ウォルシング・マチルダが響くよう
毎年この日は友人スコット誕生日をタスマニアの南、タスマニア半島に位置するフォーテスキューベイでキャンプし、祝うことがここ数年恒例の行事になっている。
フォーテスキューベイについては僕のブログでも以前紹介した。
昨年末からの疲れがまだとれない僕が心から望むことは一日中何もせず、口を半分開け、ボォ〜っと放心状態で過ごすことなのだが、子供たちはもうやる気満々だし、なによりもスコットの誕生日を祝いたい気持ちに負けてしまう。
そんな訳で土、日、月の3日間をキャンプ場で過ごした。
子供たちとのキャンプはその準備をするだけで、出発の前日からもうほとんどキャンプ状態に入っていると言っていい。
車の中はほとんど座る場所もないほどの荷物だ。
おまけに出発の日にスコットへのプレゼント探しがはじまり、出発が昼を大きくまわってしまったので、子供たちは少しご機嫌斜めだった。
僕は今回本当に心から寛ぎたかったので、カメラはコンデジだけにするつもりでいた。しかし悲しいかな、車を出発させた直後、すぐに車を止め、家に戻ってEOS40Dと三脚を慌てて車に詰込んだ。
撮っても撮らなくても、やはりこれはお約束だ。
そんな僕を見て子供たちは「、、、ダディ、、、」といって首を横に振った。
なんだよ、文句ある?
キャンプ場へ向かう途中、すれ違う車や、民家の軒先、人々の帽子やTシャツはオーストラリアの国旗で飾られていた。
車の中の子供たちが口ずさむ歌も、先ほどまで歌っていたビートルズから第2の国歌としてオーストラリアの人々に親しまれている『ウォルシング・マチルダ』へと変る。
♬
一人の陽気な放浪者
沼地のそばで野宿してた
やかんのお湯が沸くのを待ちながら
ユーカリの木陰で歌ってた
一緒に旅に出ようか?
マチルダ担いで放浪の旅
僕と一緒に旅に出るかい?
お湯が沸くのを待ちながら歌ってた
旅に出ようか?
♫
オーストラリアに住んでいるとよく耳にする曲だが、今回なんだがとても心に沁みた。
子供たちがこの歌を歌うのを聞いて、ああ、こうやってオージーが作られていくのか、と思ったのと同時に、ああ、僕の子供たちはオーストラリア人なんだ、、、と力ずくで納得させられた気分になった。
僕の子供たちの口から自然に流れるのは日本の童謡ではない。
僕はこれからそういうことと折り合いをつけて生きていかなければならないのだ。
家に帰ってからこの歌の歌詞を調べてみると、なるほどオージーたちが好きな訳だ、と納得してしまった。
キャンプは予想通り忙しかった。
子供たちとのキャンプで寛ごうなど、考えてみれば甘い話し。
ここはもう父親に徹するしかない。
それでも隙を見て、ほんの、ほんの少しだけ写真を撮った。
ここに来るといつも同じ木を撮り、同じ砂浜を撮る。
特に海と空は、同じようなショットを何枚も、何枚も、我にかえるまで撮ることになる。
まあ、いいではないか。
キャンプなんだし。
日曜の夜、土砂降りの中で夕食を作らなければいけなかったこと以外は比較的天候に恵まれた。
最終日の月曜日、疲労困憊でキャンプ場から撤収したあと、さずがに自分で夕食を作る気になれず、マクドナルドのハッピーミールで子供たちを満足させた。
彼らが満足したのはチキンナゲットにではなく、ハッピーミールについてくるオモチャにだ。
子供たちを彼らの母親の元に送り、僕は一人で自宅に戻る。
半分閉じかけている眼をこじ開け、鉛のように重い身体に鞭を打ち、車の中の荷物を引きづり出す。
狭い僕の部屋はキャンプ用品の山だ。
シャワーを浴びた後は泥のように5時間寝て、翌朝仕事に向かった。
父であることは疲れるけれど、やはりモノより思い出。
『ウォルシング・マチルダ』を歌う彼らの幸せで平和な声が、いつまでも心に響くよう、僕はまたせっせと働き、次のキャンプの計画を練る。
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by somashiona | 2008-01-29 18:27 | デジタル