在外日本人、日本のドラマにご用心



海外に住む涙腺ゆるゆる日本人ブロガーから出来るだけ触れないでほしいといわれている話題がある。
ことあるごとにそのタブーなお話を思い出しては目を潤ませる僕、もうこれ以上我慢出来ない。


その話題とはテレビドラマ化された『Dr.コトー診療所』のことだ。
なぁ〜んだ、そんなのもうかなり前の話じゃん、と日本の方々はいうだろう。
しかしここはタスマニア、インターネットが使えるようになったのも、つい3年前の話だ。(これはウソです)
昨年、タスマニアに住む友人が「面白いから観てごらん」と僕にビデオテープを貸してくれた。
ちなみに僕はテレビドラマにはまったく興味のない男。
まったく期待せずにビデオデッキのスウィッチを入れ、その結果、食べ物もろくに食べず、数日間ぶっ通しで2003年版、特別編2004年版を観てしまうはめになった。カーペットの上にはティッシュペーパーの残骸が散乱し、バケツ3杯分の涙を流したせいで部屋の湿度は上がっていた。
この感動を誰かに伝えたくて、周りにいるオージーたちに目を潤ませながら話の筋を説明するのだが、だれもノッてきてくれない。
おそらくドラマが英語に訳されても彼らはさほど感動しないのではないか?
僕が感動し涙を流した一番の理由はドラマ全編を通して日本人の心の美しさが緻密に描かれているからだ。
ドラマを見ていて僕は子供の頃に周りにいた大人たち、おじいちゃん、おばあちゃん、近所のおじちゃん、おばちゃんたちのことを思い出した。みんな素朴で近所の人たちと家族のように関わっていた。
そしてつい数週間前、待望の2006年版が手に入った。
今回はもう、前もって泣くと分かっていたので充分(泣く)準備をしてからソファーに座った。
そして予想通り僕の涙腺はダムの欠壊状態。
2006年度版では生まれながらの漁師、時任三郎演じる原 剛利が医者を夢見て有名私立進学校へ通うことになった息子、 富岡涼演じる 原 剛洋の学費を稼ぐため、自分の身体の一部である船を売り、生まれ育った小さな島を出て慣れない土木作業員をするエピソードで目がナイヤガラの滝状態になった。
ドラマを見終わった後も僕はしばらく考え込んでしまっていた。


僕の父親は公務員として退職まで働いた。
父がその仕事を愛していたかといえば、たぶんそうでもなかった、というしかない。
地道にこつこつと働き家族を養った。
僕の家庭はもちろん裕福ではなかったがそんな父のおかげで経済的困難に陥ったことがない。
お金がないために自分の進路を諦めざるを得ないという経験をしたこともない。
恵まれた話だ。
そして今の自分を見てみる。
写真に出会ってから、僕はこのことだけを考え、追いかけて生きてきた。
自由業なのでいい時もあれば、しんどい期間が続く時もある。
次のステップに進む為に博打(キャリア的)をしなくてはならない時も多い。
もし子供たちに、何か特別なチャンスが巡ってきたとき、僕はどれだけのことを彼らにしてあげられるか?
たぶん何もしてあげられない。
自分のことだけ考えて生きてきた、彼らの為に何一つ自分を犠牲にしていない、と気づき驚いた。
珍しく、心を許せる人たちにこの思いを打ち明けた。
オージーの友人たちのほとんどはこう言った。
「お金じゃない、自分の道を突き進んでいく父の姿を見せることが最高の教育だ。そういう姿を見て育った子供は自分の夢を実現するため奨学金などを得て前に進む人間になる」
日本人の友人たちのほとんどがこう言った。
「そうだね。大事な場面で何もしてあげられないのはちょっと甲斐性がないよね。家族がいるってことは自分だけの人生じゃないからね。夢も大事だけど安全策をとったほうがいいよねぇ」
オージーのこういう考え方は結婚生活に反映されることが多い。
自分の幸せを優先する結果、50%のカップルが離婚という結末を迎える。
僕もその一人だ。
日本人のこういう考え方は人生の冒険のチャンスを摘み、フラストレーションと諦めという十字架を背負い生きていく結果になることが多い。
僕はそのどちらの考え方もある意味正しいし、またどちらも危険があると思う。
どちらかを選択しなければ前に進めない時、選ぶのはどちらか?
それが問題だ。
両方を選べるといいのだが、時は僕の都合に合わせてくれない。
ある日本人の友人は僕にこう言った。
「私は両親から欲しいものは全て与えられた。でも一緒に過ごす時間は与えられなかった」
僕は子供たちの母親と離婚したせいで子供たちとは週末しか一緒に過ごせない。彼らと会っている時は200%全力を尽くすが、それでも本音を言うともっと一緒の時間が欲しい。
ある人はこう言ってくれた。
「マナブさん、この仕事で一流を目指すならタスマニアにいてはダメだよ。数年間都会で頑張って、安定した基盤を作ってから子供たちとの生活を考えてはどうかね。そのときはもっと子供たちに色々してあげられるでしょう」
別にブログで愚痴るつもりはない。(ホントに)
人生ってどうしてもっとシンプルに物事が進まないのだろう、と思っているだけだ。



やりがいがあり、充実した仕事。
生活の心配がなく、少しだけ贅沢が出来るだけの安定的収入。
子供たちとの愛が溢れる満ち足りた時間。
心許し、尊敬しあえる伴侶。
精神的・肉体的に満たされたプライベートな時間。
自然に触れることが出来る環境。


「二頭追うものは一頭を得ず」という人もいるが、僕が今まで出会った人生の達人たちには、前向きに努力をし、これら全てを手に入れている人たちがたくさんいる。
そう、諦めてはいけない。
考えろ。
Think, think! (くまのプーさん)



先々週、忙しくてまともに外を歩けなかった。(ブログも一週間更新出来ず)
子供たちとの土曜日、台風が去った後のような部屋の中を整理しているとあっという間に午後4時。
どうしても自然に触れたくて、家から車で10分、ファーンツリーのトラックへ子供たちとでかけた 。
すぐに小雨が降り出したが、構わない。
一時間ちょっとのウォーキングで僕も子供たちも充分リフレッシュ出来た。
やはり、自然の力は偉大。
そして10分でそんな場所にたどり着けるホバートを心から愛しく思った。






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森の中、あまりの暗さの為、超手振れ写真のオンパレード、おまけに今夜は眠たくて眠たくて、半分目をつぶりながらの雑なRAW現像。
そんな日もあるさ、と大目に見てね!






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by somashiona | 2008-06-30 19:45 | ソーマとシオナ

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