壁画の街 シェフィールド 1

1985年、町の青年たちによって小さな組織が作られた。
組織の結成の目的は、彼らが住む小さな町、シェフィールドの救済だ。

この頃、農業を中心とする一次産業に支えられたタスマニア北西部の町シェフィールドは、経済の急速な下降線に比例し、町の人口が激減し、ゴーストタウンになりつつあった。

このままでは町が消えてしまう。

10人にも満たない組織のメンバーは知恵をあわせ、住み慣れた自分たちの町の魅力を深く、深く掘り下げていった。
ブラシと絵の具を使って、灰色に沈み込むこの街を、もう一度鮮やかに描きあげるアイディアが浮かんだ。

シェフィールドを壁画の町にするのだ。

1986年、この町の記念すべき最初の壁画が完成した。

その後、壁画の数が増えるとともに、この町で足を止める人も増え、みるみるうちに町は活気を取り戻した。


世界遺産であるクレイドル・マウンテンまでこの町から約一時間。
幸運なことに観光バスもこの町をクレイドル・マウンテンへのツアーの途中の休憩地点にしはじめた。
休憩時間、観光客は町の中をぶらぶらと壁画を見ながら歩き、そこでコーヒーを飲み、ランチをとる。

壁画に描かれている内容は、主にこの地方の歴史や文化だ。
なので壁画を見ながらこの町を歩くことで、ガイドブックの説明なしに、この地方のあゆみを知ることができる。


 


町の青年たちは自分たちの努力を誇らしく感じた。
子供の頃から都会へ抜け出すことばかりを夢見ていた彼らは、この町を愛しはじめた。
そしてこの町を離れていった若者たちが、少しずつだがこの町に戻ってきた。





現在、人口約1000人。
町を彩る壁画の数は47以上。
タスマニア・アウトドア・アート・ギャラリーとも呼ばれるタスマニアを代表する観光地になっている。




僕はなぜだか自信を取り戻したこの町に惹かれる。
失いかけた自分を取り戻した人のプライドを、この町に感じる。
この町は、時間をかけて撮りためる、僕の大切な被写体の一つになった。






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by somashiona | 2007-04-30 12:04 | デジタル

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