生理的に色と過ごす

生理的に色と過ごす






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朝焼けの中、土手に乗り捨てられた車の黄色が悲しかった。
約束の無い日の心は虚ろ。
車体についた傷をなぞると、場違いな血液が指先から滴り落ち、黄色いボディはマスカラを付けた女が泣いた顔になった。






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開園時間が終わった公園を一人歩いた。
嘘をつくのが上手い男が振りまいた光りの残り香を嗅ぎ、乾燥した年寄りの肌と同じ音を立てる枯れ草を踏みしめる。
ふと歩みを止め、足下に視線を落とすと、赤い花が一輪横たわっていた。
忘れかけていた女の顔が脳裏をよぎり、花に伸ばした手をポケットに突っ込んだ。






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街全体が寝息を立てている時間も、まだ歩き続けていた。
石畳の上に黒く長い影が伸びている。
目的の無い歩みはどこか足早。
電球の周りで円を描く蛾のように、ここより明るい場所へ吸い込まれる。
路地の奥で息を潜める青い光りと対峙した後、もうベッドにもぐり込もうと、静かに決めた。








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by somashiona | 2007-09-17 15:58 | デジタル

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