実家に行くと彼のお父さんは仕事部屋から顔を出し、「近藤くん、ちょっとこっちへ来なさい」と言い、いつも峰というタバコの銀色の箱を指先で叩いてから一本のたばこを差し出すのだ。
少し話をすると「近藤くんが淹れるうまいコーヒーが飲みたいなぁ」とお決まりのセリフを言い、僕がお父さんのこだわる炭焼きコーヒーをゆっくりとおとす。
お父さんは身体が不自由な人で、普段は車椅子を使っている人だったが、ピカピカのトヨタ・クラウンをさっそうと運転し、バリバリと仕事をこなした。
札幌の中心部に立派な印鑑屋を一代で築き、今は僕の親友である息子さんがさらに進化した印章店となったそのお店を受け継いでいる。
「父親の背中を見て子供は成長する」という言葉を時々耳にするが、僕の親友と亡くなったお父さんほどそのセリフがピッタリとくる親子を僕は見たことがない。
「会社を継げ、と一度も言われたことはない」と僕の親友は言っているが、学生時代から彼は自分のやるべきことをはっきりと自覚していた。
彼の父親が築いた会社は生き方そのもので、そこに何かに懸けて生きる姿勢が全て詰まっている。
学生時代、そういう受け継ぐべきものを持っていた彼のことを公務員の息子として育った僕には羨ましかった。
仕事を通してしっかりと繋がっている父と子の関係が羨ましかった。

前回札幌を訪れ、「さっぽろ100人ポートレイト」をやったとき、親友はもちろん、彼のお父さんとお母さんは絶対に撮っておきたい被写体だった。
親友の実家に久しぶりにお邪魔し、いくつかのシチュエーションで写真を撮ったが、お父さんはやはりあの印鑑を彫る仕事場で撮るのが一番ふさわしく、そこでのお父さんの表情がやはり一番輝いていた。

僕もそうだが、父と息子は基本的に反発しあって生きていくものだという気がする。
「お前はまだまだだ」「オヤジは何もわかっていない」そして息子が自分と違う形で、だがなかなかしっかりとやっていると父親が思いはじめる時、父親のやってきたこと、言ってきたことの意味がおぼろげに分かりかけてきたと息子が思いはじめる時、別れは突然やってくるのだ。
もっと聞くべきこと、話すべきことがあったのに、と思った時にはもう一緒の時間を過ごせないのだ。

でも、お父さん、あなたの息子さんはあなたの生き方を200%受け継いでいます。
どうか、安らかにお眠りください。














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僕の息子ソーマも父親に反発しはじめました。悲しいけど受け入れなければ、、、。娘のシオナはまだかまってくれます。



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by somashiona | 2014-10-25 21:45 | 人・ストーリー

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