冬だ!山だ!ブッシュウォーキングだ!


今日は朝早く起きて風景写真を撮りにいった。
行った場所は、あの丘。
まだ暗いうちから歩きはじめたが、頭に黄色いヘッドランプを付けていなかったので(何の話しか分からない人は僕のブログ「相原さん-マウントフィールド・ナショナルパーク編」を読んでね)何度か地面の穴に足を取られた。
丘の上を5時間以上歩き回ったにもかかわらず、撮影の結果は惨敗だった。
原因はハッキリしている。
羊の親子を見つけてしまい、彼らを追いかけてしまったからだ。
風景や光りを忘れ、僕は忍び足で彼らに近づき、その度に逃げられた。
気がつくと、とんでもない距離を歩いてしまっていただけでなく、写真の女神がくれるあの朝の光りもすっかりどこかに行ってしまっていた。
何ということのない平凡な光りの中、僕は三脚を担いで、とぼとぼとだだっ広い丘を歩いていた。
冷え込む朝、丘の上に吹く風は、そりゃあ冷たい。
ちょっと油断すると手袋の中の指先の感覚が無くなるためピントリングと間違ってズームリングを回し、鼻水はナイアガラの滝状態だが滝壺に落下せず、風のせいで四方八方に飛び散る。
昨日、夏の日のキャンプについてこのブログで書いたことを思い出し、一人苦笑する。
そう、ここは今、正真正銘の真冬なのだ。
結果的に撮影は散々だったけれど、心は満ち足りていた。
同じ写真を撮る行為でも、被写体が人間の場合と風景の場合では随分と違う種類の満足感に包まれるものだ。
人を撮った後の満足感は、例えるなら前から好きだったあの子を初めてデートに誘い、食事をし、散歩をし、手をつないで、別れ際に軽く、かつ情熱的にキスをして、一人家に帰り、部屋の電気を付けてからソファーに沈み込み、自分のとった言動を頭の中でおさらいする時の、あの感覚に似ている。(長い説明だ)
だが、風景写真を撮った後の満足感は1000mを同じペースを保って泳ぐ時に400mを越えたくらいから包まれる、あの自分が水の中にいるのを忘れてしまっている感覚、泳いでいることすら忘れ、ただひたすら腕を回し、水を掻き、全ての音を他人事のように水の中で聞く、あの感覚に似ている。泳ぎ終わった後は少し放心状態で、雑念はどこかに行ってしまい、心地よい疲れと空腹を感じる。(説明になっていない?)(マラソンのランニングハイに似ていると言えばいいのか、、、?)

人を撮った後は撮影中のことを何度も思い出し、次の撮影ではああしよう、こうしよう、とあれこれ考えるが、風景の場合は撮影が終わった時点でもう振り返らない。考えるのは、さてこれから何を食べようか?こればかりだ。
不思議だ。

あれっ、また本題に入る前に、関係ないことで時間を使ってしまった。
この癖、直さないと!










以前このブログで子供たちとマウントウェリントンをブッシュウォーキングし、道に迷った話しをした。(ソーマとシオナVol.4 - 04/27/07)
あの後、恐れを知らぬ僕の子供たちはブッシュウォーキングをしたいと言い続け、僕は彼らの歩く距離を少しずつ伸ばしていった。
マウントウェリントンよりもさらに少しだけ難易度の高いマウントフィールド・ナショナルパークの頂上付近を歩こうと子供たちと約束した。
マウントフィールドはホバートから北へ車をゆっくり走らせて約1時間半。
1916年にタスマニアで初めて指定を受けた国立公園だ。
タスマニア最大スケールの滝であるラッセルフォール、マンファーンと呼ばれる古代のシダの森、そしてスワンプガムと呼ばれる巨大なユーカリの木が見られることで人気がある。









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どんよりとした肌寒い日だったが、マウントフィールドに近づくに従って雨が降りだし、頂上から一番近い駐車場の辺りでは、ほとんど土砂降りだった。
それでもせっかくここまで来たので少しだけ歩いてみようか、と子供たちに聞いてみると彼らはやる気満々。




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正直いって僕はあまり乗り気じゃなかったが、とりあえず僕のコンデジ、Fuji FinePix F11をポケットに入れて車の外に出た。
単純な男なので、写真を撮るという理由があれば、多少の困難は乗り越えられるのだ。




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この辺りは以前写真家相原さんの撮影で一緒に歩いたコースなので地理的なことは頭の中に入っていた。道に迷うことはないだろう。
でも、相原さんと来た時は辺り一面雪景色だったので、初めてのトラックを歩くとき同様、僕も子供たちと同じく興奮気味だった。
冷たい風が吹きつける高地に向かうにしたがって、高い樹木があまりなくなり、そのかわり色とりどりの高山植物が目を楽しませてくれる。




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氷河湖であるドブソン湖のまわりは本当に美しい。
もう雨が降っていることなど僕も子供たちも忘れている。




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「ダディ!見て、見て!あの髪の毛の長い木、何?」
彼らの目がまんまるだ。絶対聞いて来ると思った。
「あれはね、パンダニツリーっていうんだよ」
「パンダ?」
「パンダベアーじゃなくて、パンダニツリー、名前は似てるけど、見た目はちがうだろ」
「なんだかモンスターみたい」





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彼らが一番気に入った場所はパンダニグローブというパンダニの森だ。
たしかにこの森を歩くとき、パンダニたちの視線を感じる。ここは彼らのシマであって僕たちはあくまで部外者だ。でかい顔をして歩いちゃいけない。
「お忙しいところごめんなさい。ちょっとお邪魔しますね。長居はしませんから」この気持ちが大切だ。
子供たちも「モンスターが僕たちのことを見ているよ」と何度も僕に言った。




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森の中では雨の存在が邪魔なところか何ともいえないスパイスになった。
神秘的なパンダニグローブをより幻想的世界に演出してくれた。




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子供たちの写真を写す時も「ダディ!パンダニツリーと一緒に撮って!」と知らぬ間にモンスターから友達に格上げされていた。




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帰り道、ふと誰かに呼び止められた気がして後ろを振り向くと、一本のパンダニツリーが優しい顔をして僕たちを見送ってくれていた。




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その夜のベッドタイムストーリー。
むかし、むかし、あるところにソマソマとシオシオという兄妹が住んでいました。彼らのマミーが病気になってしまい困っていたある日、木の妖精が現れてソマソマとシオシオにいいました。森の一番大きくて年寄りのパンダニツリーに会いにいきなさい。その木の一番上の長い髪の毛の中にマミーの病気を治せるクスリがあります。それを聞いた二人はさっそくマミーに手紙を残して冒険の旅に出かけました。二人が向かった山はマウントフィールドという山で、、、。



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by somashiona | 2007-07-22 19:44 | ソーマとシオナ

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